
人とパソコンを結びつける接点である、マウス。マウスコンピューターの社名の由来はそのマウスだ。人とパソコンをつなぐ存在でありたいという強い思いが込められている。それは、個人向けパソコン事業をBTOで始めたときから変わっていない。同社の小松永門社長は「購入する時点で、CPUはもっと速いものをとか、ソフトは要らないなど、お客様が欲しいと思っているパソコンは千差万別です。それぞれのお客様に最適なパソコンを作って提供しようと考えました」と当時を振り返る。
その哲学は、1年前に誕生した法人向けパソコンブランド「MousePro」にも貫かれている。これは、以前からあった法人向け商品の中心となる存在だ。
「法人ユーザーの方は飽きのこないデザインや堅牢性、そして品質とサポートを重視されます。それらのご要望に応えながら、ミニタワーとスリムデスクトップ、それにノートというラインアップの幅広さ、そして拡張性の高さを備えているのがMouseProの特徴です」
スリム型のデスクトップに関しては、もう一回り小さな筐体も検討したが、ハードディスクを2台搭載できることを優先し、さらなる小型化を断念した。しかし実際は、スリムデスクトップを購入する法人の多くは「HDDとSSDの両方が使える」など、拡張性を評価していることも明らかになった。このMouseProの牽引もあって、2011年の法人市場向けPCの出荷は、前年比で130%の伸びを示している。

マウスコンピューターの特徴の一つに、国内生産がある。ラインアップの大半が日本国内の自社工場で生産されている。「コスト面で有利な海外生産を検討し、実際に現地で生産していたこともあります。しかし、日本人のしっかりとしたものづくりの姿勢や、何か起きたときのフィードバックの早さを考えると国内生産がベストであるという答えにたどり着きました」
長野県飯山市にある工場では、コスト面をカバーしながら、さらなる強みを発揮するために、入念な生産・検査作業と高い効率性を両立する取り組みを継続している。その中で、熟練社員をはじめとするスタッフの意識の高さには、小松社長も驚かされるという。
「自分の手がける商品への思い入れの強さ、開発への意欲など、ものづくりへのこだわりは徹底しています。その下地があったからこそ、スピードや効率を融合できました」
ラインアップの変更に合わせた工場内のレイアウト変更や、一人の社員が複数の業務をこなせるような体制なども、その工夫の一環だ。QCサークルも設けて、常に現場レベルで改善を進めている。
「とにかく声を上げてもらい、それを素早くフィードバックすることで、フレキシブルでスピーディ、そしてコストとのバランスも良い生産体制を目指しています」
効率良く作られた商品は、出荷前に徹底した検査を受けることになっている。個人向けパソコンも全品が機能検査や安全性試験を受けるが、法人向けには、さらに高レベルな耐久試験が行われている。たとえば、恒温槽の中での高温耐久試験に関しては、個人向けの商品よりも長い時間をかけ、より多くのプログラムを使ってテストしている(下図)。
マウスコンピューターでは、製品を中長期で使用することを想定し、信頼性試験、環境試験を実施。
さらに寿命試験も継続することで、高い品質基準を満たした製品を実現している。
熟練の技師が各種測定器を用いて重要部品を検査
輸送時に受ける機械的なストレスをシミュレート
室温40℃の室内で長期通電試験を実施し寿命を予測
低温・常温・高温と様々に変化させ、過酷な使用環境を想定
連続稼動により部品固有の不良を検出
「日々の積み重ねがあるからこそ、品質には自信があります。3月20日までのご注文で、もし30日以内にご購入いただいた対象商品にご不満がある場合は、返品・返金を行うキャンペーンを行っています。まずは使っていただいて、商品を通じて、私たちの思いを感じていただきたいと考えています」
サポートや修理にも力を入れている。24時間365日対応しているコールセンターを沖縄県で自社運営し、修理拠点は埼玉県春日部市に置いている。
「ここでも重視しているのはスピードです。コールセンターでは、できるだけ電話口で問題を解決できるように体制を整えています。修理に関しては、作業を24時間以内に終え、速やかにお客様のお手元へお戻しすることを目標に体制強化を行っています。メーカーとしては壊れない製品をお届けすることが使命ですが、万一のことがあった場合には、できるだけお客様の業務を止めないことも使命。自分たちがお客様だったらどう考えるかを第一に判断し、行動することを柱としています」

誕生から1周年を迎えたMouseProシリーズは今後、さらにラインアップを拡充していく。
「パソコンは、クリエイティブに欠かせない存在ですが、一方で、閲覧だけであれば、タブレットPCの方が便利なこともありますので、新たに市場投入していきます。また、スモールビジネスサーバーの展開も強化していきます。オフィスにパソコンが当たり前になったように、セキュアなサーバーも浸透していくと思っています」
小松社長は、パソコンを使用するすべての企業のパートナーを目指していきたいという。
「そのためにはお客様の声や生産現場からの声を真摯に受け止め、商品を通して私たちの思いを届けていくことが大切だと考えています」
社員一人ひとりの誠実な思いや姿勢も、日本品質の大事な要素なのだ。