藤沢市の
シン・シヤクショプラットフォーム
職員が応対する市民からの問い合わせ電話が
月間5000件も減少
藤沢市は23年3月にServiceNowの導入を決定。それからわずか半年後の23年10月にCSMを基盤とするコンタクトセンター業務をスタートさせている。
短期間でリリースにこぎ着けたのは、ServiceNowがアジャイル開発に適したローコード設計であることに加え、ポータルの作成やワークフロー設定のためのパーツなどがあらかじめそろっていたからだ。
「いろいろなシステムの開発プロジェクトに携わってきましたが、これほど短期間でリリースできたシステムは他にありません。出来上がったプロトタイプを各部課の職員に実際に触ってもらい、要望を吸い上げては改善を図るという作業を高速で回しながら、短いスケジュールで完成度の高いプラットフォームを作り上げました」と宇田川氏は振り返る。
すでに導入から1年以上が経過しているが、藤沢市の職員たちはコンタクトセンタープラットフォームの導入効果を強く実感しているようだ。
「何より、プラットフォーム経由の問い合わせが増えたことで、電話対応の件数が減ったことに大きな効果を感じているようです。実際、市役所に寄せられる電話のうち、受け付けたオペレーターから各部課の担当者に回される本数は、プラットフォームの導入前に比べて毎月5000件ほど減っています。1カ月当たりの電話が約2万~3万件なので、2割ほど減っている計算です」(宇田川氏)
一方、コンタクトセンタープラットフォームをリリースした23年10月以来、市民がポータル上でFAQを検索した件数は半年で約3万5000件に達した。FAQで問い合わせを自己解決できるようになったことも、電話が減った大きな要因の一つであることは間違いなさそうである。
宇田川氏は、「電話を受ける時間が減れば、職員は他の業務により多くの時間を割けるようになります。その分、市民の皆さんに提供するサービスの質が向上することを期待しています」と語る。
リリース当初、約2000件だったFAQの項目数は、その後、約3000件まで増加した。「FAQを充実させれば、職員の負担がますます減り、市民にとっても自己解決の機会が広がるという“好循環”が認識されるようになり、職員が積極的に増やそうと努力した結果だと思います」と宇田川氏は評価する。
デジタル人材育成のため
ServiceNowと連携協定を締結
このほか、藤沢市はServiceNowのダッシュボード機能を使って、市民から寄せられる問い合わせの内容や、FAQに対する評価、担当課別の対応時間などの分析も行っている。分析結果に基づいてFAQを見直したり、対応の改善を促したりすることが目的だ。これにより、サービス品質や業務効率を継続的にブラッシュアップしていくことを目指している。
「今後も、生成AIを使ってチャットによる回答を自動化するなど、継続的なサービス改善を図っていきたい」と宇田川氏は構想を明かす。
コンタクトセンター業務以外にプラットフォームの活用を広げる取り組みも、すでに始まっている。現在進行しているのは、公民館やスポーツ施設などの予約システムをデジタルプラットフォームに取り込み、市民ポータルサイト「ふじまど」で予約できるようにする仕組みの構築だ。
「従来、公民館とスポーツ施設の予約システムはバラバラで、予約するには別々のID入力が必要でした。それが『ふじまど』にアクセスすれば、1つのIDでできるようになります。将来的には、あらゆる申請・手続きが同じIDで行えるようになる仕組みを目指しています」と宇田川氏。
そのためのステップとして、藤沢市は24年10月、「ふじさわID」の発行を開始した。このIDは、施設予約のほか、オンラインによる各種行政手続きの申し込みに対応。施設利用料などの支払いも、クレジットカードや2次元コード決済を使って、オンライン上でできるようになるという。
今後、デジタルプラットフォーム上であらゆる申請・手続きができるようにするためには、さらなるアプリやシステムの開発が必要となる。その開発費用を抑えつつ、求められるサービスを速やかにリリースするには、開発の内製化が不可欠だ。
実は、藤沢市が「シン・シヤクショプラットフォーム」の基盤としてServiceNowを選んだ理由はここにもある。ローコード開発に対応するServiceNowは、エンジニアでなくても一定の知識があればアプリやシステムを開発できるので、内製化に適しているのだ。
実際、デジタル推進室では職員16人のうち5人がServiceNowによる開発のスキルを習得しており、各部課の要請に応じてアプリやシステムの開発を行っている。
さらに藤沢市は、ServiceNowとの官民共同でデジタル人材の育成に取り組む包括連携協定を締結。市民にデジタル人材として活躍してもらう機会の提供にも貢献している。
宇田川氏は、「より良い行政サービスの追求だけでなく、地域活性化のためにも、今後ServiceNowとの連携をさらに深めていきたいと思っています」と抱負を語った。
藤沢市のCSM活用イメージ
FAQ管理
ケース管理
ダッシュボード