日経ビジネス電子版 Special
「カルチャー&マインド改革」で組織を変革
溝部氏/元木氏/髙橋氏
パナソニック コネクトの「つなぐ力」が顧客体験を高める

「カルチャー&マインド改革」で組織を変革 パナソニック コネクトの「つなぐ力」が顧客体験を高める

最小限のカスタマイズが
顧客への価値の向上につながる

 パナソニック コネクトは、CSMの導入に合わせて、サービスデスクによる受け付けから、問い合わせへの回答やインシデント対応に至るまでの業務プロセスを、CSMの標準機能に沿って変えていくことを目指した。

 「カスタマイズを最小限にとどめ、将来のメンテナンス負担を抑えるためです。CSMはインシデント対応のベストプラクティスに基づいて設計されているので、そのプロセスに合わせることが結果的に業務の効率化や、お客様に提供する価値の向上につながると考えました」と元木氏は振り返る。

 CSMの導入により、問い合わせやインシデント対応依頼を受け付ける新たなポータルサイトを開設。顧客にとってはコミュニケーションのチャネルが増え、連絡が取りやすくなるというメリットがもたらされた。

 一方、サービスデスク側には、機器・システムの故障や障害などに対処する作業員の管理がしやすくなるという業務改善効果が表れた。

 「以前は、お客様からインシデントの報告を受けると、電話やメールで作業員に対応を要請していたのですが、CSMに依頼内容を入力するだけで派遣要請ができるようになりました。しかも、以前から使用していた作業員の管理システムとCSMが連携しているので、派遣要請をした作業員が、実際に作業に取りかかっているのか、どこまで作業が完了しているのかといったことも、同じインターフェース上で確認できます。お客様から作業員の派遣や、作業の進捗状況に関する問い合わせを受けても、スムーズに回答できるので非常に助かっています」と高橋氏は語る。

ユーザーポータル画面/インシデント管理画面/契約管理画面
パナソニック コネクトがServiceNowのCSMで構築したユーザーポータル画面と、インシデント管理画面、契約管理画面。シンプルで分かりやすいデザインになっている

作業員への電話やメールが不要となり
年間150時間が削減される

 パナソニック コネクトは、このほかにもServiceNowのCSMを様々な用途で活用している。

 その一つが、小売業の顧客に提供する店舗システムの「ID・パスワード」リセットの自動化だ。サービスデスクには、「店舗システムのIDやパスワードが分からなくなったので、リセットしてほしい」というリクエストが毎月1300件ほど届く。以前は、その都度オペレーターがリセットし、完了した旨を顧客に電話で知らせていたが、その作業時間だけで1件当たり15分近くもかかる。月間1300件なら325時間である。

 そこでCSMとRPAを連携させ、顧客がポータル上でリセットの申請をすれば、自動的に処理される仕組みを構築。月間325時間を費やしていた作業がゼロになった。

 また、「以前は、お客様との契約内容の管理はエクセルで行っていましたが、ServiceNowを使って登録・更新・契約書の自動発行をできるようにしました」と語るのは高橋氏である。

 この仕組みは、高橋氏が自ら構築したものだ。「ITに関する知識があまりなくても、自分たちが欲しい仕組みが簡単に作れるのもServiceNowの優れた点だと思います」と高橋氏は評価する。CSMのダッシュボード上で契約が管理できるようになったことで、年間144時間もの作業時間が削減されたという。

 さらにパナソニック コネクトは、大手小売チェーンや外食チェーンなどが全国のIT機器を一斉更新する際に、各現場における作業の進捗状況を一括管理する仕組みとしてもServiceNowを活用している。「1件1件の現場に作業員が赴いて、更新作業を行っているが、その進捗状況を把握するのはとても大変だった。

 ServiceNowで全体を管理できるようになり、お客様からの状況の問い合わせにも迅速に答えられるようになりました。作業員からの問い合わせの件数やサポート時間も減ったことなどで、5カ月間で1500時間の削減効果が表れています」と溝部氏は語る。

 このほか、インシデント発生時に作業員に対応要請の電話、メールを送る必要がなくなったことで、年間150時間が削減されるという効果も表れている。ServiceNowの導入による業務改善効果は非常に大きかったようだ。

 溝部氏は、「問い合わせに対するレスポンスも迅速になり、EXとCXを同時に実現する効果が得られています。今後は、CSMに蓄積された問い合わせやインシデントの傾向などを分析して、ソリューションの改善や新たな製品・システムの開発などに生かしていきたい」と抱負を語る。

 ServiceNowを活用したパナソニック コネクトの変革は、まだまだ続きそうだ。