同社の幅広い電源ラインアップの中で、高性能SoCに適した降圧コンバータ・ソリューションがMAXQパワー・アーキテクチャファミリである。
負荷変動に対する過渡応答特性に優れており、結果として出力電圧の安定に欠かせない出力コンデンサ(Cout)を最小限に抑えられるのが特長である。条件次第では従来ソリューションに比べて出力容量を最大75%削減可能であり(図2)、部品コストの削減や実装の小型化を図ることができる。


その仕組みについて、門川氏は次のように説明する。「過渡応答特性を決める位相補償ループのユニティ・ゲイン帯域幅(UGBW)を十分に確保するとともに、プロセスのばらつきや温度変化に対して、ユニティ・ゲイン帯域幅の変動が最小になるような工夫を行っています」。
高性能SoCは内部動作に応じて消費電流が大きく変動するため、出力コンデンサの容量を大きくして電圧変動を吸収することが一般的だ。
MAXQパワー・アーキテクチャは、負荷変動に対して強く、また、出力電圧の精度も高い特性を持つ。大きな電力を必要とする高性能SoCに最適な降圧コンバータ・ソリューションと言えるだろう。
MAXQパワー・アーキテクチャ製品のうち、第1世代にあたる「MAX20011」は、出力電圧0.5Vから1.275V、出力電圧精度±1.5%、出力電流8Aまたは12Aの降圧コンバータである。自動車の機能安全規格(ISO 26262)で定められたASIL-Dに準拠しており、電圧リファレンス回路の冗長化、自己診断機能、I²Cでのパケット・エラーコードの採用、電圧値を設定可能なオーバーボルテージ/アンダーボルテージ機能などを搭載している。「MAX20011はすでに多くのTier1サプライヤのお客様に採用されています」と門川氏は述べる。
MAXQパワー・アーキテクチャの第2世代品である「MAX20438」は、第1世代品に比べて出力コンデンサをさらに削減できる。出力は0.5V~1.2V/12Aで、変換効率は最高93%と高い。
なおこの第2世代以降は、アナログ・デバイセズが開発したプロセス・プラットフォームで製造されており、優れた過渡応答特性の他、エネルギー変換効率の向上、電力密度の向上など数々のメリットをもたらしている。将来を見据えてASIL-Dに準拠した品種にも注力していく。
アナログ・デバイセズは、この他にも、インストルメント・クラスタやインテリジェント・ライティングシステムの駆動、48V電源レールの生成など、さまざまな車載アプリケーションに応えるソリューションを提供している。
「豊富な製品ラインアップだけではなく、日本法人には数多くのフィールド・アプリケーション・エンジニアが在籍しており、とくに電源に関しては国内トップクラスの知識量とサポート量を自負しています。車載の電源回路に求められるニーズが大きく変化する中で、引き続き製品の魅力を国内のお客様にお伝えするとともに、新しい製品の開発に努めていきます」と門川氏は総括する。
クルマの価値を高めるSDV(ソフトウエア定義型車両)の実現に向けて、ECUや車載ネットワークを集約するゾーン・アーキテクチャへの移行が始まっている。また、AD/ADASの進化に加え、インフォテインメント機能の向上もあり、車載SoCにさらに高い性能が求められるのは確実だ。
アナログ・デバイセズはそうしたトレンドを見据えながら、MAXQパワー・アーキテクチャをはじめとする優れた電源ソリューションの提供に努めていく。