

日本の大企業からシステム開発を連続受注する、ベトナムの新興IT企業がある。創業2017年、首都ハノイに本社を構えるVTIだ。最初は小規模な案件を「お試し」で請け負い、仕事ぶりによって信頼を獲得。受注を順調に伸ばしている。快進撃の理由をチャン・スアン・コイ社長に聞いた。(聞き手は大和田 尚孝=日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長)

株式会社VTI
社長
チャン・スアン・コイ氏
——日本企業からシステム開発などの案件を直接受注しているようですね。最初はどのようにアプローチするのですか。営業攻勢をかけるのでしょうか。
コイ:いえ。営業のリソースは限られますし、そもそも新規で突然に訪ねてもあまり相手にしてもらえないでしょう。
IT関係の展示会で知ってもらったり、友人が紹介してくれたり、といった形です。様々な形で知り合った日本企業の方から、お試しで発注いただくのがきっかけです。
いきなり大規模な案件を任せていただけるわけではありません。最初は小規模な体制でスタートし、信頼を重ねることで規模を拡大してきています。既に100人体制で対応している大企業の案件もあります。
業種で見ると、流通業やサービス業のお客様との付き合いが深いです。技術分野としてはAI(人工知能)関連が多くあります。「どんな案件でも請け負います、なんでもやります」というスタンスではなく、当社の強みを発揮できる案件を中心に受注しています。
現在、当社の売上高の90%以上が日本企業向けのビジネスによるものです。多くの案件で、日本のシステムインテグレーターを通さずに直接受注しています。
——具体的にはどんな企業から受注していますか。
コイ:例えば高速バス大手のWILLERがお客様です。同社とは、日本とASEANで利用可能なMaaS(Mobility as a Service)の提供を目的として、MaaSアプリケーションの共同開発に取り組んでいます。両社で合弁のWILLER VTI Company Limitedも設立しました。
合弁を通じて、特定の地域や都市を対象に、移動手段を毎月定額・乗り放題で提供するサービスの開発を進めています。将来的に、日本の複数の都市・地域やベトナム、シンガポールなどでサービスを展開する計画です。
WILLERについては2018年に友人から、「あるシステムを3か月以内に開発したい日本企業がいる」と紹介を受けました。WILLERの幹部の方が視察の目的でベトナムを訪れ、複数のIT企業を訪れ、その中から当社を選んでいただきました。
その後、ベトナムや日本におけるタクシー配車システムや長距離交通機関の予約システムなどの開発を請け負い、取引が広がりました
流通業の事例としては、イオングループで、マルエツやカスミ、マックスバリュ関東などの事業会社を率いるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)や、同じくイオングループのコンビニエンスストアであるミニストップがあります。