
アフラックのクラウド戦略の基本方針は、IaaSとしてのプライベート・クラウドを採用し、既存の基幹システムやSaaSなど他のクラウド・サービスと連携させるというものだった。そこに保険業務に求められるデータの信頼性、システムの堅牢性、ホストとの連携の容易性を考慮してクラウド基盤を検討し、IBM Cloud Privateを採用した。
IBM Cloud Privateでは、様々なソフトウェアが提供されるとともに、クラウド・ネイティブ・アプリケーションの開発と運用に必要な環境を、プライベート・クラウドとオンプレミス環境の両方で迅速に構築でき、マルチクラウド環境との融合も容易に実現できる。「IBMとは、アウトソーシングでインフラを支えてもらっている信頼関係もありますので、品質の面でも安心して任せられます」と二見氏は話す。
また、機能面で特に注目したのがIBM Cloud Automation Manager(CAM)のセルフ・サービス・カタログだった。この機能を活用することで、他社のクラウドを含めたマルチプラットフォームのサーバー環境の構築を自動化できる。標準化、パターン化された環境を自動的にデプロイすることで、ビジネスの変化のスピードにシステムが対応できるようになる。
さらにIBM Cloud Privateは、オープンテクノロジーをベースに企業の次世代システム基盤に必要な技術が統合され、包括的に提供されていることも大きな魅力だった。AI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳)、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)など、将来のITトレンドの変化に対応できる柔軟性と俊敏性を同時に確保することにもつながる。

アフラックは2018年10月1日からIBM Cloud Privateの本番環境での利用を開始した。このプライベート・クラウド基盤と、メインフレームで構成される既存の基幹システムとの連携については、豊富な実績を持つ日本IBMが支援。ネットワーク環境については、仮想化技術のSoftware Defined Networking(SDN)により、迅速かつ柔軟なネットワーク管理を実現した。
クラウド化による最大の効果として挙げられるのが、ITインフラのセットアップにかかる時間が大幅に短縮されたことだ。これまで2カ月ほどかかっていたものが3日で完了できるようになり、担当者はルーティンワークから解放された。二見氏は「基盤サービスを担当するメンバーはクリエイティブな業務にシフトし、より多くのニーズに対応できるようになりました」と評価する。

またEOS(End Of Service)に頭を悩ませる必要がなくなったことも大きい。クラウド化することで、製品やサービスのサポート期間終了という制限がなくなり、IT担当者は契約関連の作業や製品の非互換性による要件定義、設計作業といった非生産的な業務から解放される。「労働時間の短縮も含めて、IBM Cloud Privateの導入は働き方改革につながるものと実感しています」と二見氏はその効果を語る。
システム環境の品質面では、CAMのセルフ・サービス・カタログが期待通りの成果を上げている。サーバー環境の構築が自動化され、設定が迅速になり、手戻りもなくなった。「サーバー環境の自動化、標準化についても一定のルールに基づいて取り組めるようになりました。今後、さらにレベルアップを図っていきます」(二見氏)。
カスタマーファースト推進のために、ビジネスとITのアジャイル化を進めるアフラックでは、今後もその取り組みを強化しようとしている。FinTech活用および新規事業の推進拠点として「アフラック・イノベーション・ラボ」を開設するなど、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。

システム面では、今回のITインフラのクラウド化へのシフトからさらに一歩先へ進めるべく、新たなチャレンジを視野に入れている。サーバーレスのクラウド環境、FaaS(ファンクション・アズ・ア・サービス)だ。同社ではすでに検討を開始しているという。
サービスを実現させるアプリケーションのフレームワーク部分までクラウド利用で標準化させることにより、ITインフラを意識することなくアプリケーション開発に着手するまでの時間を短縮し、サービス提供のスピードを速めることができる。二見氏は「究極の姿はITインフラを一切持たないこと」とし、今回のIBM Cloud Privateが次のFaaSへのスムーズな移行につながるものと期待している。
二見氏は「変化は待っていても起こりません。自ら起こすもの。オープンイノベーションで大事なことは、確固たるビジョンとクイックに動ける環境です」と指摘する。同社の変革はますます加速していくことになりそうだ。
