

得意技は「COBOLレガシー」の保守——。ベトナムのIT企業の多くがスマホアプリやAIなど最新技術を得意とする中で、ルビナソフトウエアは独自の戦略を貫く。同社の顧客は全て日本企業。全ての経営リソースを日本に振り向ける。ユニークな方針の裏には、日本企業のニーズに応えることを最優先に考える、創業者のこだわりがある。日本での留学経験を持つ「日本通」のレ・クアン・ルオン代表取締役社長の経営学と、ルビナソフトウエアの特徴に迫る。(聞き手は大和田 尚孝=日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長)

ルビナソフトウエア
代表取締役社長
レ・クアン・ルオン氏
——レガシーシステムの保守に注力していますね。
はい、日本の銀行や証券会社、保険会社などの中核業務を支える基幹系システムの保守やメンテナンスを担当しています。おかげさまで約15年にわたって順調に受注を増やしており、現在は売上高の20〜25%を金融機関向けのレガシー案件が占めています。野村総合研究所やTISなど日本のIT大手から間接的に受注するケースが中心ですが、一部の証券会社などからは直接請け負うケースも出てきています。
金融以外にも、日本の巨大な社会インフラを支える、伝統的なシステムの維持などを多く手掛けています。具体的にはヘルスケアや電力会社、人材派遣、交通機関、EC(電子商取引)などです。お客様とは10年といった長期でお付き合いをするケースが多く、これは品質の担保によって信頼を得ているためだと自負しています。
当社は2004年の設立以来、日本企業向けの案件のみを受注してきました。日本以外の国や、ベトナム国内向けには事業を展開しておらず、日本向けに100%コミットしています。開発拠点は本社があるハノイと、ベトナム第3の都市ダナンに加えて、川崎市にもあります。従業員は800人程度です。
——大企業の社会インフラを担うシステムは高い信頼性が求められます。そのような重要案件を続けて受注できる理由はどこにありますか。
最も重要なのは「日本品質」、つまり日本企業が求める品質への敬意と理解です。欧米と日本では求めるレベルが異なります。欧米の場合、システムが95%仕上がれば完成とみなし、納入してOK、という考え方です。日本企業は100点満点を求めます。
95点のシステムをつくることができるIT企業は世界中にたくさんありますが、100点のシステムをつくることができるところは数少ない。95点から100点へと品質をレベルアップするには、多くのコストがかかりますし、高い技術力も必要になるためです。
わずか5点の差と思われるかもしれませんが、そこに経験と技術力、顧客業務への理解が必要になります。システムを95点から100点に引き上げる力によって、日本企業から信頼を得て、長期にわたってインフラを支える仕事を発注してもらっています。