パソナグループは、あらゆる業界の専門職種に対応した人材サービスを提供するパソナを中心に、グローバルサービス、教育・研修、地方創生、福利厚生、保育・介護など、多彩な事業を展開する企業グループだ。
中核事業会社のパソナは、グループ代表の南部靖之氏が「家庭の主婦の再就職を応援したい」という思いから1976年に創業。以来、「社会の問題点を解決する」を企業理念に掲げ、「人を活かす」ことを仕事として事業領域を広げてきた。グループ会社は67社、従業員数は9,317名に上る(2019年5月31日時点)。
東北の未来を創る起業家を育成し、事業化を支援する「東北未来戦略ファンド」なども運営し、これまでに3社が起業。「人の活力」によって、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大規模な自然災害に見舞われた地域の復興を支援する事業やプロジェクトも積極的に展開している。
「創業当初から女性の活躍を応援し、仕事と生活の両立やキャリア形成を全面的にサポートしてきたのも当社グループの特徴です。女性従業員の比率は6割以上、女性役員の比率は3割以上に達し、女性従業員の出産後の復職率はほぼ100%です」と語るのは、同社グループIT統括部長の溝江由里子氏である。
溝江氏が率いるグループIT統括部は、パソナグループ全社が利用するITインフラやシステムなどの管理・運用をサポートするシェアードサービスを提供している。各グループ会社が、最新のテクノロジーを活用しながら事業拡大や業務効率化を図ることを支援するのも重要な責務だ。いわば、パソナグループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進役といえる。
「ITコンシェルジュグループという専門チームを設け、グループ各社にIT活用のアドバイスをしているほか、パソコンの使い方はもちろん『システムが動かない』『ネットワークがつながらない』といったトラブルへの対処など、従業員からの日常的な問い合わせにも、専門のオペレーターを配置して対応しています」(溝江氏)
しかし、その問い合わせ対応について、溝江氏は大きな改善の余地があると考えていた。
「以前は問い合わせの窓口が電話とメールだけで、8割以上は電話だったのですが、混雑する時間帯が決まっていて、限られたオペレーターの人数ではさばききれなかったのです。この体制のままでは、オペレーターに過重な負担を強いるだけでなく、問い合わせへの対応が遅れ、グループ各社にも迷惑をかけてしまいます。何とか改善を図って、省力化と同時にサービスの質を高められないものかと考えました」(溝江氏)
そこでパソナグループが選んだのが、ServiceNowのITサービスマネジメント(ITSM)である。
同グループでは、以前から他社のシステムを利用していたが、問い合わせへの対応に関する機能は搭載されていなかった。そこで、そのシステムがサポート終了を迎えるのを機に、ServiceNowのITSMを導入した。
なぜ、パソナグループはServiceNowを選んだのか? それによって、問い合わせ対応にどのような変化が表れたのか? 次のページから詳しく見ていこう。