
パナソニック コネクトは、「顧客起点でお客様の『現場』に貢献する新しいソリューションを提供する会社」を目指している。顧客の業務効率やサービスを改善するソリューションを提供するためには、まず自分たち自身が変わらなければならない。
そう考えた同社は、樋口泰行CEOが就任した2017年4月以降、社内における「カルチャー&マインド改革」を推進してきた。
パナソニックに勤めた後、マイクロソフト日本法人の社長などを務めた樋口氏は、数年ぶりに戻った古巣に対し、“外からの目線”で、「仕事の進め方が遅い」という印象を抱いたようだ。
「100年以上の歴史を持つパナソニックには、安全・安心で、品質の高いモノづくりに取り組む良き伝統があります。しかし、その半面、意思決定や行動のスピードが遅いことが気になったようです。そこで樋口は、『まずは内向き仕事を減らそう』と号令をかけ、仕事の進め方と同時に、その根底にある文化と意識を変える『カルチャー&マインド改革』に取り組み始めました」と溝部氏は説明する。
「内向きの仕事」とは、例えば長時間にわたる会議や、役員向けの膨大な資料作りなどのことだ。これらをもっと簡略化すれば、社員の業務負荷は軽減され、顧客に向き合う時間も増える。
「お客様との接点を最大化するためにも、社内における『カルチャー&マインド改革』は必須であるという考え方の下、樋口はことあるごとにその重要性を説いてきました。地道なメッセージの発信によって、改革の意識を根付かせたのです」(溝部氏)
社内ルールを大胆に見直したことも、社員の意識を変えるきっかけとなったようだ。
「かつてはスーツにネクタイ姿で働くのが当たり前でしたが、ドレスコードをなくし、どの席でも仕事ができるフリーデスクにしたことで、社員同士がカジュアルにコミュニケーションを交わせるようになりました。役職にかかわらず同じオフィススペースで働くようになったことで、フラットな関係性も生まれています」と語るのは、溝部氏と同じサービスプラットフォーム総括部のカスタマーサクセス部 サービス3課でマネージャーを務める元木美絵氏である。
また、社員同士のコミュニケーションのためにITツールを導入したことで、社員の在宅勤務も可能となった。
カスタマーサクセス部 サービス3課は、顧客からの問い合わせやインシデント対応を行う窓口である「サービスデスク」を運営しているが、「ITツールの導入によって、在宅でもお客様への対応が可能となり、子育てしながらでも仕事ができるようになりました」と語るのは、サービス3課 1係の高橋小百合氏だ。
このように、パナソニック コネクトの“働き方改革”は、「意識・プロセス・ツール」の三位一体によって効果を発揮しているのが特徴だ。
溝部氏は、「社員の働きやすさを実現することが、お客様により良いサービスを提供する上での基礎となります。EX(従業員体験)の改善が、CX(顧客体験)の向上にもつながるわけです」と語る。
パナソニック コネクトは、CXをさらに向上させるため、2020年にServiceNowのCustomer Service Management (CSM)を導入した。サービスデスクに寄せられる顧客からの問い合わせやトラブルへの対応依頼に、より確実かつスピーディに応えられるようにするためだ。
「従来、お客様からサービスデスクへの連絡方法は、電話とメールが中心でしたが、問い合わせのチャネルを増やすため、CSMを使ってポータルを開設することにしました」と導入プロジェクトに携わった元木氏は説明する。
CSMには、「顧客からどのような問い合わせや依頼が来ているのか」という傾向をダッシュボードで一元管理できる機能もある。「従来はバラバラのツールで集計、管理していた内容を統合することで、オペレーター全員が傾向や課題を共有し、サービス品質の標準化と底上げができるのではないかと考えました」と元木氏は語る。
ServiceNowの選定理由について、元木氏は「定期的にバーションアップされ、新しいサービスが追加されていく点をとくに評価しました」と明かす。
以前はオンプレミスのインシデント管理ツールを利用していたが、何年も更新されず、時代のニーズにそぐわなくなっている点に課題を感じていた。その点、SaaSであるCSMは時代に合わせて進化を遂げていくので、将来性や拡張性が高いと判断したのだ。