日経クロステック Special

カーボンニュートラルを実現するアナログ・デバイセズのオートモーティブ・ソリューション Vol.2 半導体からソフトウエアまでプラットフォームで提供 包括的なソリューションでバッテリの循環利用を加速する

電圧精度が特長のセル電圧モニタIC
wBMSはOEMの採用が進む

 こうした市場の変化を受けて、高性能なアナログ半導体を幅広く提供するアナログ・デバイセズは、半導体だけではなくソフトウエアなども含めたいわゆるプラットフォームでのソリューション強化を進めている(図.1下)。

 ここではバッテリ・マネージメント・システム(BMS)に関するプラットフォームの一端を紹介しよう。

 「中心となるソリューションが、2009年に第1世代を開発して以来、業界をリードするセル電圧モニタICです。セル電圧を精度高く測定できるため、充電状態(SoC:State of Charge)の正確な推定が可能になり、バッテリの有効容量を最大限に活用することができます」と池本氏はメリットを訴求する。

 例えばLTC6804やLTC6811は直列12セルの全測定誤差が±1.2mV未満と小さく、経年変化にも強い。こうした性能は業界でもトップクラスであるという。

 また、セル電圧モニタICが測定した電圧情報をワイヤレスによって堅牢かつセキュアに接続する独自のワイヤレスBMS(wBMS)ソリューションも提供する。「ハーネスが不要になるため軽量化とコストダウンが図れると共に、追加のバッテリ・セルを搭載するスペースも生まれます。wBMSはすでに海外の大手自動車メーカーに採用されています」と池本氏は説明する。

入出力電荷やパック電圧を測定できる
バッテリ・パック・モニタの新製品

 バッテリ・パック全体の監視に適したソリューションが、バッテリ・パック・モニタADBMS2950だ(図.2)。

 バッテリ・パックから流出した電荷およびバッテリ・パックに流入した電荷を、シャント抵抗を用いて高精度に計測するロスレス・クーロンカウンタ機能、バッテリ・パック全体の電圧測定機能、高速A/Dコンバータを用いた過電流検知機能、10チャンネルの電圧測定機能、6チャンネルの汎用入出力(GPIO/GPO)、シャント抵抗の温度を測定するサーミスタ入力、および通信用インターフェースなどをシングル・パッケージに搭載した最新のソリューションである。

 このうち、10チャンネルの電圧測定機能は、バッテリ周りの温度センシング、各種電圧測定の冗長化、コンタクタやヒューズの状態監視など、さまざまな測定に利用できる。

 ADBMS2950は、自動車だけではなく、据え置き型のバックアップ・バッテリ・システムや、電力網に接続される電力貯蔵システムにも活用される。

ADBMS2950: バッテリ・パック・モニタ

図2バッテリ・パックの電圧や入出力電流(電荷)の監視機能を統合した、最新のバッテリ・パック・モニタADBMS2950の概要。

電気化学インピーダンス分光法を搭載した
次世代BMSを開発中

 アナログ・デバイセズではプラットフォーム化の一環として、前述のICなどで構成されるバッテリ・マネージメント・システム用のデバイスドライバの提供も進めている。ISO26262のSafety Mechanismを実装しており、外部認証機関による認証も取得済みだ。

 さらに、新たなソリューションとして開発を進めているのが、電気化学インピーダンス法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)による測定機能を搭載したBMS ICである。EISとは、微弱な交流電圧または交流電流を印加し、応答電流または応答電圧の比や位相からインピーダンスを求める手法である。

 インピーダンスをEISで測定するには通常は複数台の計測器が必要だが、同社のアナログ技術を生かしてICだけで実現する予定だ。

 継続的なインピーダンス変化の測定は、今後の需要増加が予想される中古バッテリの二次利用に向けたデータの一つとなり、本機能を搭載した開発中のICは有効なソリューションになると期待される。

 以上、アナログ・デバイセズのBMS関連のソリューションの一端を紹介した。「プラットフォームとしてのソリューション提供を通じて、EV/BEVの新型車の開発に加え、バッテリの二次利用を軸にした新たなトレンドや産業界のニーズに応えていきます」と池本氏は展望を語る。

 アナログ・デバイセズは、EV/BEVの普及と循環型社会の実現に向けて引き続き取り組んでいく。