ServiceNowの開発では世界最大規模

巨大な基幹システム
「GAIA.fin」を構築した
NTTデータグループ

ビジネス環境の変化に対応して
社内基幹系システムを刷新

19年に始動したNTTデータグループの「Project GAIA」。社内基幹系システムをデジタル技術で全面刷新するというこの全社プロジェクトが動き出したのは、「旧システムではビジネス環境の変化に対応できない」という危機感が背景にあった。

「当社がそれまで利用していた社内基幹系システムは06年に稼働したもので、すでに13年が経過していました。その間、デジタル化の急速な進展とともに、比較的小規模な受注案件も増加し、大規模案件の管理を前提としていた旧システムでは処理が困難になってきたのです」と水内氏は明かす。

もともと大規模案件を得意としてきたNTTデータグループであるが、顧客企業のデジタルシフトによって小規模な案件が増え、それを処理するのに適した基幹系システムが求められるようになったのだ。

「案件が大量化することによってデータのやり取りが増えると、ちょっとした手間が膨大に積み重なって大きなコストになります。もっと効率よくデータ共有できるシステムに変えないと、お客様も変化していく中で、データドリブンな経営も実践できないという危機感を抱いたのです」と水内氏は振り返る。

一方、「スクラッチで独自開発した旧システムでは、メンテナンスコストが下がらないことや、事業や周辺の変化に対応できないことも大きな課題でした」と語るのは、同社 コーポレート統括本部 ITマネジメント室 DX推進部 システム開発担当 部長の髙田哲生氏である。

「新たなセキュリティ対応のたびに端末にパッチを当てるなど、メンテナンスの手間が非常にかかっていました。その上、独自開発なので、新しい機能を追加するのも大変です。今後、ビジネス環境がどんどん変わっていくと、それに合わせて機能も追加していく必要がありますが、変化の速さにとても追いつけなくなるのではないかという懸念を抱きました」と、髙田氏は当時の心境を語った。

高田氏
株式会社NTTデータグループ
コーポレート統括本部 ITマネジメント室
DX推進部 システム開発担当 部長
髙田 哲生
2004年NTTデータに入社。14年からはビジネス部門にて事業計画、社内サービスの企画・開発・運用をリードする。その後、NTTデータで初めてServiceNowを導入。20年以降はITマネジメント室にてServiceNowによる基幹システム開発や全社ポータル開発などの全社規模の取り組みを担当する。

財務・会計のフロントエンドシステムを
ServiceNowで構築

「Project GAIA」の中でも中核プロジェクトと位置付けられたのが、財務・会計系基幹システムである「GAIA.fin」の開発である。

一般に、会計システムと言えば「決算のためのシステム」と捉えられがちだが、NTTデータグループでは、より戦略的な使い方をしている。

「当社の会計システムは、受注した案件(プロジェクト)ごとに収支管理が行えるように設計されています。そのため、会社全体としての決算はもちろんですが、各プロジェクトのマネジメントや意思決定のためにも用いられる非常に重要なシステムなのです」と水内氏は説明する。

「GAIA.fin」は、その役割を旧システムから受け継ぎ、会計・プロジェクト管理・意思決定などの機能を含む、基幹系システムとして開発されることになった。

「GAIA.fin」にServiceNowを採用する決め手となったのは、コアシステムとの間の大量のデータのやり取りに耐えられる十分な力を備えている点であった。

「受注する案件の大量化によって、コアシステムとフロントエンドシステムとの間でやり取りするデータの量もかなり膨大になることが想定されていました。カスタムテーブル数で約2800。中には20億レコード以上もあるテーブルもあるほど膨大なデータを有しており、 具体的には、1日当たり2500件前後のエクスチェンジが必要となります。これをスクラッチの基盤で開発するとなると、非常に大変です。それを実現できる基盤を比較検討し、ServiceNowなら十分耐え得ると評価して採用したのです」と髙田氏は語る。

基幹システムのため、大量のユーザーが同時にアクセスするシステムとは異なり、各プロジェクトの大量のデータをServiceNowに投入し、フロントシステムからコアシステム側にデータを連携するためのパッチ処理を行う必要がある点が特殊な要件だったという。

あえてSaaSにこだわったのは、ビジネス環境の変化に対応しながらデータドリブンな経営を実践できるシステムに刷新するという「Project GAIA」の狙いにかなっているからにほかならないが、業務遂行に必要不可欠となる基幹システムをSaaSで開発することは、いまだに躊躇する企業が少なくない。

ローコード開発もポイントの一つだ。ローコードで開発が完結する部分もあり、内部での意思決定などはServiceNowのワークフローを使い、UIについても基本的にはServiceNowを活用した。「結果的に、スクラッチ開発と比較すると、開発したプログラム量は相当少なく抑えられています」と水内氏は語る。

それをあえて選択したのは、数多くの基幹システムを手掛けてきた高い技術力を持ち、最新のデジタル技術に関する“目利き”にも長けたNTTデータグループだからこそと言えるだろう。

実際、大がかりな基幹システムをSaaSで構築する事例は世界的に見ても珍しく、「GAIA.fin」の開発は、ServiceNowを使ったシステム開発としては世界最大規模になるという。