企業のファイナンス部門が直面する人材不足。中でも、多くの企業が「とくに足りない」と感じているのが、主任クラスの「中堅スタッフ」である。
「『ファイナンス部門の課題調査』で、『社内人材が不足している役職クラス』について尋ねたところ、ファイナンス部門全体では『中堅スタッフが不足している』との回答が60.9%を占めました。若手よりも中堅スタッフの不足に悩んでいる企業が多いのは、転職などによって貴重なファイナンス人材が流出している状況をうかがわせます」と小口氏は指摘する。
優秀なファイナンス人材は、競合をはじめとした外部にスカウトやヘッドハンティングされる傾向も強まっており、これが人材不足に拍車を掛けているようだ。
松本氏は、「中堅スタッフは、将来の課長・部長クラス候補なので、これらの人材の不足は、将来、組織を率いるファイナンス人材の枯渇にもつながりかねません」と語る。
そうした中、デロイト トーマツ リスクアドバイザリーには、ファイナンス人材の採用・育成を支援してほしいという企業からの要請が増えているという。
「若手の採用が難しく、中堅スタッフも定着しにくい状況の中で、既存社員の中からファイナンス人材を育て上げようとする企業が増えているのです。デロイト トーマツには、経理や財務、会計のプロフェッショナルたちを長年にわたって育て上げてきた実績があり、教育ノウハウも蓄積されているので、その強みを生かしてファイナンス人材の育成プログラムを企画・運営してほしいというご要望を頂くようになりました」と小口氏は説明する。
要請を受けた企業とデロイト トーマツが業務提携を交わし、その企業のファイナンス人材育成を一手に引き受けるケースもあるそうだ。
「デロイト トーマツの教育が受けられる」ということで、ファイナンスの専門家を目指す人材の就職希望が増えるメリットも期待できる。
「優秀な人材の奪い合いが繰り広げられる中で、魅力的な教育制度を整えるかということは、人材採用や定着を促すための重要なポイントになっています。他社といかに差別化を図れるかが肝心です」と松本氏は提言する。
企業のファイナンス部門が担うべき業務は年々増大しており、どんなに人材を増やしても追いつかなくなっているのが実情だ。
「企業規模の急拡大や、組織再編、新会社設立といったイベントの発生、新しい規制への対応などで、ファイナンス部門の業務量は増大し、人材が足りなくなっています。業務量は増えているものの、コストは現状維持、または削減が求められるので、人を増やそうにも増やせません。しかし、業務を処理できる人材が確保できないと、ファイナンス部門が企業の成長を妨げるボトルネックとなる可能性もあるのです」と松本氏。
実際、デロイト トーマツが行った「ファイナンス部門の課題調査」によると、ファイナンス部門全体で「社内人材が不足している」と回答した企業は全体の42.9%に上った。
社内人材不足を解消するため、業務プロセスの一部を外部委託(BPO)する動きも広がっているようだ。
「ファイナンス部門の課題調査」によると、回答企業の50.9%が「ファイナンス部門の社内人材不足を解消する手段として、パートナー企業やベンダーなどへの外部業務委託を行っている」と回答。さらに20.7%は、「今後も拡大する方針」だと答えている。
小口氏は、「同様の調査を例年行っていますが、『業務の一部を外部委託している』と答える企業の割合は年々高まっています。増大し続けるファイナンス関連業務を処理するには、社内人材を充実させるだけでなく、社外の力にも頼らざるを得ないという意識が定着してきたようです」と語る。
とはいえ、ファイナンス部門の業務を外部委託している企業でも、委託する業務範囲はごく一部に限られている。
「定型化しやすい債務管理や債権管理、経費処理などの業務だけを外部委託するのが一般的で、より専門性の高い決算や固定資産管理などの業務は、社内にとどめておく企業が大部分を占めています。そのため、ファイナンス部門の業務負荷が抜本的に軽減されているとは言い難く、多くの企業では業務を回し切れない状況が続いていると言えます」(小口氏)
そうした企業のファイナンス部門の課題を解決するため、デロイト トーマツ リスクアドバイザリーは、「Corporate as a Service」というサービスを提供している。
デロイト トーマツ グループの総力を結集し、定型化しやすい業務はもちろん、専門性が高い経理、財務、会計、税務業務までトータルに委託できるのが、他のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスとの大きな違いだ。
「まず、課題のある業務を可視化・標準化し、効率的な業務のあり方や運用プロセスを設計した上で、当社が運営するオペレーションセンターが業務を受託します。現状分析から業務変革、運用までのサービスを提供できる点が特徴です」と松本氏は説明する。
他のコンサルティングファームや会計事務所などは運用サービスを得意とするアウトソーシングベンダーと業務提携することが多いが、「Corporate as a Service」はオペレーションセンターまでデロイト トーマツが運営。
デロイトがグローバルで培ってきた経理、財務、会計、税務の知見・ノウハウと、AIなど最新のデジタルテクノロジーを融合させた、革新的な業務処理が行われるという。
2021年に日本でサービスを開始して以来、「Corporate as a Service」を利用する企業の数は約30社に上っている。当初は、群馬県前橋市に設置したオペレーションセンターだけで業務を受託していたが、受託量の増加を受け、札幌市にも新たな拠点を設置する。「現地の雇用を生み出すことはもちろん、デロイト トーマツが培ってきた知見やノウハウを教えることで、高度な専門人材の育成にも寄与しています」と小口氏。
地域への貢献と、クライアント企業への高度なサービス提供を同時に実現しているのだ。
ファイナンス業務を変革するためには、AIをはじめとするデジタルテクノロジーの積極的な活用が欠かせない。冒頭に述べたように、デロイト トーマツが行った「ファイナンス部門の課題調査」でも、38.8%の回答企業が「ファイナンス部門全体における重要な経営課題」として「DX・AIの活用」を挙げている。
その点、デロイト トーマツが提供する「Corporate as a Service」を利用すれば、おのずと最新のデジタルテクノロジーを活用した業務処理が実現するのも大きなメリットだ。
「2つのオペレーションセンターでは、AIなどのテクノロジーを活用・更新し続けるだけでなく、クライアント企業の事業内容や事業規模、組織の変化などに合わせて、最適な業務プロセスへと変革し続けることができるのも、『Corporate as a Service』ならではの価値だと言えます」と小口氏は説明する。
オペレーションの外部委託にとどまらず、最新のデジタルテクノロジーを活用した業務変革まで支援する。これは、ファイナンスとテクノロジーに関する高度な専門性を持つデロイトだからこそ提供できるサービスである。
松本氏は、「持続可能なファイナンス部門の存在なくして、企業の成長はありません。我々はファイナンス部門の変革支援を通じて、日本企業の成長を支え続けます」と語った。