日経ビジネス電子版 Special
安心・安全・信頼をITの側面から支える
グループ全体の旗振り役として

DXを推進する東京ガスiネット

「IT運用の高度化・自動化」を実現できる
ソリューションの導入を検討

 ガス小売りの全面自由化や、ガス事業の「法的分離」によって、東京ガスグループを取り巻くビジネス環境は大きく変化した。台頭する新たなプレーヤーとの激しい競争を勝ち抜くため、より付加価値が高く、多彩なサービスをスピーディに提供できる体制への変革が求められるようになった。

 これに対応するため、東京ガスグループは22年4月、事業部門ごとの子会社と社内カンパニー(疑似分社)からなるホールディングス型グループ体制に移行。各事業子会社と社内カンパニーが独立採算の下で事業を展開していくことになった。個々の事業子会社や社内カンパニーが、独自の裁量で事業計画作りや施策に取り組めるようにすることで、時代の変化に応じたタイムリーなサービスを提供できるようにしたのだ。

 これに伴って、東京ガスiネットがグループ各社に提供するITサービスにも変化が表れている。「事業子会社や社内カンパニーごとに個別化されたシステム開発や保守・運用のオーダーを受けることが多くなり、しかも、スピード感を持って対応しなければならない案件が増えているのです」と山川氏は明かす。

東京ガスⅰネット株式会社
デジタル推進2部
インフラサービスグループ
グループマネージャー
北野 堅信
1990年に入社後、東京ガス本体以外の外部顧客向けのシステム開発、パッケージ導入を担当する。その後、金融市場取引分野に特化したパッケージ開発や東京ガスの関連会社向けのシステム開発などを経験。共通基盤の契約請求業務、障害運用統括、運用高度化(ServiceNow)、ライセンスリスク管理等を取り扱うグループのマネージャーを23年3月まで担当する。

 事業ごとに個別のシステムが増えていけば、それを保守・管理するための体制も、大規模かつ複雑にならざるを得ない。かといって、対応できるマンパワーにはおのずと限度があり、やむを得ずアウトソーシングを活用するとなると、コストも増大してしまう。

 そこで東京ガスiネットは、「IT運用の高度化・自動化」というテーマを掲げ、それを実現するソリューションの導入を検討した。

 「IT運用の高度化・自動化」に向けて、とくに必要性を痛感したのは、グループ全体のシステム構成が可視化できるソリューションであった。

 「東京ガスグループでは、新たに設立された事業子会社、社内カンパニーの他、グループ会社やサービスメニューごとに様々なシステムが利用されています。各システムのシステム構成やOS、ミドルウエア、DB等の構成情報を一元的に把握できず、保守・管理も部門ごと、システムごとに属人化していました。すべてのシステムの存在や状況を把握し、一元的に管理するためには、システム構成を可視化できる仕組みが必要でした」と語るのは、同社 デジタル推進2部 インフラサービスグループ グループマネージャーの北野堅信氏である。

網羅性や拡張性の高さを評価して
新たなソリューションを選定

 また、東京ガスiネットは、「IT運用の高度化・自動化」の一環として、ITに関する問い合わせや申請などの処理も効率化できないかと考えた。

 東京ガスグループ全体のITインフラを開発・運用する同社は、各部門やグループ会社からのITに関する問い合わせにもすべて対応している。

東京ガスⅰネット株式会社
デジタル推進2部
インフラサービスグループ
課長
三和 義朗
企業向け教育ソリューション営業やSI営業などの営業業務に携わった後、東京ガスグループのITインフラ整備の計画・推進などを担当。その後、情報セキュリティ監理業務を経て、運用高度化プロジェクトに従事する。

 「問い合わせはすべて電話で受け付けているため、対応に時間が取られることは大きな課題でした。当社だけでなく、問い合わせをしてきた人の業務まで遅らせてしまうことになるので、何とかしたいと考えていました」と語るのは、同社 デジタル推進2部 インフラサービスグループ 課長の三和義朗氏である。

 一方で同社は、故障したパソコンの交換や、システムに接続するためのIDの登録といったITにまつわる申請も受け付けているが、受け付けた内容をエクセルに入力するといった手作業も多く、効率化する方法を検討していた。

 これらの課題を解決するためのソリューションとして、東京ガスiネットはServiceNowのIT Service Management(ITSM)とIT Operations Management(ITOM)を導入した。

 ITSMは、ITサービスに関する問い合わせや申請の処理を効率化、自動化するソリューション。ITOMは、CMDB(構成管理データベース)によって、社内やグループ内におけるシステムの分布状況やシステムごとの関連性を可視化し、一元的に管理できるソリューションである。

 北野氏は、ServiceNowを選定した理由について、「構成管理情報を可視化する製品や、問い合わせ・申請を自動処理できる製品は他にもありますが、両方を網羅したソリューションを提供しているのはServiceNowしかありませんでした。また、将来的に各部門やグループ会社向けに開発するアプリケーションの保守・運用にも活用したいと考えており、そうしたニーズに対応できる拡張性の高いソリューションであることも評価しました」と説明する。