藤沢市の
シン・シヤクショプラットフォーム
「どこでも」「ピッタリ」「かんたん」
3つのバリューを追求する
現在、藤沢市が進めているのは、市民と行政のタッチポイントを1つにするデジタルプラットフォームの構築だ。同市は、行政サービスのあり方に新風を吹き込む仕組みとして、これを「シン・シヤクショプラットフォーム」と呼んでいる。
具体的には、「ふじまど」と名付けた市民向けのポータルサイトを開設。このサイトを通じて、市役所へのあらゆる問い合わせや、各種申請・手続きなどの申し込みがワンストップで行えるようにすることを目指している。
市民から寄せられた問い合わせや申し込みは、自動的にそれぞれの担当に振り分けられ、オンライン上で担当者と市民が直接やり取りしながら処理するという流れだ。
複数の部署をまたぐ問い合わせや申し込みについては、デジタルプラットフォーム上でデータを共有し、各部署の担当する業務がどこまで進んでいるのかをリアルタイムで確認できる。これによって、部署間の確認メールやデータのやり取りがなくなり、抜け漏れや対応の遅れを回避できるのが大きなメリットである。
「職員の業務負担が軽減されるだけでなく、市民の皆さんに提供する行政サービスのスピードや品質も大幅に改善されます。何より、わざわざ市役所に出向く必要がなくなり、部署間をたらい回しにされることもなくなるのが、市民の皆さんにとって願ってもないことではないでしょうか」と宇田川氏。
藤沢市が「シン・シヤクショプラットフォーム」の構築によって目指すのは、「どこでも」(市役所に行かなくて済む)、「ピッタリ」(一人ひとりのニーズにあった)、「かんたん」(一度で手続きが済む)という3つのバリューを満たした行政サービスの実現だ。
このプラットフォームの構築で中心的な役割を担った部署の一つが、宇田川氏が所属するデジタル推進室である。行政のデジタル化に積極的に取り組んでいる藤沢市は、21年4月に同室を設置。
その後、デジタル推進室は、市役所内でもデジタル化の推進に意欲を持つ各部課の職員を集め、現状の業務や行政サービスの課題を抽出するためのワークショップを開催した。その話し合いの過程で、市民からの問い合わせへの対応に大きな課題があることが浮き彫りとなり、デジタルプラットフォームの導入へとつながったのだという。
藤沢市のデジタルプラットフォームによる変革
拡張性の高さを評価して
ServiceNowのCSMを選定
「ワークショップで課題として挙がったのは、問い合わせの窓口や、受け付けた後の業務処理のフローがバラバラで、市民の皆さんだけでなく、職員にも混乱を招いていたことです。そのため、まずは受付窓口をワンポータルに集約し、そこから担当する各部署に問い合わせの振り分けや、他部署への業務の引き継ぎなどが自動でできるワークフローを構築したいと考えました」と宇田川氏は振り返る。
デジタル推進室は、この問い合わせ業務(以下、コンタクトセンター業務)への対応を入り口として、段階的にあらゆる申請・申し込みがワンポータルで処理できる仕組みを構築する長期構想を描いた。
こうして21年末に「シン・シヤクショプラットフォーム」構想の第1弾となるコンタクトセンタープラットフォームの導入プロジェクトが始動。デジタル推進室と、市民からの問い合わせを所管する市民相談情報課が中心となってプロジェクトチームを編成した。
プロジェクトチームは、プロポーザル(企画競争入札)方式で業者の審査を行い、最終的にServiceNowのCustomer Service Management(カスタマー・サービス・マネジメント、以下CSM)を基盤とする業者の提案を採用した。
宇田川氏は、選定の理由について「他の業者が提案したソリューションはコンタクトセンター業務に特化したものが中心でしたが、CSMは他の業務にも対応できる拡張性を備えており、将来的にあらゆる申請・手続きを網羅したいという私たちの構想にかなっていたことが大きな決め手になりました」と明かす。
その上、CSMがコンタクトセンター業務のための基盤として十分な機能を備えていたことも、プロジェクトチームは高く評価した。
「CSMには、FAQやチャット、オペレーターによる音声対応など、様々なコミュニケーション方法に対応できるツールが用意されています。市民の皆さんが、まずはポータル上でFAQを調べ、求める答えがないときはチャットで問い合わせ、それでも問題が決しなければオペレーターに尋ねるといったように、同じポータル上で効率よくコミュニケーションができる点に魅力を感じました」(宇田川氏)