住民と行政をデジタルで1つに

藤沢市の
シン・シヤクショプラットフォーム

神奈川県藤沢市は、市民による行政サービスの申請や施設予約などがワンストップでできるデジタルプラットフォームの構築を進めている。その第1弾として、行政サービスに関する問い合わせ先を一元化し、FAQ、チャット、オペレーター対応など、マルチチャネルで対応するコンタクトセンタープラットフォームを構築した。同市が描く「シン・シヤクショプラットフォーム」構想の全容に迫った。

市民向けサービスの改善と
職員の業務効率化を両立させる

神奈川県の中央南部に位置する藤沢市。横浜まで電車で約20分、東京までは約50分と交通至便な位置で、江の島や湘南海岸といった自然環境にも恵まれていることから、民間調査でも「住みたい街」「住みやすい街」の上位にランクされることが多い人気のある市だ。

住みやすさに魅力を感じる人々の流入などによって人口は増え続け、2021年7月に44万人を突破。現在は約44万4000人、約20万3800世帯が暮らしている(24年9月1日時点)。

相当な人口規模のため、市役所による市民へのサービス対応も多忙を極めていた。

「例えば、市民の皆さんから市役所に寄せられる電話は、毎月約2万~3万件に上ります。限られた職員数では、問い合わせに答えるだけでも手いっぱいですし、部署をまたいで対応を要請したり、頼んだことが処理されたかどうかを庁内電話やメールで確認したりするのもひと苦労でした」

そう語るのは、藤沢市 企画政策部 デジタル推進室 主任の宇田川 晟氏である。

宇田川氏
藤沢市
企画政策部 デジタル推進室
主任
宇田川 晟
2015年度入庁。市民課部門にてマイナンバー制度創設に伴うカード申請交付事務の立ち上げに従事したのち、19年度より総務省に出向し、地方税制度のデジタル化に従事。帰任後は、情報システム部門に1年間従事し、21年4月より現職。

問い合わせ対応に苦慮する一方で、市民の行政サービスに対する満足度をいかに高めるかも大きな課題であった。

「1日に何万件もの電話が届くと、どうしても待たされる電話の件数が増えてしまいます。市民の皆さんの大切な時間を無駄にしないためにも、何らかの改善が不可欠だと考えていました」と宇田川氏は明かす。

改善すべきと考えたのは、電話による問い合わせだけではない。

市役所には、毎日多数の市民が訪れ、様々な申請や手続きなどを行っている。だが、出産や育児関連の申請・手続きだけでも、担当する部課がいくつかに分かれ、市民はそれぞれの部署の窓口で氏名や住所などの情報を、イチから申込用紙に記入しなければならない。そもそも、電車やバスに乗り、わざわざ市役所まで出向いて手続きしなければならないのが面倒だと思うこともあるだろう。

そんな市民へのサービスの改善と、職員の業務効率化を同時に実現することを目指し、藤沢市はデジタルプラットフォームの導入を決定した。