デジタル変革をきっかけに組織風土改革に挑む 農林中央金庫が歩むDXへの道のり

農林水産業者の協同組織を基盤とする全国金融機関として、日本の農林水産業の発展に貢献し、グローバルな投融資を行う機関投資家としての一面ももつ農林中央金庫(以下、農林中金)。時代の変化とともに業務体制やサービスの改善に取り組んできた農林中金は、創立100周年を迎えたいま、レガシーシステムのモダナイズや、デジタル変革をきっかけとする組織風土改革に挑んでいる。

農林水産業の発展に貢献する
全国金融機関

 JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森林組合)など、農林水産業者の協同組合を基盤とする全国金融機関として、日本の農林水産業発展、ひいては国民経済の発展に寄与する事業を展開する農林中金。

 全国でサービスを展開する「JAバンク」「JFマリンバンク」のリテール(個人向け金融)事業を支えているほか、農林水産業者をはじめ、“食農バリューチェーン”を形成する加工・流通・外食業者への資金の貸出、国内外プロジェクトへの投融資など、その事業領域は多岐にわたっている。

半場氏
農林中央金庫
理事 兼 常務執行役員 IT統括責任者
半場 雄二
1993年、農林中央金庫入庫。2018年よりIT統括部長。23年より現職。農中情報システム(NIC)代表取締役社長も兼務。

 「国民経済や暮らしの要である“食農バリューチェーン”全体の付加価値を向上させるため、資金の貸出だけでなく、担い手の育成やコンサルティング、M&Aアドバイザリー、輸出・海外進出支援といった非金融サービスも幅広く提供しています」と語るのは、農林中金 理事 兼 常務執行役員 IT統括責任者の半場雄二氏である。

 農林中金は、全国のJAバンクが金融業務で使用する勘定系システムなどのインフラ運営も担っている。半場氏が管掌するIT統括部は、そうした金融サービスのための基幹系システムのほか、農林中金のグループ内で利用する業務システムなどの開発・運用なども統括している。

 2023年12月に創立100周年を迎えた農林中金は、その長い歴史の中で、時代の変化に合わせながらシステムや業務の変革を重ねてきた。その一つとして現在、挑んでいるのが業務の「デジタル変革」である。

 煩雑な手作業や、紙のやり取りが多い業務をデジタルによって効率化し、職員の生産性を向上させることが主な狙いだ。しかし、単に仕事のやり方を変えるだけでなく、農林中金には、デジタル変革を通じてその先に見据えているものがある。

 それは「職員の意識」や「組織風土」の変革だ。