
NSW
2024/12/17
NSW(1966年設立、旧・日本システムウエア)は、SIerの老舗企業。業務系ソリューションや組込システム開発、デバイスソリューションなどを提供するほか、最近ではIoTやAI、クラウドなど最新テクノロジーにも対応する。さまざまな企業のDXをサポートする中で、企業が抱える課題を同社執行役員 サービスソリューション事業本部 営業統括部長の下釜裕治氏は次のように指摘する。
「少子化などによる労働力人口の減少が急速に進む今、デジタルの活用が不可欠なのは理解しつつも、どこから手をつければいいのか分からず、スタートラインに立てていない企業が多いと感じています」(下釜氏)

そこでNSWでは、自社の課題を洗い出しするワークショップの開催を課題解決の有効手段としている。自分たちの業務がデジタルによってどのように変わるのか、他社の事例を紹介しながらインプットしてもらう。すると、抱えている課題とデジタル活用がひも付き、実証実験につながるケースもあるとのこと。
ECの分野でもNSWの造詣は深い。2000年という早い段階から、自社ECシステムを開発し、大手も含め多様な企業のEC事業をサポートしてきた。そうした中で、現在のEC業界の課題として挙げるのが、やはり人手不足だそうだ。「ドライバーの労働時間の上限が制限される『物流2024年問題』や、ECのバックエンドを支える人員の不足など、多くの場面で『不足』を感じるようになりました」と下釜氏は語る。
Shopify Japanでシニアパートナーマネージャーを務める平田依里朱氏も同様の見立てだ。「世界的に、顧客がやりたいことを実現するためのエンジニアが不足しており、特に日本は深刻です。また、変化が激しいEC業界の動向をキャッチアップする人材の確保が課題となっているのです。システムの世界では5年スパンで減価償却を考える企業が多いですが、それではEC業界の変化に追いつけません。将来を見据えて、時代の流れと消費者の行動変化に合わせられるECプラットフォームを選択し、それを活用することが非常に重要です」。
ECの海外進出を考える際は、海外の販売チャネルの多様さやエコシステムの複雑さに対応しなければならないという課題にも直面する。
「こうしたスピード感や複雑性に対応するには、システム開発においてはアジャイルで進める必要があります。トライ&エラーを繰り返しながら、アジャストしていくという考え方が求められる時代なのです」と下釜氏は指摘する。
Shopifyは2006年にサービスを開始。同社は、提供する「Shopify」の先進性から急成長を続けている。現在「Shopify」は、世界175カ国で利用され、利用する事業者数は数百万以上、2023年に「Shopify」で商品を購入したユーザーは全世界で約6.8億人にも及ぶという。
当初は、中小企業にも最新のECテクノロジーを提供するという思想で始まったが、そうした中小企業が成長したり、大企業からのニーズも拡大したりする中で、さまざまな規模の企業に対応するようになった。現在は、DtoCや実店舗、SNSなどを、すべて1つのプラットフォームで管理でき、BtoBや越境ECにも対応できる大企業向けサービス「Shopify Plus」も展開する。
「Shopify」の強さを支えているのは、変化の激しいEC業界において、それよりもさらに速いスピードで開発を進められる体制を維持している点だ。「2023年は、2000億円以上の開発費を費やしました。また、EC開発にフォーカスしているエンジニアを4500人以上抱えているのも大きな強みです。開発費、エンジニア数共に、競合と比較して15倍以上の競争力となっています」(平田氏)。

「Shopify」では、月に約10件以上、半年で100件以上のプロダクトアップデートが走るというから驚きだ。また、ユーザー独自のアプリケーションを開発することも可能で、今では1万3000以上のアプリが自由に使える状態だという。さらにはAIアシスタント機能も充実させており、商品の背景画像やブログ記事の生成などに活用されている。
そんなShopifyとNSWが出会ったのは2019年頃。NSWが訪れた展示会のShopifyブースで話を聞くと、その先進性に目を見張ったという。
「我々も自社のECパッケージを持っていましたが、成長性や将来への投資などを考える中で、最先端の技術トレンドを持つShopify Japanと組んだほうが良いのではないかと検討を始めました。近年システム業界では、業務に合わせてシステム開発をしていくよりも、成功しているシステムに業務を合わせる『Fit to standard(フィット トゥ スタンダード)』という考え方が広がってきています。ECでもこの考え方が必要でした」(下釜氏)
NSWには、ECと周辺システムとの連携や、これまで培ってきた企業のEC事業をトータルで支援するサポート力など多彩な強みがある。それらの強みを、Shopify Japanを通じて生かしていくことは、理にかなった選択肢だと言えるだろう。
2023年、両社が実際に協業する機会が訪れる。NSWのクライアントである大手アパレル企業の担当者が、活用したいECプラットフォームとして「Shopify」を強く推していた。これをきっかけにNSWとShopify Japanの協議が一気に加速、両社の協業案件第1号となった。
Shopify Japanの平田氏はこう語る。「コロナを機に、大手企業からのお問い合わせが増えていく中で、ECシステム単体だけでなく企業DX全体をトータルで支援してもらえるパートナーを探していました。NSWは、大手への導入実績が豊富にあり、歴史の浅い時期からECシステムを開発してきた技術をお持ちなので、非常に心強く感じています」。
大手アパレル企業のプロジェクトでは、お互いの強みを存分に発揮したようだ。周辺システムやクラウド型のビジネスアプリケーションとの連携などはNSWの得意分野であり、プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネジメントなどもお手のものだった。そして、グローバル展開におけるリージョン対応については、Shopify Japanの支援が生きたという。こうした両者の連携が先進的なECサイト開発の一助を担った。
「Shopify Japanのローンチエンジニアがノウハウを惜しみなく提供してくれ、我々がケアできていない部分を補ってくれました。双方の強みを生かし包括的な提案が可能になりました」と下釜氏は振り返る。
現在、NSWとShopify Japanは定期的にコミュニケーションを取りながら、次なる展開を模索中だ。NSWは、業界特化型のSE(システムエンジニア)を多く抱えており、大手小売業のPOSを中心とした店舗システム全体を担当している部署もある。そうした知見を生かし、実店舗とECを融合させ、顧客一人ひとりの購買体験を向上させる「ユニファイドコマース(Unified Commerce)」の取り組みも視野に入れる。
ちなみにNSWは、自社で独自のクラウドとデータセンターを持っていることも大きな特徴。ユニファイドコマースを進める上では、顧客データを一元的に管理できる基盤構築が必須となる。さらにはECデータと基幹データとの連携などのニーズも高まっている。「顧客はよりデータドリブンな経営の実現を求めています。データを利活用しやすくすることで、ECの機会損失を防ぐ取り組みを進めていきます」(下釜氏)。
Shopify Japanとしても、こうした強みを持つNSWとのパートナーシップを強化していく考えだ。「一緒に業界を変えてくれるパートナーとして、NSWは理想的な存在です。国内に限らずグローバル展開でもご一緒できればと思っています」(平田氏)。
そして下釜氏は、「会社の規模に関わらず、『ECの民主化』を目指すというShopify Japanの考え方に我々も感銘を受けています。EC業界全体に対して、我々の技術で貢献していきたいと考えています」と語った。
最新のECプラットフォームを提供し続けるShopify Japanと、企業のEC事業をトータルでサポートする技術を持つNSW。両社の協業が、今後も大きな相乗効果を生み出し、多くのクライアントの要望を実現するだろう。
