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重要な経営資源をどう管理する? 常に進化を続けるDeNAのアイデンティティ

品質、コスト、デリバリーの
バランスが取れた管理を目指す

 金子氏が統括部長を務めるDeNAのシステム本部 IT統括部は、全社・全グループの業務システムや、ゲーム、動画配信といったサービス提供のためのシステムが安定的に運用されるように、グループ全体のITインフラを統括管理している部門である。

 金子氏は、「IT資産管理は、DeNAのようにITを中心とした事業を展開する企業にとって、生命線とも言える取り組みです。当社では、私が提唱する『QCDの鼎立』という考え方に基づいてIT資産管理を行っています」と説明する。

 QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(デリバリー)の3つである。

 例えば、システムをより安定的に運用できる環境を実現するには、サーバーを10台設置するよりも、100台設置したほうがいい。しかし、これによって品質は向上しても、コストは10倍に跳ね上がってしまう。

 一方で顧客へサービスを提供している現場からリソースの追加要求があった際は迅速かつ適切なデリバリーが必要となる。

 「つまり、品質を担保しつつ、より安く、よりタイムリーにIT資産を提供できる体制を整えることが理想なのです。品質に関しては、安定性だけでなく、IT資産ごとの利用規約にのっとって利用されているかどうかといったコンプライアンスの順守や、セキュリティの向上といった点も考慮する必要があります」(金子氏)

 この「QCDの鼎立」は、経営そのものの考え方にも通じるものだ。品質の高いサービスを提供することが望ましいのは言うまでもないが、適切なコストコントロールや、スピード感を持った事業運営が伴わなければ、収益力や競争力が失われてしまう。

 同社のシステム本部 IT統括部は、この経営に必要なバランスの確立をIT資産管理の側面から支援しているのである。

 このように、IT資産管理はDeNAの経営において重要な位置付けとなっているが、事業領域やサービスの拡大とともに、従来のシステムでは適切な管理が困難になりつつあった。

 そこで同社は、21年4月にServiceNowが提供するソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)というソリューションを導入した。

SaaSの管理を
自社システムからSAMに置き換え

 DeNAはもともと、IT資産管理を行うためのシステムを自社開発していた。現在もこのシステムを使って、ソフトウェアやライセンスなどの無形資産や、パソコン、サーバーといった有形資産など、すべてのIT資産の契約内容や配置状況、利用状況などを一元的に管理している。

 「内製なら開発コストも比較的安上がりに済みますし、必要に応じて機能を追加したり、他のシステムと連携させたりするのも簡単なので、自社で作ってしまったのです」と金子氏は説明する。ITを事業の根幹とするDeNAには、自らプログラミングができるエンジニアがそろっており、欲しいシステムがあれば自分で作ってしまう文化が根付いているという。

 このIT資産管理システムは、会計システムと連携しており、IT資産の利用状況に応じて費用を事業部門ごとに配賦し、そのデータを連携させる機能も備えている。

岩﨑 氏
株式会社ディー・エヌ・エー
システム本部 IT統括部
IT戦略部 技術推進グループ
岩﨑和樹
2011年、地方公共団体の情報システム部門でキャリアをスタート。21年、DeNAに入社。DeNAグループ全体のサービスインフラ運用の他、新たなサービスの導入を検討・推進。現在はServiceNowを活用した情報資産管理システム導入を担当。

 使い勝手が良い自社のシステムがすでにあるため、当初は別のソリューションに置き換えることは検討していなかった。しかし、事業領域やサービスの拡大とともに、社内で使用されるSaaSの種類が増え、それに伴って「管理機能を追加してほしい」という社内ユーザーからのリクエストも急増した。

 「機能を自由に追加できるとはいっても、件数が増えれば、その分対応が遅れてしまいます。数カ月たっても対応できないリクエストが積み上がったことで、内製化のメリットが失われているのではないかと感じたのです」と語るのは、ServiceNowのSAMの導入を担当した同社 システム本部 IT統括部 IT戦略部 技術推進グループの岩﨑和樹氏である。

 そこで同社は、機能追加に柔軟に対応できるソリューションに置き換えることはできないかと検討。複数のソリューションの中から、ServiceNowのSAMを選定した。

 ServiceNowのSAMを選んだ理由について、金子氏は「従来利用してきたIT資産管理システムの機能がほぼそのまま置き換えられて、新しい機能を柔軟に追加できる点を評価しました」と振り返る。あらかじめ用意されている機能の種類が多く、足りない機能は柔軟に追加できる設計になっている点にメリットを感じたようだ。