野村総合研究所が進める
調達業務改革
複数のSaaSを組み合わせて
「調達プロセスの合理化」を図る
NRIが取り組んでいる「調達業務改革」は、「調達プロセスの合理化」と、「サプライチェーンマネジメントの高度化」の2本柱で進められている。
「調達プロセスの合理化」とは、ニーズの多様化やグローバル化、“モノの調達”から“サービス調達”への移行といった時代の変化に合わせ、これまでの調達プロセスのあり方を抜本的に見直すものだ。
「ここ数年のDXの急速な進展によって、従来型の調達プロセスではクライアント企業のニーズにかなった『人・モノ・サービス』がタイムリーに供給できない状況が顕在化していました。これを解決するため、調達業務全般の抜本的な見直しを行い、To be(あるべき姿)を明確にして、それを実現するための業務設計を行いました」と廣氏は説明する。
業務・調達管理部 部長
廣 卓郎 氏
検討を重ねた結果、あるべき姿を実現するには、複数のSaaSを組み合わせて、それぞれの強みや持ち味を掛け合わせながら運用していくのが望ましいと判断。NRIグループ内におけるSaaS導入支援の役割を担う山本氏らDX基盤事業本部の支援を仰ぎながら、理想とする組み合わせを構築していった。
当初は、既存の調達システムを刷新する程度の改革を考えていたが、「それでは、単なる“老朽化対策”の域を出ません。急激な時代の変化に対応してビジネスプロセスそのものを大胆に改革するためには、優れた複数のSaaSを組み合わせ、それに合わせて自分たちの“やり方”を変えるべきだという結論に至ったのです」と山本氏は振り返る。
様々なソリューションの一つとして、NRIが選定したのが調達業務におけるコミュニケーションやコラボレーションに適したServiceNowであった。
同社は2022年秋、ServiceNowの調達ソリューションであるSource To Pay Operations(以下、S2P)の導入を決定した。その狙いは、「調達業務改革」の柱の一つである「サプライチェーンマネジメントの高度化」を実現させることにあった。
NRIが目指す「サプライチェーンマネジメントの高度化」には、大きく2つの目標がある。1つは、直接調達取引を行う一次サプライヤーとの情報共有や対話の強化。もう1つは一次サプライヤーだけでなく、二次以降のサブサプライヤーも含めたサプライチェーン全体の管理だ。とくに後者は、昨今のサステナブル調達に対する要請などに適切に対応するため、喫緊の課題となっていた。
S2Pのポータル機能を使って
末端のサプライヤーまでの情報を取得
同社がServiceNowのS2Pを選んだのは、課題を効率よく解決できる機能を備えていたからだ。その1つがポータル機能である。
「サステナブル調達を進めるためには、適切な情報開示が求められます。サプライヤーに対して、取引に必要な情報収集の他、ビジネス行動規範に同意していただいた後に、コンプライアンスに反することなく実践できているかを調査する必要もあります。これまでは、扱う商品カテゴリによってサプライヤーマスターも複数存在していましたが、S2Pでサプライヤーマスターを統合し、ポータル機能を使って『NRIグループサプライヤーポータル』というものを新設しました。マスタを統合することで、サプライヤーの重要度、優先度を一括管理できるようになりました」と山本氏は説明する。
NRIは「調達業務改革」のため、強みや持ち味の異なる複数のSaaSを組み合わせて導入したが、中でもServiceNowを高く評価したのは、サプライヤーとのコミュニケーションやコラボレーションのためのツールとして優れている点であった。
「サプライヤーとのコミュニケーションが発生するのは、サプライヤーオンボーディング(取引契約に至るまでの情報登録と手続き)のときだけではありません。受発注してからもコミュニケーションが必要となります。ポータル機能に優れているServiceNowは非常に魅力的でした。まさに“適材適所”の組み合わせの一つとして選定したわけです」と山本氏は語る。