アナログ・デバイセズ Vol.2 「移ごこちデザイン」が示すクルマの未来 移動体験に新たな価値を次世代車が追求する快適性とは

クルマのさらなる快適性を追求する動きが自動車業界に広がっている。パナソニック オートモーティブシステムズ(以下、PAS)では、移動体験を新たな次元に引き上げるべく世界一の「移ごこちデザイン」カンパニーというビジョンを掲げ、幅広い研究開発を進めている。同社副社長執行役員の水山正重氏と、このビジョンに貢献する技術を提供するアナログ・デバイセズの沓掛真哉氏に、詳細を聞いた。

──PASでは、世界一の「移ごこちデザイン」カンパニーを目標に掲げていますが、まずはそのコンセプトや取り組みについて教えていただけますか。

水山 「移ごこち」という言葉には、寝具の寝ごこちや、衣服の着ごこちなどと同様に、移動体験にも「ここち良さ」を感じていただきたいという思いを込めています。

 そのためには、運転中の緊張や不安、人それぞれ異なる暑さ寒さの体感、耳障りなロードノイズなど、移動に伴うペイン(苦痛や不快感)を軽減しなければなりません。個々人の嗜好に合わせた空調や音場の制御、大型ディスプレイを使った没入感の実現、快適さの感覚を推定する技術、上質な体験を実現するUX(顧客体験)など、さまざまな研究開発を進めています。

沓掛 エンジンのないEVでは、ロードノイズが相対的に大きく感じられることもあって、まさに「移ごこちデザイン」に表されるように、より快適な車室空間を実現しようという動きが自動車業界に広がっています。当社が提供する製品も、ロードノイズを音響的に打ち消して静粛性を高める機能として市販車に搭載され始めていますし、各シートの音場をパーソナライズする技術も登場しています。車室空間の作り方が変わりつつあると感じます。

水山 例えば、家族で長距離ドライブに行ったときに、子供がイヤホンをして自分の好きな音楽を聴くことも珍しくないわけですね。当社が手掛けるオーディオ・パーテーショニング(シートごとの音の制御)が実現されれば、そうした個人の楽しみを優先しながらも、そのままの状態で家族との会話が楽しめるようになります。個人と集団の敷居をまたぐ体験はとても大きいと思っています。

 同時に、クルマに安心・安全を感じていただくことも「移ごこち」に直結します。そのためにも、人とクルマのインターフェースの研究などにも注力しています。

水山氏/沓掛氏