

ベトナムの大学生6人が日本への留学を通じて意気投合し、IT企業を創業。日本向けのシステム開発で実績を積み重ね、10年強で1600人体制まで規模を拡大した——。絵に描いたようなサクセスストーリーを地で行くのが、ベトナムのハノイに本社を構えるRikkeisoftだ。同社の経営陣に、成長のポイントや人材育成策などを聞いた。(聞き手は大和田 尚孝=日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長)

Rikkeisoft
会長
タ・ソン・トゥン氏
——Rikkeisoftの創業メンバーは大学のクラスメイトだったそうですね。
タ・ソン・トゥン会長:はい。創業メンバーの6人は、ハノイ工科大学のクラスメイトです。全員が日本への留学経験があり、4人が立命館大学、2人が慶応義塾大学で学びました。Rikkei(リッケイ)という企業名は、2つの大学にちなんで付けたものです。
日本法人リッケイのブイ・クワン・フイ社長:私も創業メンバーの1人で、6人の創業メンバーは今でも全員がグループに在籍しています。
私達が卒業したハノイ工科大はベトナムにおける理系のトップ大学で、現在の社員の3〜4割も同大の出身です。潜在力を秘めた、優秀な社員が多いことが私たちの誇りです。
——現在の事業規模や事業内容を教えてください。
トゥン会長: ベトナムにはハノイ本社のほか、ホーチミン、ダナン、フエの4拠点があり約1300人の従業員がいます。日本法人(リッケイ)は東京、大阪、名古屋、福岡の4拠点で250人以上おり、最近はタイのバンコクとアメリカのテキサスにも拠点を開設しました。現在はグループ合計10拠点、1600人体制になります。日本市場を中心にグローバル市場にも積極的に取り組んでいます。
主な事業内容は、ソフトウエア開発やマネージドサービス、品質保証などのITサービスの提供と、クラウド、AI、ブロックチェーン、ローコードといったデジタルソリューションの提供です。
スマートフォン向けのアプリ開発、Webシステム開発、ECサイト構築などは創業当時から手掛けており、深い専門知識と実績があります。ある程度会社の規模が大きくなってからは、ERP(統合基幹業務システム)の導入や、オンプレミスのシステムからAWSクラウドへ移行するクラウドマイグレーションなどで実績を積み重ねてきました。近年はAI(人工知能)や IoT(Internet of Things)、クラウド、米セールスフォースの「Salesforce Platform」や独Siemens の「Mendix」を使用したローコード開発など、DX推進に不可欠な最新テクノロジー分野に注力しています。このように、非常に幅広い分野を得意としています。
業種としては、大手スーパーマーケットなど小売業の案件を多く手掛けています。具体的には、在庫管理やEC(電子商取引)、スタッフ向けのスマホアプリなどを構築しました。金融分野においては、資産管理会社向けの大規模システムを開発した経験があります。この他にも製造業、自動車、物流、エンタメ、公共など、幅広い業種の案件を手がけています。
当社は2012年の創業から11年でこの規模まで拡大できました。私たちは、お客様のビジョンを実現するために、常に最新のテクノロジー動向を注視して取り組んでいます。そして、お客様との連携を大切にして、信頼性と専門知識を提供することで、成功に向けたパートナーシップを築いていけるように常に努力しています。
——成長を遂げることができた理由は、どのあたりにありますか。
リッケイ顧問の山口賢治氏:日本企業からは「開発技術能力が高い」「言葉の壁をあまり感じない」「発注側の要求仕様や説明内容を理解する力がある」「技術者間で気持ちが通じる」など、ありがたい評価を頂戴しています。技術力はもちろん大切なのですが、それだけでなく、日本語でのコミュニケーション力も受注を伸ばすことができた理由だと考えています。
トゥン会長:日本語が得意な技術者を豊富に抱えていることが当社の強みです。そのような人材をさらに増やす目的で、特徴的な取り組みをしています。