日経クロステック Special
営業力×デジタルで1兆円企業を目指す

オープンハウス
IT内製化こだわる理由

設定変更の状況を「見える化」
安定稼働を脅かすリスクが減る

 ServiceNowのIT Operations Managementには、Discovery、Service Mapping、Certificate Managementという3つのソリューションが用意されている。

 Discoveryは、正確なシステム構成情報を自動的に定期収集し、構成管理データベースに構築するソリューションだ。ITインフラ管理が目的ならこれだけでも十分だが、システム障害が発生した際に、どの業務やサービスに影響が及ぶのかを「見える化」するためにはService Mappingが役立つ。またCertificate Managementは、サーバー証明書の情報を定期的に自動取得することで、更新漏れなどのミスを防ぐことができるソリューションだ。

 オープンハウスは、この3つのソリューションをすべて活用している。「240以上もあるシステムを常に安定稼働させるためにも、せっかく使えるソリューションを使い切らない手はないと考えました」と伊藤氏は語る。

 システムごとの設定はそれぞれの担当エンジニアが行っており、IT Operations Managementの導入前は、誰が、いつ、どのシステムに、どのような設定変更を加えたのかを把握するのが困難であった。そこで、Discoveryによりパブリッククラウド上で稼働している各システムの設定状況の変化を確認することを実現した。

 「Discoveryですべてのシステムの設定状況を1日1回チェックし、前日との差分を取ることで、変更状況が正確かつリアルタイムに『見える化』できるようになりました」と荒井氏は語る。

 さらに、エンジニアごとに行っている設定変更を一元化するため、ServiceNowのIT Service Managementを活用する準備も進めている。

 IT Service Managementは、ITILに準拠するルールでITサービスを管理するためのソリューションである。ITILのルールの下では、システムの設定変更が必要な場合、それをリクエストするチケットを発行し、チケットを受け取った担当者が処理することになる。これによって各エンジニアが勝手に設定を変更することはなくなり、想定外の変更を見逃すことでシステムの安定稼働が脅かされるリスクも低減されるわけだ。

 伊藤氏は、「各エンジニアが独自に設定変更を行う習慣が付いたのは、内製化を積極的に進め、開発から運用に至るまでの裁量を与えてきたことが背景にあります。開発にブレーキをかけるつもりはありませんが、安定稼働のために管理はある程度強化していきたい」と語る。IT Operations ManagementとIT Service Managementの組み合わせによって、その目標は実現できそうだ。

証明書管理の工数が
従来に比べて約7割も削減

 また、Service Mappingについては、システム障害の発生時に、その影響がどの業務やサービスに及ぶのかを見るために活用している。

 「Discoveryのシステム構成情報を基に、システムやアプリケーションの相互依存状況を自動的にマッピングしてくれるので、影響の及ぶ範囲が特定しやすくなります。IT Operations Managementを導入してまだ2カ月ほどですが、実際に障害が発生したときにはかなり役立ちました。システム障害によってビジネスを止めるリスクが低減されたのは、非常にありがたいことだと思います」と伊藤氏は評価する。

 また、Certificate Managementでは、社内で稼働している全システムの証明書情報を一元管理している。

 「以前はスプレッドシートに全システムの情報を入力し、1件1件の有効期限をチェックしていました。うっかり証明書の期限を見逃し、システムを止めてしまったこともあります。Certificate Managementは期限が迫っているシステムを自動抽出してダッシュボード上に表示してくれるため、見逃す心配がありません。システムを止めるリスクがなくなっただけでなく、チェックをする手間も解消されました」(荒井氏)

 証明書のチェックに要する工数は、従来に比べて約7割も削減されたという。業務の効率化の点でも、IT Operations Managementの導入効果は大きかったようだ。

 荒井氏は、今後のIT Operations Managementの活用について、「システム構成や障害発生状況の『見える化』は実現できたので、これからはイベント管理を自動化したいと考えています。また将来的には、社内のITインフラだけでなく、SaaSなども含めたすべてのインフラを1つのダッシュボードで管理できる環境を実現するのが究極の理想です」と語る。

 伊藤氏はオープンハウスの今後のデジタル化戦略について、「売上高1兆円に向けて、いかにインパクトのある貢献ができるかということが情報システム部としての大きなテーマです。さらなる内製化の推進によって貢献することはもちろんですが、一方で業務やサービスを止めないために、システムの安定稼働やセキュリティにも力を入れていきたい。ServiceNowの活用機会はさらに増えそうです」と語った。

オープンハウスが開発したIT Operations Managementのダッシュボード。最新のシステム構成情報や、サーバー証明書の有効期限などが「見える化」した。
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