日経ビジネス電子版 Special 週刊日経ビジネス電子版 SPECIAL日経ビジネス電子版

大幅なコスト削減も:有力企業が導入するGISとは

GISの企業活用事例を紹介:米UPSは年4億ドル削減に成功

── Esriのユーザー企業は実際にGISをどのようにビジネスで活用していますか。

デンジャモンド:多種多様な活用事例があります。例えば全世界で貨物輸送サービスを展開しているUPSは、配送ルート管理にGISを利用しています。天候、渋滞、荷物の種類などを考慮した上で最適なルートを導き出すことで作業員のスケジュール管理を効率化。燃料消費量も抑制して、年間4億ドルものコスト削減に成功しました。

 また小売業界、例えばスターバックスやウォルマートなどは新規出店の際、最も競争力を発揮できる場所を探すのにGISを利用しています。ナイキは、GISで地域の消費者の属性や購買行動を解析、店舗ごとに最適な品ぞろえを決定しています。

 環境分野でも、状況把握のためのツールとしてArcGISが使われてきました。かつて英石油大手BPがメキシコ湾で大規模な原油流出事故を起こした際、原油が流れる方向や沿岸生物への影響を把握するため、BP、州政府、NGOの共通ツールとして、弊社のGISが用いられました。

GISは、様々な情報をコンピューター上の地図に重ね合わせ、解析や可視化を実現するシステム。GIS活用により合理的な判断が可能となり、ビジネス上のアドバンテージが得られる
[画像のクリックで拡大表示]

 企業にとって「どこで何をするか」の判断は極めて重要です。それがビジネス上のアドバンテージに結びつきます。日本においても、工場や店舗の立地選択、配送のルート管理、災害時のリスク評価、市場のターゲット設定、地域の商品政策などにGISの力が発揮できるはず。ぜひ積極的に導入してほしいと思います。

── GISは日々刻々と新しい技術が誕生する市場。Esriは先頭を走り続けるためにどんなことを心がけていますか。

デンジャモンド:常に最新の技術を顧客に提供するよう努力しています。革新を追い求める企業文化はEsriの最大の強みです。

 具体的には、米国の売上高の32%に当たる3億ドルを研究開発に投資。 IoT、リアルタイムデータ、ビッグデータ解析、3D表示、ドローンなどの技術と組み合わせ、GISソリューションに新たな機能を盛り込んでいます。

 また、毎年ユーザーカンファレンスを開催し、顧客の声に真剣に耳を傾け、問題解決に取り組んでいます。これらはあえて株式公開せず、プライベートカンパニーとして顧客に最大の便益を提供する方針を貫いているからこそ可能なことだと思います。Esriは今後も顧客のためにGISの技術、科学を進化させ続けます。

── GISは今後どのように発展していくでしょうか。考えを聞かせてください。

デンジャモンド:このほど、行政が持つデータをGISに載せてクラウド化し、誰でもアクセスできるようにする新世代のソフトウエア「GeoHub」を開発しました。既に米ロサンゼルス市で稼働しています。これは、自治体が持つデータをオープン・プラットフォーム化することによって地域の問題を効率的に解決し、市民生活の質を向上しようという試みです。

 このように、コミュニティーにフォーカスすることが、GISの次なる進化のステップであり、何億人もの人に「THE SCIENCE OF WHERE」の力を届けられるようになります。GISはこれからますますスマートに発展します。それにより、社会も一層スマートで持続可能なものへと近づいていくことでしょう。

お問い合わせ