
アナログ・デバイセズは高効率なLEDドライバの提供を通じて、ライティングの多様化に応えてきた。
現在の代表的な製品の一つが「MAX25603」だ。駆動できるLEDストリングは1系統で、ロービーム、ハイビーム、デイタイム・ランニングライト(DRL)、ポジション・ライト(車幅灯)などが一体化されたコンビネーション・ライトの駆動に適する。アナログ信号もしくはPWM信号による調光に対応する。
液晶パネルのバックライトに適するのが、4×24構成のLEDマトリックス・ドライバ「MAX25500」である。前のサイクルのゴーストを除去する機能を備える他、2層基板に実装できるなどの特徴を持つ。多くのサプライヤが車載ディスプレイに採用済みだ。
門川氏は「さらに、ヘッドライト用の新しいLEDドライバの開発を進めている他、バックライト用はTCON(タイミング・コントローラLSI)を提供しているベンダーと共同で仕様を固めるなどの取り組みを行っています」と補足する。
LEDは、HUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)の光源、開錠時に足元を照らすウェルカム・ライト、多色で車内を演出するアンビエント・ライトなどにも使われている。アナログ・デバイセズではニーズに即したLEDドライバの提供に引き続き努めていく考えだ(図.1)。
電源視点のもう一つのトレンドとして、E/Eアーキテクチャの変化を取り上げたい。
電子化と電動化を背景に、E/Eアーキテクチャは進化を続けている。機能ごとにECUを置く従来のフラットな構成から、複数のECUを統合したドメイン・アーキテクチャへと移行しつつある。
さらに、クルマの機能をソフトウエアによって実装するいわゆるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)の実現も見据えて、中央に高性能なコンピュータを置き、前後左右の各ゾーンにゲートウェイを置く「ゾーン(ゾーナル)アーキテクチャ」が新たに提唱されている。
「フラットからドメインへ、ドメインからゾーナルへと進化するに連れて、SoC(プロセッサ)はより高性能なものになり、要求される電力も大きくなっています。厳しい電圧精度を満たしながら大電流を安定的に供給することが電源回路の要件であり、かつ、発熱も抑えなければなりません」と門川氏は指摘する。
SoCの高性能化に対応すべく、アナログ・デバイセズでは大電流ソリューションの拡充を進めている(図.2)。門川氏は「2021年に買収した旧マキシム・インテグレーテッドの高性能な半導体プロセスと、2017年に経営統合した旧リニアテクノロジーが得意としていたパッケージング技術を融合させながら、数百Aクラスを含む次世代製品の開発に取り組んでいます」と説明する。
現行製品の一例が「MAX20411」である。出力電圧は0.5Vから1.275V、最大出力電流は16A(Aバージョン)から40A(Dバージョン)まで4品種がある。
「プロセスや温度による特性変動を補償するMAXQ Powerと呼ぶアーキテクチャを採用しているのが特徴です。出力コンデンサ容量のマージンを考慮する必要がないことや、過渡応答特性に優れていることもあり、出力コンデンサの容量を半分程度に削減することができます」(門川氏)
また、出力電圧値や補償定数などはワンタイム・プログラム(OTP)機能によって工場出荷時に設定されるため、この点でも外付け部品の省略が図れる。内蔵MOSFETのオン抵抗が小さく、上面からも放熱できるパッケージを採用しているため、放熱設計の点でも有利だ。さらに、安全規格であるASIL-Dに準拠しているのも特徴だ。
以上、LEDライティングとE/Eアーキテクチャを例にアナログ・デバイセズのソリューションを紹介した。とくにEVの時代においては、航続距離に直結するという意味でも、損失の少ない高性能な電源が求められる。
アナログ・デバイセズは、強みとしてきた電源回路技術、プロセス技術、およびパッケージング技術を融合しながら、自動車業界のニーズに応えていく。
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