世界共通の
業務体制を目指す
三菱UFJ銀行
デジタル活用のための体制として
専門チームを発足
国際事務企画部は三菱UFJ銀行のグローバルな事務業務を統括し、Global Operationsのパーパス(存在意義)を「安心・安全かつ、持続可能な事務サービスを提供すること」としている。
「安心・安全」をもたらすのはサービスの品質(Quality)、「持続可能な事務サービス」を担保するのはコスト管理(Cost Control)と提供スピード(Delivery Speed)だ。
「事務業務の標準化・効率化は、このQCD(Quality/Cost Control/Delivery Speed)のバランスが取れたサービスをどのように提供できるようにするか定義しました。3つを同時に実現するのは難しいものですが、その『三方よし』を可能にするための手段として、国際事務企画部はデジタルの活用を積極的に推進しています」と溝口氏は説明する。
デジタル活用のための体制づくりとして、同部は「デジタル&データ(D&D)チーム」という専門チームを発足。生成AIやRPAといった最新のデジタルソリューションを活用し、事務業務の標準化・効率化を実現するための技術検証などを行っている。
「チームメンバーは10人足らずですが、意欲のある社員を部内から公募するなど、変革のモチベーションが高く、スキルセットが異なるメンバーを結集しました。三菱UFJ銀行が行内で実施した生成AI活用コンテストでチームメンバーが2年連続入賞するなど、高い成果も上げています」(溝口氏)
そのD&Dチームが中心となって取り組んだのが、事務領域における本邦海外間共通プラットフォームの構築である。「Global Operations」の重要プロジェクトの一つとして23年にスタートしたこの取り組みは、海外各拠点からの問い合わせの受付および処理を効率化することを目的として始まった。
「グローバル共通のコミュニケーションのためのインフラがないことが課題でした。具体的には、各拠点が現地の法規制にのっとって開発しているコアバンキングシステム(勘定系システム)の仕様を、グローバルで標準化するためのルールの問い合わせなどに利用できるポータルを構築したいと考えました。従来、そうした問い合わせや返答のやり取りはメールで行っており、処理があまりにも煩雑だったからです」
そう語るのは、D&Dチームのメンバーの一人である国際事務企画部 エキスパートの大西 慶氏だ。
国際事務企画部
企画グループ エキスパート
大西 慶 氏
問い合わせ内容を入力すれば
担当者が自動的に指定される
当時、海外拠点から送られてくる問い合わせメールの数は、1日50~60件に上っていた。
「すべてのメールはいったん海外拠点と共有しているメールボックスに保存されます。問い合わせ内容に応じて処理をする担当者がボックスの中からメールをピックアップし、自チームの担当者に解決を依頼するという流れでした。ボックスを見に行かないと、問い合わせが来ているのかどうかも分からず、場合によってはメールを見逃してしまうことに課題を感じていました」と語るのは、部内公募でD&Dチームの一員となった国際事務企画部 調査役の宮脇智子氏である。
国際事務企画部
企画グループ 調査役
宮脇 智子 氏
メールをピックアップした担当者は、その問い合わせ内容と解決策、解決させる担当者や期日などをスプレッドシートにまとめ、アサインした担当者と共有する仕組みであった。これらの作業だけでもかなりの時間を要し、部員の大きな負担となっていた。
さらに、解決のための作業がどこまで進んでいるのかも見えにくく、拠点から進捗の問い合わせを受けても、回答に時間がかかってしまうことにも課題を感じていた。
これらの課題を一気に解決する方法として、国際事務企画部はサービスポータルの導入を決定したのである。
構想したのは、各拠点の担当者が問い合わせ内容と照会先のグループをポータル上に入力すれば、アサインされた担当者にその内容や希望回答期日が送られる仕組みだ。
作業がどこまで進捗しているのかもポータル上で確認できるようにすれば、問い合わせた各拠点の担当者や、受け付けた担当者の業務負荷が低減されると考えた。
この仕組みのための基盤として、国際事務企画部はServiceNowのITSM Proを導入した。ITサービスに関する問い合わせの窓口を一元化し、デジタルワークフローによって自動的な問い合わせの振り分けや、作業進捗の可視化などが行えるソリューションである。
大西氏は、ITSM Proの選定理由について、「他にもいくつかのソリューションを検討しましたが、機能が充実していることや、グローバルな導入実績が豊富で、各国の法規制の問題もクリアしており、とくに多くの金融機関が利用している点を評価しました。海外拠点のメンバーも利用するので、グローバルに展開しやすいソリューションである点は重要なポイントでした」と語る。