時代に合わせて抜本的に変革

野村総合研究所進める
調達業務改革

サプライヤーオンボーディングの
業務効率を改善

山本氏がServiceNowを高く評価したもう1つの理由は、調達業務で必要とされる機能がS2Pの標準機能で対応することができる点であった。

サプライヤーとのコラボレーションの強化に関しては、他にもS2Pの導入によって効率化を実現した業務がある。それは、サプライヤーオンボーディング(取引契約に至るまでの情報登録と手続き)だ。

NRIでは従来、新規のサプライヤーと取引を開始する際に、メールや郵便のやり取りによって契約までの情報登録や手続きを行ってもらっていた。時間と手間がかかるだけでなく、どのサプライヤーの情報登録や手続きがどこまで進んでいるのかという進捗状況も把握できず、契約に至るまでかなりの時間を要していたという。

廣氏は、「サプライヤー側も、どんな情報登録や手続きが必要で、何が漏れているのかといったことがよく分からず、戸惑うことが多かったようです。そこで、S2Pに標準搭載されているサプライヤーオンボーディング機能を使って、効率的に手続きが進められる仕組みを構築しました」と語る。

具体的には、S2Pのポータルサイト上で情報登録や手続きを行い、完了すると、次に何をするのかをガイダンスしてくれる仕組みを提供。その指示に沿ってサプライヤーが手順通りに作業を行えば、スムーズにオンボーディングが完了するという流れだ。

「分からないことがあれば、チャットベースで質問に答えてくれる仕組みも用意しました。また、よくある問い合わせはナレッジとして蓄積し、社員がサプライヤーに回答する際のマニュアルとして利用したり、サプライヤーが自己解決できるようにFAQを整備したりしています。社員にとっても、サプライヤーにとっても、作業負荷が軽減される仕組みが出来上がったと思います」と廣氏は評価する。

また、サプライヤーに利用してもらいやすいサービス体系となっていることも普及しやすさにつながっている。

S2Pのさらなる活用によって
「調達業務改革」を推進する

このサプライヤーオンボーディング機能の導入によって、取引契約の締結に至るまでの期間は格段に短縮されたという。

廣氏は、「メールや紙の書類でやり取りしていたころに比べると、締結までの時間は半減しました。契約書へのサインを電子化したことも時間短縮につながっています」と語る。

また、問い合わせに対応するためのマニュアルやFAQを整備したことで、問い合わせの件数も、対応時間も半減したという。S2Pの導入は、業務効率化の面でも大きな効果をもたらしている。

NRIは、今後もS2Pのさらなる活用によって、「調達業務改革」をより一層推進していく方針である。

「S2Pには、調達業務を効率化する標準機能が豊富にそろっています。まだ、すべてを使いこなせているわけではないので、これからさらに活用していきたいですね。手始めに、『ショッピングハブ』という社員向けの物品・サービス調達サイトを間もなくリリースする予定です」と山本氏は説明する。

NRIでは、以前から別の社員向け調達サイトを運用していたが、物品の注文は取りまとめて集中購買できるものの、クラウドなどのサービスはそれができなかった。

「ショッピングハブ」なら、物品だけでなくサービスも集中購買できるので、より大きなコスト削減効果が期待できる。しかも、各部門が同じようなサービスを別々に契約している状況を是正できるので、ガバナンス強化につながるのがメリットだ。

山本氏は、「標準機能がそろっていることに加え、ServiceNowは、欲しい機能が簡単に開発できる非常に柔軟なプラットフォームなので、これからいろいろな機能を追加して利便性をさらに高めていきたい」と抱負を語る。

「将来的には、調達した物品などの固定資産管理や、派遣した人材などの管理にもServiceNowを活用していきたい」と語るのは廣氏だ。

「従来はバラバラに管理していましたが、調達申請を“入り口”として一括管理できるようになれば、業務効率だけでなく、経営効率の改善にもつながるはずです。ゆくゆくは、調達計画と収支計画、要員計画などをすべてひもづけて、プロジェクトごとの収益の見える化や、不正発注の防止といったガバナンス強化にも役立てていきたいですね」(山本氏)

ServiceNow を活用したNRIの「調達業務改革」は、より大きく発展しそうだ。