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建設業のデジタル化は次のステージへ 変革する文化をつくる大林組のDX

総合建設大手の大林組は、自社のDXの一環としてシステムの不具合や操作方法に関する問い合わせなどを受け付けるサポートデスク業務の合理化を進めている。あるソリューションを導入したことで、FAQの整備による問い合わせの件数の減少や、対応状況の“見える化”などの成果が表れたという。システム導入にとどまらず、プロセス変革に挑んだ同社の取り組みに迫る。

システムを導入して終わりではなく
プロセスそのものを変革する

 「MAKE BEYOND つくるを拓く」。これは、大林組が2021年1月1日に掲げた新たなブランドビジョンだ。これまで培ってきた「ものづくり」の技術と知見を、今という時代に合わせ、新たな地平へと発展させたい。既存の事業の枠にとらわれない成長を目指していきたいという、大林グループの未来への想いが込められている。

 デジタル化の急速な進展とともに、建設業を取り巻く環境も目まぐるしく変化している。そうした中、大林組は業界でもいち早く米シリコンバレーにオープンイノベーションのための拠点を設け、また建機の自動操縦による無人工事や、現場におけるタブレット端末の活用を推進するなど、業務のデジタル化に積極的に取り組んできた。

堀内 氏
株式会社大林組
デジタル推進室
デジタル推進第二部 部長
堀内英行
1992年、大林組入社。大阪本店建築現場を経て情報システムセンターに配属。グローバルICT推進室に組織改編後、現場のICTを担当。検査システムGLYPHSHOTの開発やiOSアプリeYACHOを外部ベンダーと共同開発。2018年1月よりグローバルICT推進室部長(生産系システム担当)。20年4月より現職。

 その取り組みを加速させるべく、2020年4月1日にはデジタル推進室を設置。同年策定した「企業変革プログラム」に基づき、

①経営情報と生産情報の融合
②システムのスリム化
③自動化・省人化による働き方改革の徹底
④持続可能なデジタル人材の育成
というDXの4つの柱を掲げ、変革に挑んでいる。

 「単純にシステムを導入するだけではなく、生産性を上げるためにプロセスそのものを変えていくことが大切です。仕事の進め方や文化そのものを変革していくことがDXの本来の目的であって、システムの導入はあくまでも手段にすぎません」と語るのは、大林組の堀内英行氏である。

 プロセス変革の一環として、大林組は20年10月、システムの不具合や操作方法などの問い合わせに対応するサポートデスク業務を合理化する新しい仕組みを導入した。電話による対応が中心だった従来の問い合わせを、ServiceNowが提供するIT Service Managementに置き換えたのである。

 「電話による対応が当たり前だと思っていたサポートデスク業務を根底から見直し、デジタル技術を取り入れた最先端のプロセスに置き換えました。結果として、電話による問い合わせの件数が減り、インシデントへの対応が見える化するなど、様々な成果が表れ始めています」と堀内氏は語る。

※ServiceNowにおける「問い合わせ内容」のこと

 IT Service Managementの導入は、大林組のサポートデスク業務をどのように変えたのか? 次のページから、より詳しく見てみよう。

IT Service Management導入前のサポートデスク

IT Service Management導入前のサポートデスク
大林組のサポートデスクは、ServiceNowのIT Service Managementを導入するまでは問い合わせ内容ごとに窓口が3つに分かれており、電話による問い合わせが中心だった。