
「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」というパーパス(存在意義)を掲げ、医療用医薬品をはじめとするヘルスケアプロダクツをグローバルに提供している第一三共。一般には、薬局・薬店やドラッグストアで販売される風邪薬、胃腸薬の市販薬でおなじみだが、売上高の大部分を医療用医薬品が占めている。
「現在、売上収益の過半は日本ですが、2025年度をターゲットとした中期経営計画では売上収益1兆6000億円を掲げており、欧米の比率が高まることを想定しています」と語るのは、同社DX推進本部 DX企画部長の上杉康夫氏だ。
第一三共には、明治中期から1世紀以上にわたって創薬に取り組み、数多くの新薬を創出してきた経験がある。そのDNAを受け継ぎ、革新的な新薬を次々と生み出す高度な研究開発力を持っていることが、同社の何よりの強みである。
グローバルな事業活動が本格化したことで、各リージョンで多様な才能や経験を持つ人材が活躍するようになり、これも第一三共のさらなる発展を支える大きな力となっている。
「16年に策定した第4期中期経営計画では、25年度までに『がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業』となることを目標に掲げ、がん領域で世界的なプレゼンスを高めることに取り組んできました。2025年度の目標達成に一定のめどがついたことから、昨年策定した第5期中計では、『サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー』を目指すという『2030年ビジョン』を掲げています。その実現をデジタルテクノロジーによって支えるため、20年4月にDX推進ユニットを立ち上げました」(上杉氏)
上杉氏が率いるDX企画部は、そのDX推進ユニットの戦略を策定し、第一三共のデジタル変革をリードする“司令塔”である。
第一三共が目指すDXのゴールは、患者への提供価値のさらなる向上のため、創薬基盤とデジタル技術により、一人ひとりに最適なヘルスケアソリューションを提供する「Total Care Platform」(トータルケアプラットフォーム)の実現だ。
これを達成するため、データ駆動型経営によるヘルスケアの新たな価値の提供や、先進デジタル技術によるバリューチェーンのプロセス変革、IT基盤や組織基盤、人材基盤の拡充などに取り組んでいる。
中でも、グローバルで利用するIT基盤の整備は、整合性の取れた“グローバルDX”を推進するために欠かせない取り組みであった。第一三共はその基盤の一つとして、世界的に評価の高いServiceNowのプラットフォームを活用している。