スタートアップとAIがもたらす変革の兆し

今、日本に求められる
新しいCRMのカタチ

かつては基幹業務遂行のための顧客情報の一元管理が主な役割だったCRM(顧客関係管理システム)が、今や顧客体験の向上に伴う経営変革を支えるソリューションと位置付けられるようになっている。日本企業はその変化をいかに受け止め、ビジネスにどう取り入れるべきか? 日本のSaaSスタートアップを中心に投資するDNX Venturesの日本代表を務める倉林 陽氏と、ServiceNow JapanのCRMワークフロー営業本部 本部長である坪田 駆氏が語り合った。

BtoBスタートアップの育成が
エコシステムの健全な発展につながる

ServiceNow Japan坪田氏(以下、坪田氏):本日はよろしくお願いします。倉林さんは、シリコンバレーや国内で数多くのベンチャー投資や事業開発に関わってこられたベンチャーキャピタリストの第一人者です。まずは、これまでのご経歴について簡単に教えていただけますか?

倉林氏
DNX Ventures株式会社
Managing Partner / Head of Japan
倉林 陽
富士通、三井物産にて日米のITテクノロジー分野でのベンチャー投資、事業開発を担当。MBA留学後はGlobespan Capital Partners、Salesforce Venturesで日本代表を歴任。2015年にDNX Venturesに参画し、2020年よりManaging Partner & Head of Japanに就任。これまでの主な投資先はSansan、マネーフォワード、アンドパッド、カケハシ、データX、テックタッチ、コミューン、FLUX、ナレッジワーク等。

DNX Ventures 倉林氏(以下、倉林氏):こちらこそよろしくお願いします。私は大学を卒業後、富士通に入社し、CTI(Computer Telephony Integration)の営業担当からキャリアをスタートさせました。CTIは、顧客データベースと電話を連携させることで、顧客のプロフィールや過去の応対履歴、購入履歴などを参照しながら的確なサポートを提供するためのシステムで、現在のCRMの走りのようなものです。本日、坪田さんとの対談のテーマはCRMということですが、振り返ってみれば、その先駆けに関わっていたことになりますね。

坪田氏:その後、ベンチャーキャピタリストへの道に進んだのは、どのような経緯だったのでしょう?

倉林氏:富士通時代に経営企画部門に異動し、そこから米系VC(ベンチャーキャピタル)に出向したのがきっかけです。その後三井物産に転職し、シリコンバレーや国内のITベンチャー投資に携わるようになり、米国でMBAを取得後は、米系VCを経て2011年にSalesforce(セールスフォース)のコーポレートベンチャーキャピタルであるSalesforce Venturesで日本のSaaSスタートアップへの投資を担当することになりました。

 ご存じのように、Salesforceは世界中のSaaSスタートアップに投資し、成長を支援することで、同社のCRMに連携するSaaSのエコシステムを形成することに力を入れています。そのエコシステムに、日本のスタートアップを迎え入れるのが私の役割だったのです。

坪田氏:倉林さんは現在、BtoBのSaaSスタートアップに特化したベンチャーキャピタルであるDNX Venturesのマネージングパートナーを務めておられますが、そのきっかけはSalesforce Venturesでの投資経験にあったわけですね。

倉林氏:はい。私は2015年にDNX Venturesにジョインしましたが、当初から「日本のスタートアップエコシステムの健全な発展に寄与したい」という思いを持っていました。そのためには、BtoCよりもBtoBスタートアップの育成が重要だと考えたのです。

坪田氏:とても興味深い考え方ですね。ぜひ、もう少し詳しく聞かせてください。