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Case Study カルビーが業務プラットフォームを移行 生産性と働きやすさを向上して「社員を元気にするIT」を目指す

ポテトチップスなどのスナック菓子で圧倒的な国内シェアを誇っているカルビー株式会社(以下、カルビー)。数多くのヒット作を生み出した製品づくりと同様に、業務におけるIT活用についても革新的な取り組みを推進している。キーワードは「社員を元気にするIT」。その環境整備の一環として、業務プラットフォームを既存のグループウェアから移行するプロジェクトが始動した。

生産性向上と、働きやすい職場環境を
実現するためにDXを推進

小室 氏
カルビー株式会社
執行役員
情報システム本部 本部長
小室 滋春
外資系システムコンサルティング会社で業務、システム改革の各種プロジェクトに従事の後、米系HPC(High Performance Computing) ITメーカー日本法人でITおよび業務オペレーション責任者を経て、2015年カルビー入社。2017年より現職。

 スナック菓子の“国民的ブランド”とも言えるカルビー。1960年代から愛され続ける『かっぱえびせん』やロングセラー商品の『ポテトチップス』『じゃがりこ』など、日本人なら誰もが知るヒット作を次々と世に送り出し、スナック菓子の国内最大手メーカーとしての地位を確固たるものにしている。

 1980年代には、米国の一般家庭で朝食の一つとして定着しているシリアルに着目。「日本人の味覚に合うシリアルを」と情報収集や研究を積み重ね、『グラノーラ』を発売した。これがオーツ麦、ライ麦などの穀類を主原材料として、おいしさ・栄養にこだわった現在の『フルグラ®』に進化を遂げ、スナック菓子と並ぶカルビーの主力商品カテゴリーとなった。

 カルビーの商品は、国内だけでなく世界中で販売。それぞれの国・地域ごとの独自商品も開発している。従業員数は、海外子会社も含む連結で3,763名(2019年3月末時点)。2019年3月期のグループ連結売上高は2,486億円に上る。

 「当社は、『自然の恵みを大切に生かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかな暮らしに貢献します』という企業理念のもと、世代や性別、国境を越えて愛され続ける商品づくりに取り組んできました。人口減少とともに国内消費市場が縮小する中で、当社が一定のポジションを保っているのは、そうした商品づくりに共感し、世代を受け継いでカルビーの商品を愛してくださる根強いファンの方々のおかげだと思っています」と語るのは、同社の執行役員で情報システム本部 本部長の小室滋春氏である。

 そうしたファンの期待に応え続ける一方で、成長著しいアジアなど海外市場をさらに開拓していくため、カルビーは2019年5月に「カルビーグループ長期ビジョン(2030ビジョン)」と、長期ビジョンの実現に向けた5カ年の中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)を策定した。

 「2030年の目指す姿を示した長期ビジョンでは、多様化するお客さまのニーズを掘り起こして新たな価値を提供し続けるとともに、海外事業の成長を加速させ、新たな食領域への事業拡張に挑戦するという目標を掲げています。海外売上高比率は2019年3月期の16.3%から2030年には40%超、新規食領域の売上高比率は20%超を目指しています」

 目標を達成するためのステップとして、中期経営計画では、スナック菓子、シリアルのそれぞれにおいて、新たな商品開発や、食に関わる新ライフスタイルの提案を積極的に行っていく。海外事業では、「朝食にシリアルを食べる習慣がまだ根付いていないアジアを中心に『フルグラ®』の拡販を図っていくことなどに取り組んでいきます」と小室氏は語る。

 その一方でカルビーは、社員の生産性向上とより働きやすい職場環境を実現するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することも中期経営計画の重点課題としている。

 そのための基盤整備の一環として、同社は2019年3月に業務プラットフォームを既存のグループウェアから移行するプロジェクトを始動した。

 同社は1990年代から各業務にグループウェアを活用してきたが、移行先に選んだのがServiceNowだ。数ある業務プラットフォームの中からServiceNowを選んだのには、どのような決め手があったのか。次のページから詳しく見ていこう。