最高の顧客体験を提供するためには、まず、その担い手である従業員の体験を向上させなければならない──。これは、今やビジネスの常識とも言える考え方だ。
従業員が様々な業務に煩わされ、顧客への対応に集中できなくなると、サービス品質はどんどん下がっていく。実は、企業によるSaaSの積極的な導入が、この“悪循環”をもたらす大きな要因の一つになっていることをご存じだろうか?
例えば、顧客体験を向上させるため、問い合わせの窓口として電話やメールのほかに、SNSやチャットボットなどのサービスを導入したとしよう。チャネルが増えたことで顧客の利便性は上がり、より多くの問い合わせがカスタマーサービスに寄せられるようになる。
当然、カスタマーサービス担当者の業務負荷は重くなり、場合によっては洪水のように押し寄せる問い合わせを処理し切れなくなるかもしれない。
それを何とか円滑に処理しようと、多くの企業は、ビジネスチャットなどのコミュニケーションツールを導入する。カスタマーサービス担当者の業務負荷は、顧客からの問い合わせを受けるだけでなく、それを担当部署につなぐ業務が増えることでますます重くなるからだ。
「電話やメールで行っていた連絡を、チャットなどのコミュニケーションツールに変えれば、カスタマーサービス担当者の連絡業務は効率化します。一方、連絡を受けて商品の調達や発送、修理などを担当する部署は、対応の抜け漏れがないように様々な社内コミュニケーションツールを常にチェックしなければならないので、気が抜けません。顧客体験を高めようといくつものSaaSを導入したことが、結果として従業員の業務負荷を重くするという矛盾に陥ってしまっているのです」
そう語るのは、ServiceNow Japan スペシャリストSC本部 カスタマーワークフロー部 部長の北原俊一郎氏だ。
従業員エクスペリエンスの低下は、カスタマーエクスペリエンスの低下に直結する。
この“悪循環”を断ち切るためには、社内における情報共有やコミュニケーションの仕組みを抜本的に変革する必要があるだろう。
それを可能にするのが、ServiceNowのCSMだ。
ServiceNowのCSMは、ひと言で説明すれば、部門ごとに分断された情報を「一つのプラットフォーム」上でまとめ、業務をきれいに流せるソリューションである。
コンタクトセンターが顧客から受けた問い合わせの情報、商品発送の担当部署が顧客に商品を送った情報、修理担当部署が修理やメンテナンスを行った情報などが、部門の垣根を越えて業務フローとしてきれいに流れ、顧客に還流されていく。
「コンタクトセンターが受けた問い合わせの内容は、そのまま各担当部署のシステムに反映されるので、いちいちメールやチャットで連絡を取り合う煩わしさがありません。しかも、誰が、いつまでに対応すべきかというアサインメントやスケジューリングも自動的に設定されるので、お客様のリクエストに抜け漏れなく対応できるようになります。さらにこれらの状況はリアルタイムで可視化され、顧客は自身の問い合わせ内容の状況を常に把握することができます」と岡﨑氏は説明する。
これが実現できるのは、CSMのプラットフォームが、社内すべての業務システムやデータベースをシームレスに連携できる仕組みになっているからである。部門ごとや業務ごとにバラバラで管理されている顧客情報を業務の流れの中で連携・連動することによって、その顧客に「これまで提供してきたサービス」や「いま提供すべきサービス」の情報がリアルタイムで共有されるようになるのだ。
しかもCSMは、様々な部署で導入している社内ツールとの連携が可能。従業員は使い慣れているツールを介して共有された情報を元に顧客とのやり取りが行える。
「現場に特化したツールごとにコミュニケーション機能があり、連絡の確認漏れがないように、通常はそれぞれのツールをチェックしなければなりませんが、CSMなら組織・部門横断的な業務の流れを中心として、必要なツールと連携することで、網羅された、かつ一貫したデータを確認することで顧客対応ができます。その結果、従業員は確認作業の煩わしさから解放され、お客様に提供するサービスの遅れも防げるのです」(岡﨑氏)
まさに、従業員体験と顧客体験を同時に改善できるソリューションだと言えるだろう。
同じような情報共有の仕組みを実現するものにCRMがあるが、北原氏は「CSMは、CRMのさらに一歩先を行くソリューションです」と語る。
最大の違いは、CRMが顧客情報を中心とした関連する情報の管理を目的とした製品が多いのに対し、CSMは顧客情報のみならず、製品・サービスの構成情報を基に、カスタマーサービスのオペレーションとオペレーションを連携する「デジタルワークフロー」を備え、顧客の問題をいかにスムーズに解決するかに焦点を当てている点だ。
共有された情報を基に、誰が、どんなサービスを、いつまでに提供するというワークフローが自動設定され、どこまで進捗しているのかもリアルタイムに確認できるのが大きな特徴だ。まさに“Beyond CRM”(CRMを超える)ソリューションである。