DX銘柄選定を引き寄せた
「全員参加型」DX
コスモエネルギーホールディングス株式会社
常務執行役員CDO
ルゾンカ 典子氏
――ルゾンカさんが、デジタルやデータに関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
ルゾンカ大学で心理学を専攻し、集団として人々の特性を捉えることを研究しました。集団を定義したり、比較したりする際には様々なデータを見る必要があります。物事を測る「ものさし」になるデータの面白さを知り、社会人になって複数の企業で顧客や商品の分析、経営戦略に携わるようになってからも、ずっとデータと向き合ってきました。その意味で、私のビジネスパーソンとしての核になるのがデータ活用だといえます。
――2021年にコスモエネルギーホールディングス(以下、コスモHD)のCDO(最高デジタル責任者)就任を打診されたとき、どんな思いを抱きましたか。
ルゾンカ当時の桐山社長(現・会長)からお声がけをいただいたのですが、これからの社会にとってますます重要な役目を果たすであろうエネルギー業界に、まず強い関心を持ちました。
ただ、CDOの仕事は非常に多岐にわたるため、求められているスキルと自分の得意分野がマッチするかを精査する必要があると考えました。
当時、桐山社長は「データは社内にあるのに有効活用できていない」「DXを組織的な活動につなげられていない」といった課題感をお持ちでした。何度か対話を繰り返し、詳しく話を聞いていく中で、これなら私が貢献できそうだと感じました。データを活用して「私ならこうやります」ということを例示してお示ししたことが、お互いにとって良いプロセスだったと思います。また、経営者自らが強い課題感を持っており、強力な支援者になってくれると感じたことも、CDOという大役を引き受ける重要な要因になりました。
――コスモHDがDX推進に向けて、大切にした方針はなんですか。
ルゾンカなにより重視したのは「全員参加型」です。DX推進チームや特定の人だけが頑張っても、社員が主体的に参加してくれなければ会社は変わらないからです。
とはいえ、ここでいう全員参加型とは「全員がデータのプロになれ」というものではありません。「どんな形でもよいので参加しよう」ということで、その姿勢を「Chance・Challenge・Change・Communicate・Commit」からなる「コスモの5C」として明示しました。「やる」ことが大切なので、5Cはすべて動詞なのです。
データを駆使して変革の中枢を担う人もいれば、DXにつながるちょっとしたアイデアを発信したり、サポート役となってメンバーを支えたりする人もいます。各々の立場や強みを生かして、自発的に参加することが大事だと訴えました。
表計算ソフトを使っている人は
「データに触れている」
――CDOに着任してまずやったことを教えてください。
ルゾンカ現状を把握したかったので、はじめに全社員を対象にDXにかかわるアンケート調査を行いました。この調査は、取り組みの進捗を定点観測する目的で現在も年に1回行っています。初回は「DXの意味がよく理解できない」「何をどうデジタル化すればいいか分からない」といった声が多かったのですが、回を追うごとにそうした声は減っていき、具体的な声が増えていきました。
また初回のアンケートでは、社員の88%が表計算ソフトを業務で使っていることも分かりました。私はこの結果を「88%の人が日常的にデータに触れている」と捉えました。社員の8割、9割まではDXやデータ活用も普及させられるだろう。そのような算段のもと、全員参加型の取り組みを推し進めていったのです。
――まさしく、データのプロの考え方ですね。その後のDX推進施策についても教えてください。どのようなことを、どんな順番で進めていったのでしょうか。


