生成AI時代におけるデータの価値とは? オラクルとマイクロソフトが切り開くマルチクラウドの未来

進化を遂げたオラクルと
マイクロソフトのマルチクラウド

オラクルとマイクロソフトは2023年9月、両社のクラウドサービスを組み合わせた新たなマルチクラウドサービス、「Oracle Database@Azure」を発表した。

世界中のエンタープライズ企業が、データベースを中心とした基幹システムを構築するインフラとして活用しているオラクルのクラウドサービスであるOracle Cloud Infrastructure(OCI)と、Microsoft 365をはじめとした企業や開発者がアプリケーションを構築するインフラとして活用しているマイクロソフトのクラウドサービスであるMicrosoft Azureを組み合わせたマルチクラウドだ。

その特徴は、OCIで動いているデータベースとハードウェアを、Microsoft Azureのデータセンターに配置させて、両者を一体運用するというもの。これによってユーザー企業は、オラクルのデータベースに格納しているデータを、低遅延かつセキュアに、Microsoft Azureのサービスと組み合わせて利用できるようになる。

「当社とマイクロソフトは、OCIとMicrosoft Azureのデータセンター間をシームレスに接続する『Oracle Interconnect for Azure』というマルチクラウドサービスを2020年から提供してきました。今回の協業は、さらに一歩進んで、OCIとMicrosoft Azureを完全に一体化させたことが大きな進化だと言えます」と竹爪氏は語る。

一体化によってもたらされるのは、飛躍的な処理速度の向上である。クラウド間ネットワークを介することなく、OCI上のデータがそのままMicrosoft Azure上のアプリケーションに取り込まれることで、業務やサービスの処理速度は格段に向上する。

「データ取り込みの高速化は、PoC段階から実用段階に移行しつつある生成AIの活用をさらに加速させることでしょう。Microsoft Azureが提供するAzure OpenAI Serviceや、MicrosoftのアプリケーションであるCopilotなどの生成AIも、より反応が速く、使いやすいサービスになります」と語るのは、日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜 禎氏だ。

日本マイクロソフト
執行役員 常務
クラウド&AIソリューション事業本部長
岡嵜 禎
国内大手SI会社を経て、日本BEAシステムズ、日本オラクル、アマゾンウェブサービス等の外資系会社で技術統括責任者などの要職を歴任。2022年8月より日本マイクロソフトに入社、クラウド&AIソリューション事業執行役員常務を務める。
岡嵜氏

膨大なデータが高速で取り込めるようになれば、AIモデルのトレーニングに要する時間を大幅に短縮し、生成AIの反応を格段にスピードアップさせることができる。これらのメリットによって企業の生成AI活用がさらに進めば、デジタル変革やイノベーションもますます加速するはずだ。

2023年9月に発表された「Oracle Database@Azure」は、その後、世界中でリージョンを広げ、2024年10月に日本での一般提供が開始された。

竹爪氏は、「既に多くのお客様からご契約をいただいており、『こんなサービスを待っていた』『なぜもっと早く提供してくれなかったのか?』といった声をいただくこともあります。生成AIの活用に役立つことに加え、データベースに強いオラクルと、アプリケーションを得意とするマイクロソフトがタッグを組めば、お客様のITインフラのモダナイゼーションに貢献し得ることも期待されているようです」と語る。

日本のITインフラの
モダナイゼーションに貢献したい

オンプレミス上で運用してきたシステムやデータベースをクラウドに移行するモダナイゼーションは、日本の多くのエンタープライズ企業が抱える課題である。「2025年の崖」と呼ばれてきた課題だが、いまだオンプレミスから脱却できていない企業も多い。

オラクルとマイクロソフトによる新たなマルチクラウドは、そんな日本企業のITインフラのモダナイゼーションを一気に加速させる可能性も秘めているのだ。

「日本のエンタープライズ企業の多くは、長年にわたって、ミッションクリティカルなデータをオンプレミス上で運用するオラクルのデータベースで活用してきました。一方、アプリケーションは、当社が提供するMicrosoft 365などを含めて、同じくオンプレミス上で運用されているケースが一定数見られます。モダナイゼーションは、データとアプリケーションの基盤を両方同時に進めるのが理想ですが、それぞれがバラバラに運用されてきたので、取り組みが思うように進まなかった側面もあるようです」と岡嵜氏は語る。

その点、オラクルとマイクロソフトによるマルチクラウドなら、ミッションクリティカルなデータを運用する基盤と、日常的に利用するアプリケーションを運用する基盤が、同時にクラウドへとシフトできる。このタッグによって、両社は日本のエンタープライズ企業のモダナイゼーションを加速させたいという強い意志を持っているようだ。

竹爪氏は、「別々の会社ではありますが、オラクルとマイクロソフトは、それぞれの得意領域で長年にわたって日本のお客様のビジネスを支援してきました。その両社がタッグを組むことは、お客様への大きな価値創出につながると確信しています」と語る。

実際、オンプレミスから両社のマルチクラウドへの移行や、「Oracle Database@Azure」の導入に関しては、オラクルとマイクロソフトの営業担当者やエンジニアたちが共同で支援を行っているという。

岡嵜氏は、「まずはお客様のベネフィットを最大化したいという共通の思いの下で協業を進めています。我々の取り組みによって、日本のエンタープライズ企業のモダナイゼーションが加速し、その先のデジタル変革やイノベーションに進むことを期待しています」と語る。

竹爪氏は、「我々オラクルは、多くの企業からの要件に応えるために、どのような場所でも同じアーキテクチャー、同じサービスを保証するための、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、専用クラウド、マルチクラウドを組み合わせて提供する『分散クラウド戦略』を展開しています。今後もマイクロソフトをはじめとするハイパースケーラーとの協業関係を深め、すべてのお客様に最適なクラウド環境を提供していきます」と語った。

竹爪氏/岡嵜氏
「お客様により良い価値を提供するため、会社の垣根を越え、一緒に頑張っていきましょう」と、笑顔で互いに励まし合う竹爪氏と岡嵜氏。