SAPのeコマースプラットフォームを採用
国内商用車メーカー初、
補修用部品等のオンラインショップを開設
顧客体験変革に挑む三菱ふそうの選択
そもそも、三菱ふそうがオンラインショップを立ち上げたのは、「純正以外の部品の使用による車両の故障や、部品が届かず、車両とともにお客様のビジネスそのものが動かなくなってしまうことを避けたい」(ウォーレ氏)という切実な思いからであった。
「故障の心配がない純正部品を、いつでも確実にお届けすることが、商用車メーカーに不可欠なアフターサービス体制であると考えています。ドライバーの労働時間規制が始まる『物流の2024年問題』によって、不足する人手や車両を工面しながら現場を動かし続けるのはますます困難になります。だからこそ、部品が届かないことでお客様の車両とともにビジネスを止めてしまうような事態は、絶対に避けなければなりません。その解決策の一つとして、『三菱ふそう_ショップ』を立ち上げたのです」とウォーレ氏は説明する。
オンラインショップ開設のプロジェクトは19年に始動。まずは、お客様がどのようなサービスを求めているかを詳細に調査することから始めた。
「三菱ふそうは、『お客様の声に耳を傾ける』ことを大切にしています。その考え方に基づき、広範なリサーチを行って機能要件を固めていきました」と語るのは、同社 海外販売・カスタマーサービス本部 CS製品開発部 部長のヴァスデヴァン・ヴェヌクマール氏である。
三菱ふそうトラック・バス
海外販売・カスタマーサービス本部
CS製品開発部 部長ヴァスデヴァン・ヴェヌクマール 氏
より簡単にアクセスできて、部品の検索から注文までがシンプルに行えるもの、というお客様からの要望を反映し、「三菱ふそう_ショップ」には、車両の車体番号をあらかじめ登録しておくと、その車両に合う補修用部品をピックアップして表示する仕組みが採り入れられた。
同ショップでは、約5万点の補修用部品やアクセサリーなどが販売されているが、「車体番号を登録しておけば、膨大なアイテムの中から必要な部品を探し出す手間がなくなり、部品のミスマッチも解消されます。必要なアイテムと数量を選んで注文ボタンを押せば、最寄りの三菱ふそう販売店から注文したアイテムが届く仕組みです」とヴァスデヴァン氏は説明する。「決済方法の選択肢を増やしてほしい」という要望に応え、クレジットカード決済にも対応した。
機能の要件を固める一方で、三菱ふそうは、オンラインショップを開発・運用するための基盤の選定も行った。数ある選択肢の中から、同社が選んだのはSAPのeコマースプラットフォームソリューション「SAP Commerce Cloud」であった。
ヴァスデヴァン氏は、「拡張性や柔軟性など、あらゆる面においてSAPのプラットフォームがベストな選択でした」と振り返る。
何より、三菱ふそうが重視したのは拡張性の高さである。同社のトラック、バスに使用されている部品は、全車種を合計すると実に100万点以上にも上る。オンラインショップの立ち上げ段階では約5万点からスタートさせるが、今後も継続的に扱う部品の数を増やしていく計画である。
「計画通りに当ショップを拡大していくためには、大量の商品点数や注文処理にも対応できる拡張性の高いプラットフォームでなければなりません。いくつかの候補を検討しましたが、この要求を満たせるのは『SAP Commerce Cloud』以外にありませんでした」と語るのは、同社ITプロセス本部 ITセールス&カスタマーサービス・クロスファンクション部 部長の稲垣善央氏である。
三菱ふそうトラック・バス
ITプロセス本部
ITセールス&カスタマーサービス・
クロスファンクション部 部長稲垣善央 氏
また、SAPはeコマースだけでなく、基幹システムのERPや機械学習などの分析基盤のソリューションが充実していることと、他システムとのデータ連携をAPIやクラウドコネクターを使ってリアルタイムで実装できることが、継続的にサービス改善を図っていけるとして高く評価された。
「当社は、すでにSAPの会計システム、部品の受発注倉庫管理、ディーラー・マネジメントシステムなどを先行導入しており、これらのシステムと柔軟に連携できる点も導入の決め手になりました。クラウドによる運用なので、サーバーやOSのメンテナンスなどインフラ管理の手間は省いて、ビジネスプロセスや機能開発に専念できることも魅力でした」(稲垣氏)
もう一つ、ヴァスデヴァン氏がeコマースプラットフォームの要件として重視したのが、分析機能の充実である。「どのお客様が、いつ、どんな部品を購入されたのか。どの時期に、どんな部品がよく売れるのかといった状況を正確に分析できるようにすることは、お客様の注文にタイムリーにお応えするために不可欠です。それができるプラットフォームであることも、『SAP Commerce Cloud』を選んだ大きな理由です」(ヴァスデヴァン氏)。
お客様のビジネスを止めないように、部品のタイムリーな供給を目指す三菱ふそうにとって、様々な切り口で精度の高いデータ分析ができる「SAP Commerce Cloud」は理想のソリューションだったと言える。
同社は今後、「三菱ふそう_ショップ」の販売アイテム数を増やしていく一方、国内のみならず、海外でもオンラインショップを展開することを視野に入れている。さらに、オンラインショップにとどまらず、顧客体験を高めるサービスをより幅広く提供していく考えだ。
「例えば、お客様が保有する車両のステータス情報などをリアルタイムで提供するポータルなどもアイデアの一つです。車検等の定期点検の時期が迫ってきたら自動通知を送るといったように、お客様の車両管理の効率化を支援するサービスです」と稲垣氏は説明する。
このように、顧客のあらゆる課題解決に貢献する「トータルカスタマーエクスペリエンス」を追求することが、三菱ふそうの描く理想だ。ウォーレ氏は、「理想の実現に向けて、これからも最新のテクノロジーを活用しながらサービス提供体制を拡充していきたい。SAPには、そのためのさらなる支援を期待しています」と語った。
三菱ふそう_ショップ
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