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株総大荒れ? 採用減のリスクも!ダイバーシティを軽視している会社が陥る「3つのワナ」

女性活躍やダイバーシティ推進は、これからの企業の成長に欠かせない──。そんなことは耳にタコができるくらい聞いていて、分かっているという人も多いだろう。しかし、本当に自社の取り組みは大丈夫だといえるだろうか?

2021年6月の「コーポレートガバナンス・コード」改訂、2022年4月の「女性活躍推進法」改正、さらに2023年6月に閣議決定された「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針)2023」ではプライム市場上場企業を対象とした女性役員比率の数値目標が設定されるなど、ここ数年で数々のダイバーシティ関連ルールが打ち立てられている。次々と登場するルールや法整備に「またか」と感じている人もいるかもしれない。

羽生祥子

日経xwoman客員研究員
羽生祥子

京都大学農学部入学、総合人間学部卒業。2000年に卒業するも就職氷河期の波を受け渡仏。帰国後に無職、フリーランス、ベンチャー、契約社員など多様な働き方を経験。編集工学研究所で松岡正剛に師事、「千夜千冊」に関わる。05年現日経BP入社。12年「日経マネー」副編集長。13年「日経DUAL」を創刊し編集長。18年「日経xwoman」を創刊し総編集長。20年「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」始動。内閣府少子化対策大綱検討会、厚生労働省イクメンプロジェクトなどのメンバーとして働く女性の声を発信する。22年羽生プロ代表取締役社長。23年内閣府・厚生労働省・東京都の各種検討会委員、大阪・関西万博Women's Pavilion WA talksプロデューサー等に就任。

しかし、このような国や法律などのいわゆる外圧によるものだけでは、女性活躍やダイバーシティを本気で会社に取り入れ経営に活かすことはなかなかできないのも現実だ。

だからといって、女性活躍やダイバーシティを軽視することは、経営にとって甚大なリスクとなる。実際に、そのような経営リスクが顕在化した企業の実例も少なくない。いったいどのようなリスクがあるのか。そのリスクを回避し対処するにはどうすればいいのか。ダイバーシティ施策に精通する日経xwoman客員研究員で、「女性版骨太の方針2023」に向けた検討会の委員も務めた羽生祥子に聞いた。

ダイバーシティ軽視による
深刻な3つの経営リスク

ダイバーシティを軽視している会社では、この1〜2年で「実害レベル」でリスクが表面化しています。その経営リスクとは、主に3つあります。

1つ目は、株主総会における投資家からの反応です。上場企業では、国内外の投資家が女性活躍・ダイバーシティ施策を軽視、または実行できていない経営者への反対を表明する案件が増えてきました。実際、女性役員や女性取締役がともに不在(0名)の企業の場合、2023年以降、議決権行使基準において経営トップへの反対率が大幅に上昇しています。

例えば、女性取締役0だったキヤノンの場合、会長兼社長CEOの御手洗冨士夫氏が2023年3月の株主総会で投資家から「多様性が欠如している」と多くの反対票を投じられ、賛成率50.59%というギリギリの数字で再任。世間に大きな驚きを与えました。

このようなことは、キヤノンに限らずほかの企業にも十分考えられる経営リスクです。実際、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に代表される機関投資家の3分の2が、投資判断に女性役員比率などの女性活躍情報を活用しています(出典:内閣府 男女共同参画局「ジェンダー投資に関する調査研究」令和4年度)。女性役員比率への意識が薄い会社は、「投資家から選ばれない企業」になる時代にますますなっているのです。

さらに「女性版骨太の方針2023」では、プライム市場上場企業を対象に、2025年をめどに女性役員を最低1人選任することを政府目標として掲げています。2025年ということは、「いずれやる」ではなく今すぐに着手しないと間に合いません。この政府目標は東京証券取引所と連動する動きもあり、今後のプライム市場上場基準となる可能性が高いといえるでしょう。

2つ目は、非上場企業においても女性活躍・ダイバーシティに関する法律に対応しなくてはならないという現実です。これは中小企業にもあてはまり、従業員101人以上の企業は「女性活躍推進法」により、女性活躍に関する行動計画の策定が法律で定められています。

この行動計画では、男女別の配置の状況や、男女の賃金の差異、男女別の育児休業取得率などの数値目標を公表する義務があります(301人以上の企業は3項目以上、300人以下の企業は1項目以上)。女性活躍推進法には罰則はありませんが、仮に従業員から外部の公的な相談窓口に経営の実態について報告や相談がされた場合、当局から取り調べが入って指導を受けることになります。

3つ目のリスクは人材採用への影響です。女性活躍・ダイバーシティへの取り組みの現状や数値目標を自社サイトなどの公式の場で開示していないと、採用に大きなダメージを与えかねません。

Webメディアの「日経xwoman」が2022年に実施した「女性のキャリア(働き方)意識調査」によると、回答した女性の7割以上が、ダイバーシティ推進に積極的な企業で働きたいと答えています。また、「多様性ゼロ組織」で働く女性の約25.8%が転職したいと答えています。この傾向は男女問いません。まさに人材リスクそのものであり、経営の基盤をゆるがしかねません。

本気で女性活躍・ダイバーシティに取り組むべき3つの理由 1株主総会・投資家対策→女性役員比率への意識が薄い会社は、「投資家から選ばれない企業」に 2法律・ルールの変更への対応→女性活躍推進法や女性版骨太の方針2023で義務や目標を明示 3採用ブランディング→男女ともに、多様性のある企業での就職を希望する傾向が顕著に。多様性のない企業は、採用減のリスクも

では、このような「女性活躍やダイバーシティを軽視する」ことの経営リスクは、どのように回避し、対処すればいいのでしょうか。実はやるべきことは至ってシンプルではっきりしています。その具体的な手順について説明しましょう。

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