巨大な基幹システム
「GAIA.fin」を構築した
NTTデータグループ
約2000人のメンバーが参加する
巨大プロジェクト
NTTデータグループが「GAIA.fin」の開発のために採用したのは、ServiceNowのアプリケーション開発プラットフォームであるApp Engineだ。ローコード開発に対応しており、様々な業務のためのアプリケーションが効率よく作成できる点や、構築済みのテンプレートが豊富に用意されている点などを評価して採用した。
また、「グループ全体で単一の情報システムを利用できるので、他のユーザーの影響を受けることなく、安心して使える点も評価ポイントになりました」と髙田氏は語る。
大がかりなプロジェクトだけに、「GAIA.fin」の開発には相当な人数が投入された。プロジェクトチームを率いたのはNTTデータグループの社内ITを統括するITマネジメント室だが、同室の約160名のメンバーだけでは到底足りず、社内やグループ会社、協力会社のメンバーが最盛期で2000人ほど参加している。
「独自開発とはかなり勝手が違うので、メンバーたちがこれまで培ってきた経験やノウハウだけでは開発ができません。そこで、ServiceNowによる開発の仕方を数十人のメンバーで学びました。そして、このメンバーを中心にノウハウを共有・拡大し、新しい開発のプロセスをチーム全体に少しずつ広げていきました」と髙田氏は振り返る。
開発のためのルールも、独自開発するシステムとは大きく異なる。加えて苦労したのが、実際に開発を進めていくうちにルールが変わっていったことだ。
「作っていく過程で、このやり方ではうまくいかないとか、違うやり方のほうがもっと効率よく開発できるということが分かり、その都度ルールやプロセスに修正を加えていきました。独自開発では、ルールやプロセスはあらかじめ決まっているので、それに合わせて作業を進めていけばよいのですが、どんどんやり方が変わっていくことにメンバーたちはかなり戸惑ったようです」と髙田氏は振り返る。
しかし、そうした柔軟性こそが、ビジネス環境の変化に合わせてシステムを進化できるSaaSならではのメリットでもある。
「ServiceNowは絶えず変化し続けるプラットフォームです。新しいニーズが生まれれば、それに合わせてシステムを柔軟に作り替えることができる。また、ServiceNow自身が常に変化し続けるので、そこから着想して業務変革のアイデアにつながることもあります。独自開発をしていた基幹システムは、一度作った後は、要件の変更がない限り変更しないのが基本ですが、それによって安定稼働が期待できる半面、変化に追いつけないという難点があります。その点、SaaSならどんどん変えていけるのが大きなメリットであるということを、『GAIA.fin』の開発を通じて学びました」と水内氏は語る。
パフォーマンス向上によるUX改善と
グループ会社向け利用拡大のためRaptorDB Professionalも導入
もちろん、SaaSであるServiceNow自体も、新しいテクノロジーを取り入れながら、変化を続けている。直近の例で言えば、生成AIを使った新機能が次々と追加されていることが典型例だろう。このように、スクラッチでは追加が困難な新しい機能が容易に採用できる点もNTTデータグループは高く評価している。
「今のところ、ServiceNowの生成AIサービスをどこまで採用するかは検討段階ですが、システム開発の効率化や、社内ポータルの問い合わせ対応の自動化など、いろいろ活用ができるのではないかと考えています」と水内氏は語る。
3年余りの開発期間を経て、24年4月、NTTデータグループは「GAIA.fin」の運用を開始した。決算・プロジェクトマネジメント・意思決定のためのデータがすべて集約され、処理できる基盤が完成したのだ。
ただし、大規模な基幹システムの開発だっただけに、改善ポイントが残されているのも事実だ。例えば、レスポンス(処理速度)の向上もその1つである。
「大量化した受注案件ごとのデータをコアシステムとやり取りするため、どうしても反応に時間がかかってしまう場合もあります。少しでも処理時間を短くするため、ServiceNowにも対応を依頼して改善を図っています」と髙田氏。
今回のプロジェクトに携わったServiceNowの担当者は、「GAIA.fin」が稼働してからも性能データを丹念に収集し、どこを改善すればレスポンスが上がるのかをアドバイスしてくれたという。そうしたServiceNowのフォローアップ体制も、NTTデータグループは評価しているようだ。
さらに同社は「GAIA.fin」の処理能力をさらに高めるため、ServiceNowの高性能データベースであるRaptorDB Professionalの導入を決めた。スピード向上とスケールアップのために設計されたこのデータベースによって、「今後は社内約5万人のユーザーだけでなく、グループ会社の社員にも『GAIA.fin』の活用を広げていきたい」と髙田氏は語る。
最後に水内氏は、今後の展開について「『GAIA.fin』の開発で培ったServiceNowに関する知見や人材を、お客様の業務変革にも提供していきます。社内においては、せっかく築き上げたServiceNowのプラットフォームを財務・会計以外のシステムにも利用して、さらなる全社的変革を推し進めていきたいですね」と語った。
今後のNTTデータグループの取り組みにも、ぜひ注目したい。