日経ビジネス電子版 Special

世界有数のデジタル戦略企業を目指す 時代の潮流を的確に捉える三井物産の戦略

中期経営計画に掲げた「変革と成長」を実現させるため、効率化・高付加価値化・新たな事業機会への挑戦という3つのステップでDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を推進する三井物産。効率化への第一歩として、ITサービス関連の問い合わせや情報検索を省力化するソリューションを導入した。将来的には、デジタルワークフローによる業務プロセスの自動化や、
他業務での活用なども視野に入れているという。

効率化、高付加価値化を経て
新たな事業機会に挑戦する

杉山 氏
三井物産株式会社
デジタル総合戦略部
ユーザーエクスペリエンス改革室長
下田 幸大
2000年三井物産入社。09年から情報システム部門に所属し、海外拠点向けSAPの導入・保守や情報戦略企画業務に従事する。20年4月より現職。社内ユーザー向けの各種デジタルソリューションの導入やUI/UXの改善、サポートを担当している。

 日本を代表する総合商社として、幅広い事業を様々な国・地域で展開する三井物産。時代とともに、その役割や世の中のニーズは移り変わっているが、常に市場の動きや一歩先の未来を見据えながら、社会が求めるサービスを提供してきた。

 デジタルエコノミーが席巻する今日においても、その変化を先取りして、いち早くDX戦略を推進。2021年3月期から23年3月期の「中期経営計画2023」では、前の中期経営計画からスタートした戦略をさらに発展させ、現場が持つオペレーションノウハウや技術とデジタル技術を活用した、高付加価値ビジネスモデルへの変革を推し進めている。

 「三井物産は他の総合商社に先駆けて、17年にCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を設置しました。さらに20年4月には、CDOとCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)の機能を統合してCDIO(チーフ・デジタル・インフォメーション・オフィサー)とし、その指揮の下で総合的なDX戦略を展開しています」と語るのは、同社 デジタル総合戦略部 ユーザーエクスペリエンス改革室長の下田幸大氏である。

 同社のDX戦略では、「変革と成長」をテーマとする「中期経営計画2023」に掲げた「事業経営力強化」「基盤事業の収益力強化」「Strategic Focus」「新事業への挑戦」などの取り組みを支援するため、「効率化」「高付加価値化」「新たな事業機会への挑戦」という3つのフレームワークを設定。下田氏が室長を務めるユーザーエクスペリエンス改革室が取り組んでいるのは業務の「効率化」である。

 「ユーザーエクスペリエンス改革室は、三井物産グループの従業員が使用するデジタルソリューションの選定や提供、使いやすい環境を実現するためのUI/UXの改善、ユーザー向けのサポート業務などを行っています。従業員が快適に、ストレスなくITサービスを使いこなせる環境を提供することによって、業務の効率化や生産性向上を支援しているのです」と下田氏は説明する。

 その取り組みの一環として、同室は21年4月にITサービスに関する従業員ポータルを新たに構築した。その狙いはどこにあったのか? 次のページから詳しく見ていこう。