日経クロステック Special
営業力×デジタルで1兆円企業を目指す

オープンハウス
IT内製化こだわる理由

基幹システムから画像解析まで
あらゆるシステムを手掛ける

 そもそもオープンハウスが「ITの内製化」に舵を切ったのは、営業担当者や顧客が求めるシステムを、なるべく迅速にリリースしたいという思いがあるからだ。

株式会社オープンハウスグループ
情報システム部
インフラストラクチャグループ
主任
荒井 康生

2019年、ユーザー系SIerのクラウドエンジニアとしてキャリアをスタート。21年、オープンハウスグループに入社。システムのインフラや社内向けITツールの企画から運用などを担当している。ServiceNowについては企画から運用までを担当。

 「SIerに開発を依頼すると、どうしても時間がかかるだけでなく、意図通りに仕上がらず、無駄な投資になってしまうこともあります。自分たちが使いたいシステムやアプリケーションを、できるだけ早く手に入れるためには、自分たちで創るしかないのです」と語るのは、オープンハウスグループ 情報システム部 インフラストラクチャグループ 主任の荒井康生氏である。

 2014年に内製化をスタートしたオープンハウスは、外部から多数の人材を採用した。現在では、情報システム部門で活躍する人材の約7割が中途入社したエンジニアたちだ。インフラやクラウド、AIといった専門性の異なるエンジニアを抱えることで、基幹システムからCRM、SFA、AIを使った画像解析システムなど、あらゆる種類のシステムやアプリケーションを開発できる体制を整えた。

 「営業などの各事業部門からは、常に『こんなシステムはできないか?』という相談が寄せられています。どの部門も売上高1兆円に向けて頑張っているので、情報システム部としても、自分たちのできることでしっかりと支援していきたい。単なるエンジニアではなく、現場の“困り事”をデジタルで解決するコンサルタントとして、事業部門に寄り添いながら開発を進めています」(荒井氏)

 じつは伊藤氏と荒井氏も、2021年にオープンハウスに入社したばかりの転職組だ。荒井氏はオープンハウスに入るまで、金融系のSIerで活躍していたが、「当事者意識を持って開発できる環境に身を置きたい」と事業会社への転職を決意。成長の勢いに魅力を感じて、オープンハウスに入社した。

 伊藤氏も、前職は大手ゼネコンの社内エンジニアであったが、「プロジェクトマネジメントや社内調整、ベンダーの管理といった仕事に満足できず、自ら手を動かせる仕事がしたいと思いました」とその理由を明かす。成長著しい会社のシステム開発に直接関与できるというのは、エンジニア冥利に尽きるようだ。

 あえてシステム開発を外注せず、すべて内製化するというのは、不動産業界では珍しい取り組みである。しかもオープンハウスは、ほとんどのシステムをパブリッククラウド上で構築・運用している。これも、オンプレミスによる運用が一般的な不動産業界では異例中の異例だ。伊藤氏は、「事業部門のニーズの変化に応じてリソースを柔軟に拡張できるように、あえてクラウドをベースとする運用にこだわっています」と説明する。

システムが増えるにつれて
管理の重要性が高まる

 2014年に内製化をスタートして以来、オープンハウスがこれまでに開発したシステムやアプリケーションの数は240以上に上る。現場のニーズに応えながら積極的に開発してきた結果であるが、数が増えるにつれて、その管理が問題になってきた。

 「どのサーバー上で動いているシステムなのか、誰が管理しているのかといったことが見えにくく、万が一障害が発生したときに、原因の究明や復旧に時間を要しかねないことが課題として浮かび上がってきました。システムやアプリケーションが停止すると、どの業務やサービスに影響が及ぶのかという関係性がすぐに把握できないことも大きな問題でした」と伊藤氏は語る。

 これらの課題を解決するため、オープンハウスはITサービスマネジメントのベストプラクティスであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)に準拠した管理の仕組みを導入することを検討。複数のソリューションの中から、ServiceNowが提供するIT Operations Managementを選定した。

 荒井氏はIT Operations Managementを選んだ理由について、「システム構成の最新情報を常に把握するため、構成管理データベース(CMDB)が自動作成できることは必須だったのですが、それ以外にシステムの変更管理や、障害が発生した際の問題管理などもできることが選定の大きな決め手になりました。6社くらいの他社製品と比較検討し、CMDBを作れるだけ、変更管理ができるだけの製品であれば他にも選択肢はあったのですが、これらの管理がすべてできるのは、ServiceNowのIT Operations Managementだけでした」と説明する。

 2021年12月に導入を決定し、翌2022年1月に開発をスタート。それからわずか4カ月で本稼働させた。他のシステムと同じように、IT Operations Managementについても外部ベンダーの力を借りることなく、自分たちだけで開発した。

 「ServiceNowの開発は初めてでしたが、非常に分かりやすい設計になっているので、短期間で作り上げることができました。パブリッククラウドごとの特性に合わせて調整するのに多少苦労しましたが、ServiceNowのプリセールス担当から懇切丁寧なアドバイスをいただき、ほとんど問題なく開発を進めることができました」と荒井氏は振り返る。