アナログ・デバイセズ 60周年企画 Vol.2 出力コンデンサを最大75%削減 車載電源システムの新潮流 48V化をトータルで支援

48Vからの降圧で圧倒的な変換効率を実現
ハイブリッド降圧コントローラ

 ここでは、48Vを12Vや5Vに降圧するソリューションと、SoCなどの近くに配置するポイント・オブ・ロード電源に適したソリューションを紹介しよう。

 前者に適するのが降圧コントローラの「LTC7822」である。スイッチド・キャパシタ(チャージ・ポンプ)と同期降圧コンバータを組み合わせたアナログ・デバイセズ独自のハイブリッド構成で実現する、変換効率の高さが特長だ。

 通常の同期降圧コンバータで48Vを12Vや5Vに直接降圧しようとすると、デューティ・サイクル(Vout/Vin)が小さくなり、出力インダクタンスの大型化や変換効率の低下を招いてしまう。

 LTC7822は、スイッチド・キャパシタ回路によって48Vを一時的に24Vに降圧した後、同期降圧コンバータで24Vを12Vや5Vに降圧する。24Vからの降圧になるためデューティ・サイクルは2倍になり、結果として、損失の低減、出力インダクタンスの小型化、スイッチング周波数の向上などのメリットが得られる。LTC7822で、入力48V、出力12V、スイッチング周波数150kHz、負荷電流が30A前後のとき、変換効率は最大98.5%を実現。損失が少なくなれば放熱回路の簡略化にもつながるだろう。

出力コンデンサを最大75%削減する
MAXQパワー・アーキテクチャ

 ポイント・オブ・ロード電源に適したソリューションが「MAXQパワー・アーキテクチャ」の降圧コンバータだ。

 位相補償ループのユニティ・ゲイン帯域積を十分に大きくし、過渡応答性能を高めて、出力電圧を平滑化する出力コンデンサの大幅な削減を実現した。温度変化やプロセスばらつきに対する変動も抑えた。

 たとえば、出力電圧が0.875Vで、負荷電流が1μsの間に46Aほど変動する場合、出力電圧の変動を±15mVに収めるには、これまで一般に47μFのセラミック・コンデンサを32個並列に接続する必要があったが、MAXQパワー・アーキテクチャであれば8個で済む(図2)。

図2
過渡応答性能を高めて出力コンデンサの大幅な削減を実現した「MAXQパワー・アーキテクチャ」。従来ソリューションに比べてコンデンサ数を最大75%削減できるなどのメリットが得られる。

 「コンデンサ数を最大75%、電源回路面積を35%以上、BOM(部材)コストを1ドル以上削減できるなどのメリットが得られます」とTsai氏は説明する。

 既に多くの採用実績がある「MAX20011」は、入力電圧3.0V~5.5V、出力電圧0.5V~1.275Vで、最大出力電流は8Aまたは12A。また「MAX20411」シリーズは最大で40A出力が可能だ。いずれも機能安全ISO 26262のASIL-Dに対応している。

 また「MAX20438」はMAXQパワー・アーキテクチャの第2世代品で、性能に優れる最新プロセスで製造されている。入力電圧2.5V~5.5V、出力電圧0.5V~1.2V、最大出力電流は12Aだ。AEC-Q100に準拠している。

設計の初期段階から顧客をサポート

 48V化をはじめとする電源系の進化はOEMやサプライヤの設計プロセスにも変化を与えている。「電源は回路設計の最終段階で扱われることがこれまでは一般的でした。しかし最近は、初期の段階から電源の検討を進めるお客様が増えています」とTsai氏は説明する。

 安全支援機能、自動運転機能、インテリジェント・ライティング、メーター・クラスタ、インフォテインメント、ステア・バイ・ワイヤなどのさらなる進化を考えると、その傾向はより強くなっていきそうだ。

 「アナログ・デバイセズは『Power from the Start』(電源から始める)というコンセプトの下、お客様のニーズを伺いながら、アナログ・デバイセズのDNAとも言えるたゆまぬイノベーションと、日本法人およびアメリカ本社のサポートを通じて、お客様の成功をお手伝いしていきます」と、Tsai氏は訴求する。

 アナログ・デバイセズは、より安全で、より快適なクルマを求めるユーザーのニーズや市場のトレンドを見据えながら、自動車の進化に応えていく。