沓掛 中西さんはおよそ30年にわたって自動車産業界のアナリストをされてきたと伺っています。そうしたご経験を踏まえて、今の自動車産業をどうみていますか。
中西 新型コロナウイルスの影響もあって日本の自動車産業が逡巡している間に、中国市場を中心に世の中が激変したのがここ2年から3年の動きといえます。
中国政府は2025年までにEVを含む新エネルギー車の比率を20%に高めるという目標を設定していましたが、実際には2022年の時点で年間2600万台ほどの新車販売台数の25%に達し、さらに2023年には30%を超えると見込まれています。日本国内の新車販売台数420万台よりも、中国で売れているEVのほうが多いのです。要は政策ではなく消費者自らがEVを選んでいるわけです。結果として、中国や北米のEV専業メーカーに対抗できていない日本の自動車メーカーは苦戦を強いられています。
中国自動車市場が世界をリードし、中国や北米のEV専業メーカーがクルマの進化をリードしているのが現状といえます。
沓掛 アナログ・デバイセズは自動車産業の中ではいわゆるTier2に該当し、Tier1と呼ばれるサプライヤのお客様を中心に車載用半導体デバイスを提供してきました。しかし、ここ最近は自動車メーカーから直接お話をいただく機会が世界的に増えていて、バッテリの電圧や電流をワイヤレスで監視するワイヤレス・バッテリ・マネージメント・システム(wBMS)に関してゼネラルモーターズと直接パートナーシップを結んだ例もあります。自動車メーカーとサプライヤの関係にも変化が生じていると感じているのですが、いかがでしょう。
中西 EV専業メーカーの多くが主要部品の垂直統合化(内製化)を進めています。特定領域を得意とするサプライヤとの水平分業はなくてはならないものですが、ご指摘のように、自動車メーカーとサプライヤの役割も変化しつつあります。