「稼ぐ力」を劇的に高めるROIC経営、その大きなメリットと越えるべき壁とは?

ROIC経営は現場に浸透することで
企業価値の向上につながる

「ROIC経営は、開示のためにしぶしぶ行うものではありません。持続的な企業価値向上に必要な、経営の高度化のため重要なステップだと認識してほしい」とデロイト トーマツの山田氏は語る。

その上で、企業がROIC経営を導入し、進めていくための活動として、「変革目的の具体化と浸透」「管理指標の定義と算出」「管理プロセスの再構築」「システム基盤の整備」という4つのポイントを挙げる。

ROIC経営で先行する企業では、ROIC指標による事業のモニタリングを実施。その結果から1500億円規模の事業売却を経営判断した例がある。また、ROICの意味を現場に浸透させるため、独自の計算式に置き換えて浸透を図ることで、社員一人ひとりがROIC経営を自分ごととして捉え、チェンジマネジメントに成功した企業も存在する。

ROICの適用範囲は、必ずしも全事業が対象にならないとデロイト トーマツの山田氏は指摘する。

「例えば市場開拓型の事業では、当初ROICが低くなるのは当たり前です。その場合は売上高成長率をメインに使い、ROICは補完的に用いるべきです。事業のライフステージと特性を見極める必要があります」

またROIC経営を実現するために重要なのが情報インフラだ。

「ROIC経営では企業グループ各所から上がってくる実績や計画の数字をどのように収集し、分析するかが課題の一つです。多くの企業は、こうした業務をExcelを中心とした非効率な作業で行っているのが現実です。EPM(Enterprise Performance Management)を活用し、データを統合基盤に一元化管理し、報告業務作成を効率化・自動化することで、例えば計画が未達のときなどには迅速に解決策を検討し、実行に移すPDCAサイクルを回すことが重要です」

EPM活用により各部門のデータを一元化・可視化し、
ROIC向上に向けたKPIマネジメントを高度化する
EPM活用によるROIC管理例

EPM活用によるROIC管理例
企業全体のデータ基盤に各部門のデータを統合することで、ROIC経営に必要な主要KPIを管理する。同時に、各部門が独自のKPIを設けてモニタリングすることも必要だ。

ROIC経営を支える
「計画」と「実行」の管理基盤

ROIC経営を含めた経営の高度化に必要な情報基盤として、オラクルが提案するクラウドアプリケーションがCloud EPMである。2012年からSaaSとしてサービスを提供しており、現在世界で20以上の業界で、7300社以上が利用している。

日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括の山田康雄氏は、「予算作成から予実管理、AIなどを用いて将来予測を行い、社内外への報告を行うまでの一連のプロセスを効率化し、タイムリーなデータに基づいた経営管理を高度化させていくことがファイナンス部門に今求められています」と改めて説明する。

山田氏
日本オラクル株式会社
クラウド・アプリケーション事業統括
FMS/EPMソリューション本部
EPMソリューション部
シニアソリューションコンサルタント
山田 康雄
日本オラクル入社以来15年以上にわたり、連結経営管理・予算管理会計のプリセースを担当。幅広い企業へのOracleソリューション提案に従事。

従来、経営計画は売上高など企業の損益情報(P/L)を中心に管理されてきた。しかし、ROIC経営では、投下資本を含む財政状態(B/S)やキャッシュフローの管理が不可欠である。

「これらを一から設計して経営管理基盤を作るのは非常に時間がかかります。Cloud EPMでは、事前定義されたベストプラクティスをテンプレートとして提供しており、P/L、B/S、キャッシュフローの財務三表を作成し、関連するKPIを管理するシステムを短期間で実装することが可能です」

Cloud EPMを利用している顧客には、ダッシュボード機能を活用し、ROICの管理を行っている事例があるとオラクルの山田氏は語る。

「例えば横軸を事業ごとのROIC、縦軸を売上高成長率として各事業のポジションを表示させると、投資を強化すべき事業と、改革あるいは撤退等が必要な事業が一目で把握できます。グラフの情報は表面的に集めた数字ではなく、システムからデータを抽出しているため、さらに掘り下げた分析も可能です」

また、企業が稼ぐ力を身に付けるためには、精度の高い事業予測も必要だ。Cloud EPMは、製品単価、数量といったいわゆるドライバデータを変化させた予測シミュレーションなど、複雑な予測を短時間で行うことができる。

予測プランニング (Predictive Planning)
経験と勘だけにとらわれない、統計手法による過去実績に基づく
予測値の算出が可能

予測プランニング (Predictive Planning)
Cloud EPMには、管理しているデータから統計解析の時系列予測によって将来を予測するアルゴリズムが組み込まれている。実際には13種類のアルゴリズムから最も精度の高いものが自動的に選択される。

レポート作成の負担を
テクノロジーで軽減

経営管理の効率化・高度化においては、最終の「レポーティング・社内外への報告」の効率化・精度向上も重要である。

「結果を評価するときに、単なる数字の報告だけでなく、考察を加えることが非常に重要です。数値だけでなく、各部門の考察を取りまとめ、報告資料として作成することも大変な作業です。Cloud EPMでは、数値情報とそれに付随するコメントなどの文字情報も一元管理して、常に最新情報を基にレポーティングができる『ナラティブレポーティング』の機能を搭載しています」(オラクル・山田氏)

将来的には生成AIを用いたレポーティングの自動化も製品として提供するロードマップもある。

デロイト トーマツの山田氏のコメントにもあったように、ROIC経営は、事業現場を含めた全社活動で進めなければいけない。ただ実際には、本社以外の部門にはROICを理解し、どのように分析・アクションを検討すればよいかをサポートする仕組みが必要である。

そこでオラクルでは、Cloud EPMを基盤にしたROIC経営を全社に浸透させるための中心組織である、CoE(センターオブエクセレンス)構築も支援している。

「企業にとってROICの管理は難しいテーマです。数字をどう読み取って分析すべきか、予測技術をどう使うべきかなど、学ぶべきことが多くあります。現場がROICの本質を理解し、浸透させていく組織を作っていくことが重要になります。また、単純にシステムを導入して自動化したということではなく、『本当に使える状態』にすることが重要で、Cloud EPMを活用いただくことで経営管理プロセスの高度化、効率化を進めていただくことが可能になります。」とオラクルの山田氏は語った。

企業内外の報告資料作成の一元化と効率化を支援
Narrative Reporting

Narrative Reporting
部門ごとの数表を担当者が手作業で集計して作るレポートに代わり、Cloud EPMではデータソースに直接アクセスできるため、レポート作成の効率が大幅に向上する。