クルマ1台あたりが消費する電力は、電子化や知能化が進むに連れて増大の一途を辿っている。「ECUに搭載されるSoC(プロセッサ)の高性能化も一因に、車両全体のピーク電力は数kWにも達しています」と、アナログ・デバイセズでオートモーティブ向け電源ソリューションを統括するWarren Tsai氏は説明する。
ただし、乗用車で主流の12Vで大電力を供給するには太いケーブルが必要で、ハーネスの重量が増えることで、配線作業の負担やコストも上がってしまう。
そこで近年、提案されているのがバッテリ電圧の48V化だ(図1)。同じ電力を供給する場合、12Vに比べて4分の1の電流で済み、細くて軽量なケーブルを使える他、配線スペースの削減によってキャビンを広くできるのがメリットだ。また、電圧の高さも、電動パワー・ステアリングなどの補機の高出力化にメリットをもたらす。さらに、ソフトウエアで機能を実装するSDV(ソフトウエア定義型自動車)の実現に向けて、高性能なSoCを用いたゾーン(ゾーナル)・アーキテクチャが進んでいるが、48Vなら各ゾーンECUやセントラル・コンピュータに十分な電力を供給できる。
アナログ・デバイセズでは、48V化を中心とした電源系の進化に取り組んでいる。出力コンデンサを削減する「MAXQパワー・アーキテクチャ」、EMIノイズを大幅に抑えた「Silent Switcher®」、バッテリの充電状態や劣化状態を正確に推定するEIS(電気化学インピーダンス分光法)やBMS(バッテリ・マネジメント・システム)、機能安全規格であるISO 26262への対応、ビデオやイーサネットなどの各種車載バス(A²B™、E²B™、GMSL™)、5V信号で制御可能な「SiC Smart Switch」などのテクノロジーを、トータルで提案する。