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重要な経営資源をどう管理する? 常に進化を続けるDeNAのアイデンティティ

リモートワークの普及とともに、従業員によるSaaSやデバイスの活用はますます広がり、企業にとっては、これらのIT資産をいかに効率よく管理するかが経営上の大きな課題となっている。ゲームやライブストリーミングなど、ITを中心とした事業を展開するDeNA(ディー・エヌ・エー)は、重要な経営資源であるIT資産をどのように管理しているのか? その哲学と現在進行中の取り組みに迫った。

経営の継続性を担保するためにも
IT資産管理は重要な取り組み

 DeNAと言えば、2006年から提供しているモバイル端末向けゲームプラットフォームの「Mobage(モバゲー)」や、プロ野球の横浜DeNAベイスターズなどでおなじみである。しかし、これはあくまでも一部にすぎず、最近では、LIVEコミュニケーションアプリの「Pococha(ポコチャ)」、キャラクターライブ配信の「IRIAM(イリアム)」など、ゲーム、スポーツ以外の領域にも事業の幅を広げている。

金子 氏
株式会社ディー・エヌ・エー
システム本部 IT統括部
統括部長
金子俊一
2003年、開発エンジニアとしてキャリアをスタート。09年、DeNAに入社。20年より現職。全グループ横断でサービスおよび社内のすべてのシステム基盤を管理するほか、DeNAグループ全体のIT戦略を立案・推進する役割を担う。

 「もともとはネットオークション事業からスタートした会社であり、事業の枠には全く縛られていません。時代の変化を先取りしながら、常に新しいことに果敢にチャレンジして進化してきたのがDeNAのアイデンティティだと言えます」と語るのは、同社 システム本部 IT統括部 統括部長の金子俊一氏である。

 同社は現在、「エンターテインメント」と「社会課題の解決」を事業の2本柱に掲げている。エンターテインメントは、ゲームやスポーツ、ライブストリーミングといった、文字通り“エンタメ”領域の事業群。一方、社会課題の解決としては、インターネットを活用して健康増進に貢献するヘルスケア事業や、地方自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する事業などを展開している。

 とくに、21年4月に総務省出身の岡村伸悟代表取締役社長兼CEOが就任してからは、同10月に大阪の箕面市と地域の活性化と市民サービスの向上を目的とした包括連携協定を締結するなど、地方自治体のDXを支援する事業が増えた。長年培ってきたデジタルによるコンシューマー向けサービスのノウハウを駆使して、より良い行政サービスを提供したいという地方自治体のニーズに応えている。

 このように多彩な事業を展開するDeNAであるが、すべての事業の基盤となるのはIT資産である。「そのため当社は、ソフトウェアやライセンスといった無形資産から、サーバー、パソコンといった有形資産まで、すべてのIT資産を重要な経営資源と位置付けています」と金子氏は説明する。

 これは何も同社に限った話ではなく、あらゆる企業に言えることだろう。とくにこの2年間は、コロナ禍の影響でリモートワークが急速に普及し、従業員がSaaSやデバイスなどを活用する頻度が高まっている。その結果、これらのIT資産をしっかり管理して事業の継続性を担保することが、経営上の重要課題となっているのだ。

 実際、後述するようにDeNAの岡村CEOや、創業者である南場智子代表取締役会長も、その重要性を十分に認識している。では、DeNAはどのようにIT資産管理に取り組んでいるのか? 次のページから詳しく見ていこう。