
「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を発揮できる持続可能な社会の実現を目指す」──これがNECの掲げるPurpose(パーパス、存在意義)だ。
その実現に向け、「2025中期経営計画」で、「コーポレート・トランスフォーメーション(社内のDX)」「コアDX(お客様のDX)」「フラッグシッププロジェクト(社会のDX)」の3つのDXを経営の中核に据えた。
「『お客様のDX』『社会のDX』を積極的に支援することが、Purposeの実現に向けてNECが提供できる価値だと考えています。その価値を最大化するためには、自らをゼロ番目のクライアントと位置付ける『クライアントゼロ』の考え方のもと、我々自身が、最新のテクノロジーを自社で実践することで、社内変革を推進し、お客様や社会に還元できる経験やノウハウを蓄積しなければなりません。その意味で、『社内のDX』は非常に重要な取り組みであると考えています」
そう語るのは、NECで執行役Corporate EVP兼CIO兼CISOの小玉 浩氏である。

NECは「2025中期経営計画」で「EBITDA(営業利益+減価償却費)成長率年平均9%」「エンゲージメントスコア50%」という目標を掲げている。従業員のエンゲージメントの度合いを目標の1つとしている点に、「社内のDX」を重視する姿勢が感じられる。
同社が目指している「社内のDX」は、単なるITアーキテクチャやデジタル基盤の変革ではない。
「事業戦略、事業ポートフォリオ、財務戦略、文化、人といった、NECグループ全体、全領域の変革を実現するため、『制度』『プロセス・組織』『IT』、そして『データ』というコーポレートインフラというメカニズムを、三位一体Plus Oneの改革として進めています。改革が全社に及ぶことから、私たちは『社内のDX』を『コーポレート・トランスフォーメーション(CX)』と位置付けています」と小玉氏は説明する。
現在、NECでは、小玉氏のもとに業務改革部門とコーポレートIT・デジタル部門を設置し、「コーポレート・トランスフォーメーション」を推進している。2つの部門と社内の関係部門が密に連携し、一体となって改革に取り組んでいるのだ。テクノロジーの領域だけにとどまらず、社内全体の改革として動いていることがよく分かる。
NEC全体で取り組んでいる「コーポレート・トランスフォーメーション」のプロジェクト数は、現時点で230ほどに上る。すでにいくつもの成果も表れ始めているようだ。
「例えば働き方の改革では、当社が誇る生体認証技術なども駆使してシームレスなハイブリッドワークを実現しており、2018年度に22%だったスマートワークの実践度は2020年度に64%まで上昇しています。中計の目標に掲げた社員のエンゲージメントスコアも、2018年から4年間で約2倍に向上しました」(小玉氏)