従業員体験を高め、顧客体験も向上させるServiceNowのCSMは、すでに世界中の多くのエンタープライズ企業が活用している。
その一つが、複合機をはじめ多彩なビジネスソリューションを提供するXerox(ゼロックス)だ。
同社は、顧客に提供する修理・メンテナンスサービスのエクスペリエンスを高めるため、CSMを基盤とするDXを実践した。
Xeroxが抱えていた課題は二つあった。一つは、高齢化したフィールドサポート従業員が大量退職の時期に差しかかり、世代交代が急がれていたこと。もう一つは、企業合併によって生じた二つの異なるフィールドサポート部署が存在することにより、派遣や作業の非効率性やコストが増大の一途を辿っていたことである。
これらの課題を解決するため、XeroxはServiceNowのCSMを基盤にAR(拡張現実)技術を組み合わせた独自のソリューションを開発した。
同社はスタートアップ企業との合弁プロジェクトで、CareARというアプリを開発していた。このアプリを搭載したスマートフォンのカメラを複合機にかざすと、故障や不具合の箇所をどのように確認/修理すべきかが画面上に表示されるという仕組みである。
このアプリを使えば、ベテランのフィールドサポート従業員でなければ発見しにくかった故障や不具合でも、簡単に確認/修理ができる。経験のない新人従業員でも確認ができるわけだ。
しかも、CareARが撮影した故障や不具合の映像は通信で送れるので、新人従業員は遠隔地にいるベテラン従業員の指導を受けながら、修理やメンテナンスの作業を行うことができる。どんな指導を受け、どのような修理・メンテナンスを行ったのかという記録はすべてCSM上で管理されるので、その新人だけでなく、全従業員が顧客情報やサービス履歴、サービスノウハウなどを共有できるようになる。
このソリューションによって、Xeroxはフィールドサポート従業員の世代交代という一つ目の課題を解決することができた。
もう一つの課題であった非効率性の低減やコストの削減も、二つの部署でバラバラだった業務プロセスを ServiceNowで一つに統合した上で、CareARを活用することで解決している。
かつては、顧客から故障や不具合の連絡を受けて従業員が訪問し、問題箇所を確認した上で、交換部品等を持って再訪するという「二度の訪問」が通例であったが、CareARの導入によって、これを一度に減らすことができた。
顧客のスマートフォンにCareARのアプリをダウンロードしてもらい、映像を送ってもらうことで、遠隔地にいながらでも故障や不具合が確認できるようになったからだ。
二度の訪問を一度に減らしたことで、フィールドサポート従業員の派遣コストもほぼ半減できた。ServiceNowのCSMを基盤にしたXeroxのカスタマーサービス変革は大成功を収めたと言える。
Xeroxがこうした変革を実現できたのは、ServiceNowがARのような最新デジタル技術を採り入れやすいソリューションだからでもある。
あらゆるシステムやアプリケーションと柔軟に連携するServiceNowは、進化し続ける様々なデジタル技術をタイムリーに組み込み、ビジネスや業務プロセスを飛躍的に変革できる力も備えているのだ。
その最たる例がAIであろう。
「ServiceNowは、かなり早い段階からプラットフォームの重要コンポーネントの一つとしてAIを搭載し、業務の効率化や自動化を支援してきました。もちろん、CSMにもAIを使ったいくつもの機能が組み込まれています」と語るのは岡﨑氏である。
2023年9月に発表された、ServiceNowの「Vancouver」(バンクーバー)リリースでは、生成AIを統合するアプリケーション「Now Assist」が新たに搭載された。与えられたスクリプト(指示・質問)を基に、文章や画像、プログラムなどを自動で創り上げる生成AIの機能は、すでにCSMのユーザーにも幅広く活用されているという。
「例えば、お客様からのチャットによる注文や問い合わせに対し、Now Assistが自然言語で返答するといったサービスの開発を進めている企業もあります。ほかにも、問い合わせ内容に応じたメールのひな型を作成させたり、業務応対のマニュアルを要約させたりと、様々な使い方が試されているようです」と北原氏は語る。
今のところ、大半の企業では実証実験の段階だが、正式なサービスとして続々と実装される時期は近そうだ。
「ARや生成AIに限らず、新しいテクノロジーはどんどん生まれています。将来にわたってそれらをしっかり取り込んでいけるのも、ServiceNowのプラットフォームとしての優位性だと思います」と岡﨑氏は語る。
従業員と顧客のエクスペリエンスを継続的に高め、業績や企業価値の向上に寄与するServiceNowのCSMは、まさに、新時代に求められるソリューションだと言えそうだ。