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ひとりで悩まないで! 中小企業の情シス人材不足を救う3つのアプローチ <前編>ひとり情シスに業務を集中させない戦略が企業の未来を明るくする BP総合研究所 主席研究員 チーフコンサルタント 小林暢子氏インタビュー

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中小企業の情シス担当者が、かつてないほどの重荷を背負わされている。DXやAIの推進、セキュリティ対応、社員全員のPC管理、ハイブリッドワークのトラブル等々。本来なら複数人で担うべき大量の業務が集中してしまっているのだ。しかも最近ではIT人材が極端に足りず完全な売り手市場で、優秀な情シス人材ほど辞めやすい状況にある。どうすれば情シスの負荷を減らし人材流出に歯止めをかけられるのか。日経BP総研・小林暢子氏に情シス人材不足の真因と、現場の負担を減らす具体策を解説してもらった。

中小企業の情シス人材不足は限界点に近づいている

Q.中小企業の「情シス」(情報システム担当者)を悩ませる人材不足について、どのように見ていますか?

小林 中小企業の情シスを取り巻く人材不足は、すでに深刻な段階に来ています。そうした状況下で、企業はDX推進やAI活用を進めようとしています。 当然現場の情シスは、既存のIT運用を支えるだけで精一杯ですから、少人数で、ましてやひとりで全部を担うには無理があるのは明らかです。

しかも昨今の人材市場は完全なIT人材の売り手市場です。どこの企業も優秀な人材を求めています。完全な売り手市場となると、コンサルティング企業のような高待遇を提示できるところが優秀な若手を引き抜く構造が定着することになるでしょう。中小企業だけでなく大企業でさえ情シスの獲得が難しくなっているのです。

写真:小林暢子氏
日経BP 総合研究所 チーフコンサルタント 主席研究員 小林暢子氏(こばやし・ながこ) 経営コンサルティング会社を経て、1991年日経BP入社。『日経情報ストラテジー』『日経コンピュータ』などのIT専門誌編集に携わり、2013年から『日経情報ストラテジー』編集長。2017年から人事室長を務め、2020年4月から総合研究所 コンサルティングユニット長 主席研究員 Human Capital Online発行人。2022年4月から現職。

情シスの負荷を膨張させる4つの現場実態

Q.具体的にどのようなことが情シスの課題となっているのでしょうか?

小林 4つあると考えられます。まず、セキュリティ対応の重さが挙げられます。昨今では大手企業でランサムウェアによる深刻なインシデントが続き、セキュリティは企業存続に直結するテーマになりました。にもかかわらず、中小零細企業を中心に、「ウチは狙われないから大丈夫」という誤解が根強くあります。中小企業の脆弱性はサプライチェーン全体を危険にさらし、自社にとどまらず取引先企業にも悪影響を与えてしまう可能性が潜んでいるという自覚がほとんどないのです。情シスは、重要度の割に会社の片隅に追いやられている存在になってしまっています。

次に、日常業務の肥大化です。例えば、新入社員のPCをセットアップすることを考えてみましょう。新卒一括採用の時代なら4月にまとめて対応できました。しかし、今は通年採用・中途採用が常態化して、毎月のようにPCを設定するキッティング作業が発生するようになっています。さらに、かつては各職場にPCに詳しい人が一人くらいいて、その人がトラブル対処法を指南することもありましたが、働き方の多様化に伴いそれも難しくなり、IT関係のことは全部情シスに聞くという構図が加速してしまいました。

3つ目は、ハイブリッドワークによって場所を選ばずトラブルが発生するようになったことです。コロナ禍以降、多くの企業で通勤とリモートワークのハイブリッドな働き方が定着しました。一般に、このワークスタイルは仕事と生活の両立がしやすく、時間を柔軟に使えるメリットがあると考えられています。しかし、自宅・カフェなど様々な場所にPC環境を持ち出すことで紛失や情報漏洩などのトラブルが起こる確率も高まります。結果として情シスは今まで以上に広範な対応を求められるようになりました。

4つ目は、前述のような状況によりさらに煩雑になった社員PCのヘルプデスク対応です。ある程度の社員数を擁する企業では、PC管理は数百台規模になりますから、それだけでも少人数でやるには限界があることは明白です。IT人材がどこの企業でも不足しているため転職先はいくらでもある状態で、こうした現場の疲弊した状況を放置すると、優秀な情シスほど辞めていくことになります。そうなると、この煩雑なPC保守対応をどうやって抜本的に軽くすればよいのかという疑問がわいてくるのではないでしょうか。

私はここに「3つの突破口」があると考えているのです。

写真:モバイルノートPC

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