「がんと就労」応援ポータルサイト創刊記念特集

2014/06/24

がんと共に働くために必要なこと

企業を変えるために必要なこと

堀田ところで企業を変えるには、何が必要だと思いますか。

酒井歴史的には、企業は自分の利益のために変わることはあっても、利益以外のところでは、なかなか変われません。だから、法制化などで外からプレッシャーをかける必要があると思います。

門田私は、法制化しないと変革できないという論調には、賛成できません。たとえばですが、もし生産性とは別の価値観を取り入れる経営者がいたら、道が開けるのではないかと思うんです。

堀田いまは高齢化で、元気ではない人もたくさん働くようになってきました。企業活動は生産性だけでは語れないと思いますが、どうでしょう。

酒井生産性というのは、お金だけの話ではありません。経営者はいままでのように、だらだら長く働くのではなく、働く時間は短くても価値を生み出す仕事をしてほしいと思っています。だから、6時間労働とか在宅勤務とかを取り入れる会社が出てきています。働き方は、すごく多様化し始めているので、がん患者が働きやすく変わるチャンスはありますね。

ただ、すべての企業で変わりはじめているわけではありません。経営者の中でも先端的なオピニオンリーダーの方たちが、理解をしはじめているというところです。

企業が求める人材像の変化

患者自身が声をあげるのが、一番

堀田働くことに対する患者さんの考えはどうでしょう。

門田自分は社会に迷惑をかけているのではないかと、ものすごく気を遣っています。でも、やはり社会に接点を求めて、働きたいと思っています。ある面では健康な人には負けるかもしれないけれど、自分の存在を仕事にみつけたい。そういう気持ちは、病気になればこそだと思うんです。患者さんの力をうまく活用して社会全体が豊かになることは、社会の大切な役割の1つでしょう。

酒井患者さん自身が働こうと思っても、ハードルがいくつもありますね。アンケート調査などを見ると、企業が病状を把握しないまま退職勧告や配置転換をさせたり、上司が替わるときに留意点が引き継がれなかったり、なかなかうまくいきません。社内制度の不備も、たくさんあります。

周りを変えていくためには、患者さん自身が声をあげていただくのが、一番です。どんなニーズがあるのか伝えていくことは大切だと思います。

門田患者さんは、ずいぶん積極的に発言するようになってきています。がん対策推進協議会は20人の委員のうち5人が患者関係者で、社会を変えなければという意志を強く感じます。政策決定の中に患者さん自身が入っていくという点は、これまでと大きく変わりました。

堀田がん患者さんの意識が、自分たちも参加して作るというように変わってきましたね。

連携がうまくいっていない

酒井ところで企業活動では、バリューチェーンというものをとても大事にします。原材料からモノを作って販売するまでに、さまざまな活動を結びつけ連携することで、付加価値を付けていきます。がんと就労について考えると、そういったさまざまな活動の連携が、うまくいっていないなあと感じます。

例えば病院と企業が連携していないから、患者さんが自分で伝えない限り、病状が企業に伝わらない。産業医の位置づけが弱い。社会とのつながりも弱い。それから医療機関には、就業時間外でも通院できるような柔軟な診察体制がのぞまれます。企業と病院、その他ステークホルダーが、もう少しうまく連携できないものでしょうか。

門田それは確かにあると思います。

堀田そうですね。身の回りにそういうことを相談できる人がいると大きいのかなと思います。

私が参加している厚労省の「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」でも、いろいろな制度があるのにつながっていないという話題が出ています。障がい者に対する就労支援制度とか、がん拠点病院に就労支援のために社会保険労務士や産業カウンセラーを置く制度がありますが、まだそれがあまり知られていないようです。会社としては、そういう制度を積極的に従業員に伝えたりして、相談にのることはできないのでしょうか。

酒井がんと就労については、すすんでいません。セクシャルハラスメントやパワーハラスメントについては、いまは大企業ならほとんどの会社が研修までやるようになってきて、従業員の中に意識が根付いてきています。ところが、がんを含めた病気に対する従業員の意識の変革は、全然進んでいません。

特に産業医の位置づけが弱いと思います。大企業の中でも、産業医がヘルスケアマネジメントの中心にいるという意識を持つ経営者は、まだ一部です。産業医は、会社の中ではアドバイザーです。その人たちの位置づけをはっきりさせていけば、従業員の意識も変わると思うのですが。

相談と言えば、国立がん研究センターにはアピアランス支援センター、がん研有明病院には、ボランティアで帽子クラブというものがあって、相談にのってくれていますよね。抗がん剤で髪が抜けたり爪が黒くなったりすることがありますよね。働く人にとって外見はとても大事です。ウィッグ(かつら)や皮ふの変色をカバーする化粧品などを支援センターで紹介していますよね。こういったことを病院が紹介してくれるのは、大きいですね。

堀田営業の方とかは、外見をとても気にされるようです。名刺を渡すときに爪が黒いと相手に引かれてしまうこともあるようですから。

アピアランス支援センターは、プログラム化して、どこでも使えるものにしようとしています。われわれが直接提供できるのはごく限られた人たちですから、この活動を広げなくてはいけません。

酒井すばらしい取り組みだと思います。

堀田これまでの話をまとめてみると、働くことは、単に収入を得るだけではなく、その人の生き方そのものに関わってきます。その人のできることをできる範囲でやっていくのは、当然のことです。それを支える社会にするには、まず、社会全体の意識を大きく変えなくてはなりません。働き方や生き方も、変わろうとしています。

これからの経営者はダイバーシティを意識して、多様でいろいろな人材を使いこなせて付加価値を生めなければ、グローバルな競争には勝てません。一定の労働時間を定常的に働ける人よりも、付加価値を生み出せる人が重宝されるようになります。がん患者さんやサバイバーの方にも、その多様な働き手の中に入っていけるような施策を検討していくことが重要です。

さまざまな制度や機関との連携も必要となります。さらには、患者さん自身も受け身ではなく、何が必要なのか、どういうことができるのか、どういう社会がのぞましいのか、どんどん声をあげていただきたい、ということですね。

みんなで力を合わせて、がんになっても安心して暮らせる社会を目指しましょう。

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