Mixed Realityから始まる産業革命

Mixed Reality による現場革新が日本の競争力を次のレベルに押し上げる

Mixed Reality は VR と AR を包括する存在

― 2017年1月に日本で Microsoft HoloLens がリリースされてから現在に至るまで、どのような反響や市場の活性化がありましたか。
三上:北米で先行発売されていたこともあり、発売当初は MR( Mixed Reality、複合現実 )に未来を感じた開発者を中心として熱狂的に迎えられました。コミュニティが自然に生まれて、Microsoft HoloLens でどういったビジネスを生み出していくか、どのようにして魅力的なソリューション、アプリケーションを作り出すかという盛り上がりが第1フェーズだったように思います。発売から1年半が経った今、JALのパイロット・整備士のトレーニングツールや小柳建設の「 Holostruction( ホロストラクション )」をはじめとした活用事例が増えてきており、Microsoft HoloLens でビジネスを変革する具体的なシナリオが見えてきました。
建築・不動産業界、製造業、医療、教育等の幅広い分野のお客様が PoC( Proof of concept、概念実証 )に取り組み、実際のビジネスで Microsoft HoloLens の活用が広がってきている中、現場でヒアリングさせていただいて分かるのは、多くの経営者の方々が「 Mixed Reality のテクノロジーで世界が変わる」と感じてくださっていることです。
日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部 本部長 三上智子氏
― 経営者が抱えているビジネス課題と Mixed Reality への期待はどういったものでしょうか。
三上:今後も日本の人口が減少し、労働人口が減少していく中で多くの経営者が、「業務を効率化し、働き方を変えていかなければならない」「社員トレーニングの強化とスピード化が必要」「社内コミュニケーションを円滑にしたい」「成長し続けなければ、社員をハッピーにできない」という観点を共通の経営課題として感じられています。米マイクロソフトのロレイン・バーディーン( General Manager for Mixed Reality at Work )と共に企業を訪問させていただいた際、「世界中の国で多くの経営者と話をしたが、日本のように大きな共通アジェンダで話す国は他にない」と驚いていたほどです。経営者の方々や現場で働く方々のリアルな声を聴く中で、多くの企業が共通する経営課題を解決するソリューションとして、Mixed Reality への期待が高まっています。

ITが活用されてこなかったファーストラインワーカーの働き方改革を推進

― Microsoft HoloLens ならではのビジネスに貢献できる価値をお聞かせください。
三上:今までのマイクロソフトのソリューションは、オフィスに勤務するインフォメーションワーカーの利用がメインでした。一方で、製造業や建設業など最前線の現場で働き、全世界の労働人口28億人中17億人を占める“ファーストラインワーカー”には特化したソリューションを提供できてないという課題がありました。この課題に対して、Microsoft HoloLens の登場と業種業界を問わず汎用的に使える新たな MR ビジネスアプリケーションの提供開始、Microsoft 365 の現場業務向けソリューションが整ってきたことで、ファーストラインワーカーの働き方改革が可能となってきています。
例えば、現場と本部をリアルタイムにつなげたり、クラウド上での IoT データの可視化等ができるようになってきています。また、工場のラインや建築現場、医療現場などにおいて、PC やタブレットなどのデバイスを使う際に作業を止めなければいけなかった方々が、 Microsoft HoloLens を頭に装着することで、デジタルの世界に常につながりながら両手を自由に使い作業を行えるようになることは、産業に革命的なインパクトをもたらします。

現場の共通課題を解決する2つのビジネスアプリケーション

― 今回、ファーストラインワーカー向けの汎用的な MR ビジネスアプリケーション「 Microsoft Dynamics 365 Remote Assist 」「 Microsoft Dynamics 365 Layout 」をリリースされた狙いはどこにありますか。
三上:OS に Windows10 を搭載した Microsoft HoloLens を用いてできることは無限にありますが、個々のビジネス課題に対して自社独自でアプリケーションを開発するには投資も時間もかかるものです。そこで、多くのお客様が持つ共通課題を解決できるアプリケーションを届けるために開発したのが「 Microsoft Dynamics 365 Remote Assist 」と「 Microsoft Dynamics 365 Layout 」です。これらのアプリケーションは、Microsoft HoloLens が持つ可能性のすべてを引き出すものではありませんが、新たなデバイスを使っていただく“きっかけ”にしていただければと考えています。実用する中でメリットを感じていただけたら、個々の経営課題に合わせた具体的なシナリオに落として、アプリケーションを開発していくことが可能です。
「 Microsoft Dynamics 365 Remote Assist 」は、Microsoft HoloLens を装着した人と同じ画面を共有しながら、PC 等を通して離れた場所からコミュニケーションがとれる。本部と現場をリアルタイムにつなぎ、Microsoft HoloLens を装着した人の視点をエキスパートが共有しながら指示を出すことが可能だ。
「 Microsoft Dynamics 365 Layout 」は、図面等の空間情報を取り込み、その中に設備機器や什器等の 3D データを配置することができる。Microsoft HoloLens と連携させることで実空間に設備機器等をバーチャルに配置することができ、リアルな視点・動線を踏まえたレイアウト設計のシミュレーションが可能になる。
― これらのアプリケーション導入におけるサポート体制はありますか。
三上:日本マイクロソフト本社でのデモ体験、導入事例の紹介、ビジネス課題のヒアリング等に加えて、パートナー企業と連携した PoC の実施、実用化に向けた技術支援を行っています。新たにリセラーとなった日本ビジネスシステムズ様や大塚商会様でも導入をご支援するほか、建築や製造業等の各分野に精通する IT 企業を中心に21社のパートナー企業が参加する Mixed Reality Partner Program の体制が整ったことで、お客様独自の課題や要望に対して最適なソリューションを提供させていただくことができるようになりました。Microsoft HoloLens を活用した Mixed Reality のテクノロジーを軸にマイクロソフトの総合力を活かしながら、パートナー企業と協業することでお客様に新たな価値を提供していきます。

国際的な競争力を高めていくためにドラスティックな改革が必要

― Mixed Reality 活用を中心とした今後のビジョンをお聞かせください。
三上:経営者の方々をはじめ多くの皆様と意見交換しながら Mixed Reality の活用を推進してきましたが、想像していた以上に新しいテクノロジーへの期待値が高く、Microsoft HoloLens を用いた働き方改革や、国際的な競争力向上へのニーズの高さを実感しています。今後、中国を筆頭とするアジア地域の盛り上がりに対して、日本の強みである完成度の高さや洗練されたものづくりを活かしていくためにも、Mixed Reality によるドラスティックな産業変革は必要不可欠となっていくでしょう。
実際に国内の製造業においても、大手企業を中心に Microsoft HoloLens を採用した新プロジェクトが数多く進行しています。2年後、3年後にはグローバルビジネスのメインストリームになっているというシナリオも十分にあり得ます。日本はもともと圧倒的な現場力で世界の製造業をリードしてきた歴史があります。昨今、グローバルの潮流の中で日本製造業の撤退が相次ぐ中、Microsoft HoloLens によるファーストラインワーカーの革新は、今再び日本の競争力を次のレベルに押し上げるチャンスとなります。我々もそこに貢献していくと同時に、皆様の働き方改革をサポートできるよう力を尽くしていきたいと思います。

●関連リンク

ビジネスアプリケーション「 Microsoft Dynamics 365 Remote Assist 」「 Microsoft Dynamics 365 Layout 」の詳細については日本マイクロソフ テクノロジーアーキテクト 鈴木敦史氏インタビューを参照

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