

——小売業から受注する際、VTIはどのようなことを期待されていますか。
小売業の企業様からはよく「仕様書通りに作ることを求めているのではなく、自分たちがうまく言語化できない課題を、先回りして理解し、提案してほしい」とお話いただきます。お客様が求めているのは、単なるソフトウエアの開発会社ではないということです。業界への深い理解を持ち、現場の課題をテクノロジーで根本的に解決し、長期的に伴走する“パートナー”を求めていらっしゃいます。
こうしたニーズに応えるため、VTIでは業種特化型の「DCS(Domain Consulting Solution)」戦略を展開しています。特に小売業は注力分野の一つで、現在ではVTI全体の売上の約30%を占めています。単なるIT導入ではなく、小売業に関する業務知識を活かした提案を重視しており、店舗から本部業務まで、お客様のビジネス全体を支援しています。
小売業の特徴の1つが、他の業界と比べても特にコスト意識が高いことです。当社にご依頼いただく際も、オフショア開発を活用してコスト削減を期待されるケースが多く、実際に日本のITベンダーに比べて約3分の1のコストで構築できたという実績もあります。
VTIでは、コストを抑えるだけでなく、日本の業務に精通した経験豊富なエンジニアがプロジェクトに携わることで、品質も維持しています。日本語に堪能で、小売業の業務知識を有するブリッジSEが多数在籍しており、数多くのプロジェクトで培ったノウハウをもとに、お客様の業務効率の向上や導入期間の短縮にも貢献しています。コスト競争力はあくまでスタート地点に過ぎず、VTIはお客様のバリューチェーン全体にわたる効果の最大化を目指しています。
End to Endでトータルにサービスをそろえており、それを可能にする十分な動員力があるのも我々の強みだと考えています。コンサルティングサービスからシステム構築、稼働後の保守運用マネージドサービスまでセットでご提供しています。システム構築の際には複数ベンダーのハードウエア、ソフトウエアに対応しています。
トータルにサービスを提供しているとは言っても、お客様に既存システムの全面的な刷新を求めるわけではありません。POSレジ、バーコードシステム、AIカメラ、既存のECプラットフォームなど、現在ご利用中のインフラを最大限に活用する方針を優先しています。このアプローチにより、初期投資コストを大幅に抑えるとともに、導入までの期間も短縮することが可能です。一方で、ゼロから新たにシステムを構築するプロジェクトであれば、VTIが技術アドバイザーとしても機能し、お客様の実際の業務ニーズに最適な最新ソリューションやテクノロジーを主体的にご提案しています。
先ほどもお話しましたが、日本の小売業は学生や外国人のパートの方が多くいらっしゃいます。それを考慮し、学生や外国人の方でも簡単に使えるようなUX/UIの構築や、AIチャットボットを使ったサポートにも力を入れています。これにより例えば、人が頻繁に入れ替わっても棚卸の効率を落とさないようにすることが可能です。
小売の専門用語を覚えるためのトレーニングアプリもご提供しています。現在は英語、ベトナム語、中国語、インドネシア語に対応しています。
——日本企業の事例を教えてください。
日本の大手小売業様から、東南アジアで活用するシステムをご発注いただいています。具体的には、リアル店舗で商品をご購入いただく際に使う、スマートフォン向けのモバイル決済アプリなどです。当社の業務知識の豊富さや、開発コストを半分以下にできることなどをご評価いただきました。
別の大手小売業様からは、公式スマホアプリの開発と運用をご依頼いただいております。クーポンを使った販促の仕組みや、モバイルオーダーの仕組みなど様々な機能を共同開発させていただきました。
——日本企業からはどうやって受注を拡大しているのですか。
展示会でアプローチしたり、お客様を通じて他の企業をご紹介いただいたり、といった具合です。いずれのケースでもトライアルで小規模に導入していただき、成果が出た後に正式に受注し、その後さらに範囲を拡大する、といった流れが多いです。
——日本国内の小売業界は合併などの再編が増えています。このような動きも商機となりそうですね。
その通りです。日本の小売業界における合併や再編が行われるたびに、システムの統合や業務プロセスの標準化、コストの最適化といったニーズが高まります。そうしたタイミングには、迅速かつ柔軟に対応でき、業務に対する深い理解を持つパートナーの存在が不可欠です。
VTIはこれまで、こうした重要な移行期にある企業を数多く支援してきました。例えば、ある2つの大手小売店による経営統合があります。 経営統合の際は、既存システムと新システムを円滑に統合し、業務を中断させることなく運用を継続する一方で、将来的な変化にも対応可能な柔軟な基盤を構築する必要があります。このような局面においてこそ、VTIのEnd to Endの実行力と、現場で培った豊富な経験が真価を発揮すると自負しています。
——今後のビジネス拡大に向けた戦略、計画を教えてください。
日本の小売業界と長期的に伴走していくために、人的リソース、技術力、業界理解のすべてにおいて、さらなる強化が不可欠だと考えています。その一環として、日本国内での拠点拡充や人材の増強を進めています。特に、日本語に堪能で小売業の業務知識を持ち、お客様と直接コミュニケーションが取れる人材の採用を優先しています。
ベトナムにおいても同様に、ブリッジSEやデータ分析担当者などの日本語スキルを向上させるとともに、日本語と業務知識の両方を兼ね備えた人材の育成・採用を強化しています。これにより、開発効率のさらなる向上を図っています。
技術面では、AIを活用した24時間365日対応可能なクラウドベースのサポートサービス基盤の構築を進めており、システム開発や業務運用の効率化、さらにはコスト削減にも寄与できると考えています。
日本の小売企業様に対する国内でのデジタル化支援にとどまらず、東南アジアなど海外市場へ展開される際のテクノロジーパートナーとなることも視野に入れています。現地市場への理解と実行力の両面で強みを持つVTIだからこそ、グローバル展開においても高い付加価値を提供できると自負しています。
今後も、動員力・業務知識・コスト競争力を武器に、DXを推進する日本の小売企業にとっての「駆け込み寺」のような存在を目指していきたいと考えています。
日本のオフショア開発の委託先は、以前であれば中国ほぼ一択だった。他の国に比べ日本語対応の能力が優れていたためだ。しかし近年、中国オフショア開発の牙城を崩しているのがベトナムだ。ベトナム政府が小学校からの日本語教育を推進しており、国費による日本への留学生も増えているため、日本語能力に優れた人材が増えているのだ。若年層が多いこともベトナムの特徴で、ITエンジニアが人気の職種となっている。ベトナムIT企業は日本語能力に優れ、高いITスキルを兼ね備えている若手人材を豊富に抱えていることから、今後は日本向けのオフショア開発の受注をさらに拡大することが予想される(談)。