
1872年に洋風調剤薬局として誕生し、2022年で創業150周年を迎える資生堂。現在では、「SHISEIDO」「エリクシール」「Clé de Peau Beauté (クレ・ド・ポー ボーテ)」など多彩なブランドの化粧品を世界約120カ国・地域に提供しており、6割以上を海外で売り上げている。
全世界で約4万6000人に上る従業員は、約70の国籍を持ち、女性リーダーの割合が約57.5%と、ダイバーシティ&インクルージョンを重要な企業戦略の一つに掲げているのも資生堂の特徴である。
100年以上の歴史を誇る企業ではあるが、時代の最先端を走る資生堂は、デジタル技術の活用にも積極的に取り組んでいる。
「20年以降の新型コロナウイルス感染症拡大は、資生堂のビジネスにも少なからぬ影響をもたらしました。これによって、業務やサービスをデジタル化する取り組みは、ますます加速しています」と語るのは、グループ全体のIT化やDXを推進する資生堂インタラクティブビューティーのIT本部 デジタルプラットフォーム部でグループマネージャーを務めるミシュラ シャマラ氏である。
ミシュラ氏によると、資生堂のIT化戦略は、①生産のモダン化、②顧客向けのDX、③従業員向けのDX、④グローバルITの最適化と簡素化、の4つの柱に分かれている。
生産のモダン化については、19年に新設された那須工場(栃木県)、21年の茨木工場(大阪府)で最新の設備、デジタル技術を活用した“ものづくり”を開始。22年に新設する久留米工場(福岡県)では、それに加えてビッグデータやIoTをフル活用する新たな取り組みを開始する。
一方、顧客向けのDXとしては、ECサイトのUI/UX(ユーザーインターフェイス/ユーザー体験)を改善し、オムニチャネルや新たなデジタル体験によって、オンラインとオフラインをシームレスに行き来できる顧客の利便性や新たな価値体験を実感できる仕組みづくりに取り組んでいる。
従業員向けDXでは、デジタル技術やITによって、働く環境や働き方の変革を推進。さらに、グローバルITの最適化と簡素化とは、世界各地の拠点が利用するITインフラやアプリケーションなどを最適なものに一元化・標準化し、データの利活用を高めるとともに製品の開発コストやリードタイムなどを抑える取り組みである。「23年度には、20年度比で20%前後のITコスト削減を目指しています」とミシュラ氏は語る。
資生堂のようなグローバル企業にとって、世界各地のIT利用環境を一元化・標準化することは、グローバル全体としてのコスト管理やガバナンス強化のために欠かせない。資生堂が抱えていた課題とはどういったものなのか? 次のページから詳しく見ていこう。